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All Seasons

Season 1

  • S01E01 ニーチェ“ツァラトゥストラ” <全4回> 第1回「ルサンチマンを克服せよ」

    • March 30, 2011
    • NHK

    古今東西の名著を、25分×4回=100分で読み解く。ニーチェの代表作『ツァラトゥストラ』に込められた、ニーチェの哲学を堪能する。(全4回) 入門編では、「ツァラトゥストラ」のあらすじと、解読の3つのポイント「ニーチェのおいたち」「ルサンチマン」「価値の転換」を紹介する。キリスト教を基盤とした19世紀ヨーロッパの価値観を根底から覆そうとした、挑戦的な哲学者だったニーチェ。同書は、40歳を目前にしたニーチェが、聖書に対抗する書として発刊した。執筆の目的は、人間を堕落させるしっと・恨みの感情「ルサンチマン」を、どう克服するかだった。

  • S01E02 ニーチェ“ツァラトゥストラ” 第2回「“神の死”から“超人”へ」

    • April 6, 2011
    • NHK

    古今東西の名著を、25分×4回=100分で読み解く。ニーチェの代表作『ツァラトゥストラ』に込められた、ニーチェの哲学を堪能する。(全4回) ニーチェは、神への信仰を「弱者のルサンチマン」として切り捨てた。さらに「神は死んだ」というコトバで、キリスト教的な価値観が崩壊していることを人々に知らせようとした。「神の死」の先にあるもの、それは軸を失い、自暴自棄になった無気力状態「ニヒリズム」だ。ニーチェがニヒリズムを乗り越える方法として説いたのが「超人」だ。ルサンチマンやニヒリズムを克服し、常に創造的に生きる「超人」とは何か。その思想に迫る。

  • S01E03 ニーチェ“ツァラトゥストラ” 第3回「永遠回帰とは何か?」

    • April 13, 2011
    • NHK

    古今東西の名著を、25分×4回=100分で読み解く。ニーチェの代表作『ツァラトゥストラ』に込められた、ニーチェの哲学を堪能する。(全4回) ニーチェは、「超人」になるためには「永遠回帰」の思想を受け入れなければならないと説く。「おまえの過去は何回も巡ってくる。何度巡ってきてもよいと思える生き方をしろ」と鼓舞し、『ツァラトゥストラ』はクライマックスを迎える。「永遠回帰」はニーチェが大失恋をした直後にひらめいた発想ともいわれ、ニーチェ哲学の神髄であるが、難解なため、誤解も多い。そこで「永遠回帰」の発想をわかりやすく解説。その世界観に迫る。

  • S01E04 ニーチェ“ツァラトゥストラ” <終> 第4回「現代に“超人”は可能か?」

    • April 20, 2011
    • NHK

  • S01E05 ニーチェ“ツァラトゥストラ” 第4回「現代に“超人”は可能か?」

    • April 27, 2011
    • NHK

  • S01E06 論語 <新><全4回> 第1回「人生で一番大切なこと」

    • May 4, 2011
    • NHK

    孔子は実は遅咲きの苦労人だった。その苦労が、含蓄のある論語の言葉を生み出している。孔子は人生にとって何が一番大切だと言っているのか、その思想の根本に迫る。 “孔子は天才的な人物”と思われがちだが、実は遅咲きの苦労人だった。母1人、子1人で育った孔子は、貧しさのなか、勉学に励んだ。そしてようやく50代になって、大臣にまで上り詰めたが、政治闘争に敗れ、長い亡命生活を送ることになった。こうした孔子の経験が、含蓄のある「論語」のことばを生み出しているのである。孔子は、人生について何が一番大切だと言っているのか。第1回では、孔子の思想の根本に迫る。

  • S01E07 論語 第2回「自分のアタマで考えよう」

    • May 11, 2011
    • NHK

    孔子は若い弟子に様々な言葉を残しているが、そこではあえて結論を出さず、自分の頭で考えさせようとする姿勢が見られる。孔子が若者に伝えたかったメッセージをひもとく。 不況が続き、若者の就職難が問題になっているが、実は孔子の私塾も仕事を求める若者たちにとって「ハローワーク」としての面があった。入学料は干し肉の束を納めるだけ。当時としては、最も軽い手土産で教えを受け、出世の糸口を見つけることが出来た。孔子は弟子に、さまざまなコトバを残しているが、そこにはあえて結論を出さず、弟子に自分の頭で考えさせようとする姿勢が見られる。孔子が伝えたかったメッセージをひもとく。

  • S01E08 論語 第3回「人を動かすリーダー論」

    • May 18, 2011
    • NHK

    孔子の言葉はリーダーとしての生き方にも多く触れている。番組では、苦境にあるときに責任の取り方など、チームリーダーとして働くビジネスパーソンに役立つ教訓を学ぶ。 孔子のことばを集めた「論語」は、リーダーとしての生き方にも多くふれている。有名な明治の実業家・渋沢栄一も、論語を座右の銘としていたことで知られ、その精神を生かして500以上の企業を立ち上げた。論語には、苦境にある時の責任の取り方、人を評価する時に忘れてはならないことなど、現代人にとっても役に立つことばが、ちりばめられている。チームリーダーとして働くビジネスパーソンが、日々の仕事に役立つ教訓を学ぶ。

  • S01E09 論語 <終> 第4回「信念を持ち逆境を乗り切ろう」

    • May 25, 2011
    • NHK

    孔子は理想があれば逆境に勝つことができると説いた。「論語」最終回では講師の佐久協さんに加え、東レ経営研究所特別顧問の佐々木常夫さんを招き、信念と逆境について語る 孔子は、自らの挫折体験をふまえ、「心に理想があれば逆境に打ち勝つことができる」と説いた。「論語」最終回では、講師・佐久協さんに加え、東レ経営研究所・特別顧問の佐々木常夫さんを招く。論語好きの母に育てられ、自閉症の長男やうつ病の妻を支えながら、仕事を続けてきた佐々木さん。番組では、佐々木さんが座右の銘としている論語のことばに、佐久さんが独自の解釈を加え、孔子のメッセージをひもといていく。

  • S01E10 ドラッカー“マネジメント” <新><全4回> 第1回「感動のDNA」

    • June 1, 2011
    • NHK

  • S01E11 ドラッカー“マネジメント” 第2回「何のための企業か」

    • June 8, 2011
    • NHK

    「マネジメント」第1章4節の「事業の目標」を読み解く。「社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ」と説いたドラッカー。その真意を考える。 1000年に一度といわれる未曽有の大震災と、原発事故に見舞われた日本。企業は、どうあるべきなのか。未来に向け何を準備すればよいのか。今、そのあり方が厳しく問われている。第2回で取り上げるのは、ドラッカーの「マネジメント」第1章4節の「事業の目標」。ドラッカーは、その中でこう語っている。「社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ」。ドラッカーが放った厳しいことばの真意について探る。

  • S01E12 ドラッカー“マネジメント” 第3回「誰もがマネージャーになれる」

    • June 15, 2011
    • NHK

    第3回は第5章の「マネジャー」。ドラッカーはマネージャーの仕事にありがちな問題を指摘、それはマネジャーが自ら解決しなければならないとした。企業活性化の鍵を学ぶ。 第3回は、第5章の「マネジャー」。ドラッカーは、マネージャーの仕事にありがちな問題を指摘した上で、それは“マネジャーが自らの責任で解決しなければならない”と論じている。マネージャーの役割とは何なのか。そして成果を上げるには、どんな能力が必要なのか。指南役・上田惇生さんが、第5章を読み解くにあたって薦めるのは、「経営者の条件」という著作。その中に書かれている5か条も取り上げながら、その神髄に迫る。

  • S01E13 ドラッカー“マネジメント” <終> 第4回「日本よ!」

    • June 22, 2011
    • NHK

    マネジメントエッセンシャル版に日本の読者へのメッセージが記されている。大きな危機にある今、私たちはどうすればいいのか、ドラッカーの残したメッセージの意味を考える 2005年11月、ピーター・ドラッカーは亡くなった。2001年出版、マネジメントエッセンシャル版には、日本の読者に向け、こんなメッセージが記されている。「マネジメントの原則は、変わらざるもの、変わりえないものである。一人一人が自らの前にある機会と挑戦は何か、自らの拠所(よりどころ)、指針とすべき基本と原則は何かを考えていただきたい」。「もしドラ」作者・岩崎夏海さんを招き、ドラッカーの真意を探る。

  • S01E14 ドラッカー“マネジメント” 第1回「感動のDNA」

    • June 29, 2011
    • NHK

  • S01E15 福沢諭吉“学問のすゝめ” <新><全4回> 第1回「学問で人生を切りひらけ」

    • July 6, 2011
    • NHK

    明治維新後の混乱期、若者たちに進むべき道を示した福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読み解き、現代日本社会を生きるためのヒントを探っていく。(全4回) 第1回は「学問のすゝめ」が書かれた時代背景を知り、福沢諭吉が、なぜ「学問」を重んじたかを探る。福沢が執筆を始めた明治5年は、廃藩置県の翌年。全国で200万人の武士が一斉に“失業者”となった社会で、福沢が切り札と考えたのが「学問」、特に『人間普通日用に近き実学』だった。全編に流れる「学問」への信頼と敬意から、福沢の目指した理想を読み解く。

  • S01E16 福沢諭吉“学問のすゝめ” 第2回「国とわたりあえる人物たれ」

    • July 13, 2011
    • NHK

    明治維新後の混乱期、若者たちに進むべき道を示した福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読み解き、現代日本社会を生きるためのヒントを探っていく。(全4回) 第2回「国とわたりあえる人物たれ」【ゲスト】漫才コンビ…オリエンタルラジオ,【解説】明治大学教授…齋藤孝,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈

  • S01E17 福沢諭吉“学問のすゝめ” 第3回「独立自尊で生きよ」

    • July 20, 2011
    • NHK

    明治維新後の混乱期、若者たちに進むべき道を示した福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読み解き、現代日本社会を生きるためのヒントを探っていく。(全4回) 【ゲスト】漫才コンビ…オリエンタルラジオ,【解説】明治大学教授…齋藤孝,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈

  • S01E18 福沢諭吉“学問のすゝめ”<終> 第4回「いま“学問のすゝめ”をどういかすか」

    • July 27, 2011
    • NHK

    明治維新後の混乱期、若者たちに進むべき道を示した福沢諭吉の「学問のすゝめ」を読み解き、現代日本社会を生きるためのヒントを探っていく。(全4回) 第4回「いま“学問のすゝめ”をどういかすか」【ゲスト】数学者/お茶の水女子大学名誉教授…藤原正彦,【解説】明治大学教授…齋藤孝,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈

  • S01E19 ニーチェ“ツァラトゥストラ” <全4回> 第1回「ルサンチマンを克服せよ」

    • August 3, 2011
    • NHK

    古今東西の名著を25分×4回=100分で読み解く「100分de名著」。4月に放送した『ツァラトゥストラ』をアンコール放送!ニーチェの哲学を堪能する。(全4回) 入門編では、「ツァラトゥストラ」のあらすじと、解読の3つのポイント「ニーチェのおいたち」「ルサンチマン」「価値の転換」を紹介する。キリスト教を基盤とした19世紀ヨーロッパの価値観を根底から覆そうとした、挑戦的な哲学者だったニーチェ。同書は、40歳を目前にしたニーチェが、聖書に対抗する書として発刊した。執筆の目的は、人間を堕落させる嫉妬・恨みの感情「ルサンチマン」を、どう克服するかだった。

  • S01E20 ブッダ“真理のことば” <新><全4回> 第1回「生きることは苦である」

    • September 7, 2011
    • NHK

    9月はブッダが語った言葉をまとめたとされる「真理のことば」。ブッダは、人生は様々な苦しみに満ちているが、その苦しみは解決出来ると説いた。ブッダの真意に迫る。 9月はブッダが語った言葉をまとめたとされる「真理のことば」。釈迦族の王子だったブッダは、老いや病などの苦しみについて悩み、家族を捨てて出家し、思索に励んだ。そして悟りを開いた時、ブッダは自らが考えた真理を人々に語る。それが最初の説法とされる「真理のことば」191番だ。ブッダは、人生はさまざまな苦しみに満ちているが、その苦しみには理由があり、解決出来ると説く。人間のエゴを見つめたブッダの真意に迫る。

  • S01E21 ブッダ“真理のことば” 第2回「うらみから離れる」

    • September 14, 2011
    • NHK

    人間はこの世が自分に都合のいい状態であってほしいと願っている。しかしそれがかなわぬ時、人は世の中をうらみ、感情におぼれる。ブッダが説いた感情のメカニズムを学ぶ。 人間は現実と希望とのギャップに常に苦しみ、常に世の中が自分にとって都合のよい状態であることを願っている。しかし、その願いがかなわないと知る時、人は世の中や他人を恨み、正常な判断力を失いがちだ。そして「あの人は私に意地悪をしている」などと、根拠なく思いこんでしまうことがある。ブッダは、こうした状態を「無明」と称した。第2回では「恨み」を通して、さまざまな「煩悩の親玉」ともいえる「無明」について学ぶ。

  • S01E22 ブッダ“真理のことば” 第3回「執着を捨てる」

    • September 21, 2011
    • NHK

    ブッダは、自分勝手な執着をいましめた。そして執着に苦しむ自分を救うには、心の持ち方が肝心だと説いた。柔軟な価値観を持つことの大切さを説いたブッダの真意を探る。 人はしばしば、さまざまなものに執着して生きている。しかし執着が強すぎると、家族や財産といった幸せをもたらすはずのものも、思い通りにならないことにいらだち、苦しみを感じてしまう。ブッダは、自分勝手な執着を戒めるとともに、執着に苦しむ自分を救うには、心の持ち方が大切だと説いた。すなわち、心を整え、柔軟な価値観を持つように心がけることが、過度の執着を捨てることにつながるとした。執着を捨てるヒントを探る。

  • S01E23 ブッダ“真理のことば” <終> 第4回「世界は空(くう)なり」

    • September 28, 2011
    • NHK

    最終回では、大阪大学の教授で認知脳科学を研究している藤田一郎さんを招く。そして今シリーズの講師役・佐々木閑教授とともに、科学の面からブッダの教えを検証する。 ブッダは、人の心がどのように変化するかを、因果関係に基づいて論理的に分析した。そして集中して考え、自分の心の状態がどうなっているか、客観的に把握することが悟りへの道であるとした。最終回では、大阪大学の教授で認知脳科学を研究している藤田一郎さんを招く。そして今シリーズの講師役・佐々木閑教授とともに、科学の面からブッダの教えを検証する。客観的に考えて感情を制御することは可能なのか、ともに語り合う。

  • S01E24 マキャベリ“君主論” <新><全4回> 第1回「自立した人間として生きろ」

    • October 5, 2011
    • NHK

    君主は、非情であってもぶれない決断が大事だと説いたマキャベリの君主論。そこには現代のリーダーにも通じる知恵がつまっている。君主論からあるべきリーダー像を考える。 29歳でフィレンツェの外交官に抜てきされたマキャベリは、さまざまな君主との交渉を行った経験から、政治における決断の重要性を知っていた。43歳の時、外国の介入によるクーデターで政府を追放されると、マキャベリは自らを奮い立たせるように政治論文を書く。それが君主論だ。リーダーは、時に非情であっても、ぶれない決断が大事だと説いた君主論は、道徳論ばかりが語られていた当時では、極めて斬新なリーダー論だった。

  • S01E25 マキャベリ“君主論” 第2回「リーダーの条件とは」

    • October 12, 2011
    • NHK

    君主論で優れた例として書かれているのが、冷酷さで知られるヴァレンティーノ公のチェーザレ・ボルジアだ。マキャベリはなぜ冷酷な君主を理想としたのか?その真意に迫る。 「君主論」で、優れた統治の例として書かれているのが、冷酷さで知られるヴァレンティーノ公のチェーザレ・ボルジアだ。チェーザレは占領した町で側近を長官に任命、裁判の公正化など改革を矢継ぎ早に進めた。しかし厳しい統治に民衆の不満が高まると、今度は側近に罪を着せて処刑してしまう。マキャベリは政治には果断な決断が必要で、民衆を味方につけなくてはならないと説く。君主論から、現代にも通じるリーダーの条件を学ぶ。

  • S01E26 マキャベリ“君主論” 第3回「人間関係の極意」

    • October 19, 2011
    • NHK

    君主論では、人間関係についても多くのページが割かれている。そこには、恩恵や賞罰の与え方、様々なグループをまとめあげる技、部下への接し方などが記されている。 「君主論」では、人間関係のあり方にも多くのページが割かれている。そこには、恩恵や賞罰の与え方、さまざまなグループをまとめあげる技、部下への接し方、他人との距離の取り方など、具体的な方法が事細かに記されている。大衆は移り気なものだと痛感していたマキャベリは、人心をつなぎとめるためには、常に細心の注意を払うべきだと考えていた。第3回では、人つきあいに潜むワナと、人の心をつかむ極意について考える。

  • S01E27 マキャベリ“君主論” <終> 第4回「賢い交渉のツボ」

    • October 26, 2011
    • NHK

    最終回では、シリーズ講師の武田好さんに加え、元外交官の東郷和彦さんを招き、君主論やマキャベリの書いた書簡を読み解きながら、政治の現場での交渉術について語る。 フィレンツェは小国で、安全保障をフランスに頼っていた。しかしフランスとの交渉は、戦費の負担を巡り、紛糾することが多かった。こうしたなか、マキャベリは戦費を分割払いにすることに成功。高い交渉力を発揮した。最終回では、講師・武田好さんに加え、元外交官・東郷和彦さんを招く。「君主論」や、マキャベリが書いた書簡などを基に、国際外交について考える。「現代にも通じる交渉術のツボとは何か」を共に語り合う。

  • S01E28 アラン“幸福論” <新><全4回> 第1回「人は誰でも幸福になれる」

    • November 2, 2011
    • NHK

    第1回「人は誰でも幸福になれる」【ゲスト】明治大学文学部教授…合田正人,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈 【ゲスト】明治大学教授…合田正人,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈

  • S01E29 アラン“幸福論” 第2回「人生の主役になれ」

    • November 9, 2011
    • NHK

    幸福を得るには、努力することが大切だ。努力は苦しいことでもある。しかし困難を乗り越えたときこそ人は幸せを感じるものだとアランは記した。人生への向き合い方を学ぶ。 アランは幸福の例として芝居をあげる。つまらない芝居を見ると退屈だが、自分が芝居に出る時には、つまらない芝居でも退屈しない。だから「幸せになりたい人は、舞台に上がらなくてはならない」という。幸福を得るためには“人生の主役”になって、前向きに努力することが何より大切だ。もちろん努力は苦しいことでもある。しかし、人は苦しさを乗り越えた時こそ、幸福を感じる。“棚ぼた式の幸せはあり得ない”とアランは記した。

  • S01E30 アラン“幸福論” 第3回「ダンスのように人とつきあう」

    • November 16, 2011
    • NHK

    礼儀を知らない人は、他人との良い関係が築けず、幸せになれない。アランは、ありのままの相手を受けいれる広い心を持つことの大切さを説いた。礼儀と幸福の関係を考える。 「礼儀を知らない人は、よい人間関係を築けない。そのため人は礼儀を学ぶ必要がある」とアランは言う。アランは“礼儀とはダンスのようなものだ”とした。規則だけ覚えても、自然に動けるようにならなくては、ダンスにならない。過剰に意識するのではなく、半ば無意識のうちに相手に敬意を払えるようになること。それが礼儀だと説いた。ありのままの相手を受け入れられる広い心を持つこと、それも幸せには大切なことなのだ。

  • S01E31 アラン“幸福論” <終> 第4回「幸福になることは義務である」

    • November 23, 2011
    • NHK

  • S01E32 アラン“幸福論” 第4回「幸福になることは義務である」

    • November 30, 2011
    • NHK

  • S01E33 宮沢賢治“銀河鉄道の夜” <新><全4回> 第1回「賢治の伝言」

    • December 7, 2011
    • NHK

    宮沢賢治を世界に紹介してきたロジャー・パルバースさん。東日本大震災に見舞われた私たちが、明日を生きていくためのヒントが賢治の代表作「銀河鉄道の夜」にあると言う。 この40年間で繰り返し「銀河鉄道の夜」を翻訳してきたロジャー・パルバースさんは、今回賢治の足取りを追って、東北・岩手を訪問。賢治の愛した美しい高原に赴き、物語の世界への想像を膨らませた。「銀河鉄道の夜」を賢治が書いた動機は、“最愛の妹・トシを失った悲しみからだった”とパルバースさんは言う。生と死をテーマに描いた「銀河鉄道の夜」の奥深い世界に迫る。

  • S01E34 宮沢賢治“銀河鉄道の夜” 第2回「悲しみから希望へ」

    • December 14, 2011
    • NHK

    東日本大震災を経験した今、私たちはいかにその悲しみを乗り越え、希望を見出していったらいいのだろうか。「銀河鉄道の夜」の2場面を取り上げ、そのヒントを探っていく。 東日本大震災を経験した今、私たちは、いかにその悲しみを乗り越え、希望を見いだせば、よいのだろうか。悲しみから前を向くためにヒントとなるシーンが「銀河鉄道の夜」にある。番組では、代表的な2か所を紹介。そこを読み解きながら、どんな状況にあっても“決して私たちは無力ではない”というメッセージを、死の前まで「銀河鉄道の夜」を書き続けた宮沢賢治の生き方に見いだす。

  • S01E35 宮沢賢治“銀河鉄道の夜” 第3回「みんなつながっている」

    • December 21, 2011
    • NHK

    森羅万象のつながりをみつめつづけた賢治。その思想は「銀河鉄道の夜」にも貫徹している。鳥を捕る人やさそりの逸話など不可思議な世界を読み解き、つながりの思想を探る。 閉塞感に覆われ始めている日本。“そうした時にこそ、私たちはこの世界で決してバラバラではなく、すべてがつながっていると考えるのは有効ではないか”とパルバースさんは語る。森羅万象のつながりを見つめ続けた賢治。その思想は「銀河鉄道の夜」にも貫徹している。「鳥を捕る人」「さそりの逸話」など、「銀河鉄道の夜」の不可思議な世界を読み解きながら、その奥にある「つながり」の思想を探っていく。

  • S01E36 宮沢賢治“銀河鉄道の夜” <終> 第4回「ほんとうの幸い」

    • December 28, 2011
    • NHK

    「ほんとうの幸い」はどこにある?宮沢賢治が残したヒントは「歌え、踊れ、笑え」▽幸せを求めることに幸せがある▽誰もが自由になれる「ジョバンニの切符」を持っている! もし宮沢賢治が生きていたら「ほんとうの幸い」について、私たちに何を語るだろうか。賢治の世界を見つめてきた鎌田東二さんは言う。「歌え、踊れ、そして笑え」。農民に文化や芸術を教えた賢治は“体の底からあふれてくる感情こそ大切だ”と考えた。一方パルバースさんは「銀河鉄道の夜」に描かれた、どこまでも行けるジョバンニの切符は、すべての人の心の中にあるという。賢治が教えるもっとも大切な精神は「自由」であると。

  • S01E37 兼好法師“徒然草” <新><全4回> 第1回「心地よい人づきあいとは」

    • January 4, 2012
    • NHK

    兼好は親しい仲でも時には改まった態度を示すと良いとした。人間関係は互いに気を遣わなくなった時に落とし穴があるからだ。人の弱さを熟知していた兼好の気配り術を学ぶ。 兼好は気を使わずに済む友こそ、よい友だと考えた。一方で、親しい仲でも時には改まった態度を示すとよいとしるした。人間関係は互いに気を遣わなくなった時に落とし穴がある。そこで兼好は、なれ合いになったら距離をおき、疎遠になったら距離をせばめ、常に新鮮な関係を保つとよいとした。また兼好は、なまはんかな覚悟で妻や家族を持つことも厳しくいましめた。人間の弱さを熟知していた兼好の気配り術と人間関係の極意を学ぶ。

  • S01E38 兼好法師“徒然草” 第2回「上達の極意」

    • January 11, 2012
    • NHK

    人生は一瞬の積み重ねであり、毎日に緊張感を持って生きることが、自分を高めることになると兼好は説いた。第2回では、徒然草に書かれた上達論から、自己啓発の術を学ぶ。 兼好は、上達したいと願う時には形だけでもよいから達人のマネをすることから始め、人前に出ることを恥じるなと説いた。そして大事だと思っていることは、タイミングと関係なく今すぐ取りかかれと述べている。人生は一瞬一瞬の積み重ねであり、同じことは2度と起きない。毎日に緊張感を持って生きることが、自分を高めることになると兼好は説く。第2回は、徒然草に書かれたさまざまな上達論から、自己啓発に必要な心構えを学ぶ。

  • S01E39 兼好法師“徒然草” 第3回「世間を見抜け」

    • January 18, 2012
    • NHK

    世間にふりまわされて嫌な思いをしないためには、どうしたらよいのだろうか。兼好は自分を様々な方角から見つめ直すことを勧めた。世間という魔物に流されない術を学ぶ。 いわゆる世間というものは、あらぬウワサを立てられたりする恐ろしいものである。そんな世間に振り回されて嫌な思いをしないためには、どうしたらよいのだろうか。兼好は、自省を怠らず、自分自身をさまざまな方角から見つめ直すことを勧めた。そして、自分のことを賢いと思っている人の慢心を強くいさめた。また第3回では、兼好が指摘した人が陥りがちな落とし穴を学ぶ。そして世間に対じする時に必要な心構えについて考える。

  • S01E40 兼好法師“徒然草” <終> 第4回「人生を楽しむために」

    • January 25, 2012
    • NHK

    最終回では、大学で日本文学を学び、徒然草の大ファンである作家の嵐山光三郎さんを招く。自由に生きた兼好の姿を通して、人生を前向きに楽しむ術について語り合う。 最終回では、大学で日本文学を学び、徒然草の大ファンである作家・嵐山光三郎さんを招く。兼好は成功や失敗といった固定概念を嫌った。そして完全なものでなく、不完全なものを愛した。こうした柔軟で優しい視線があったからこそ、兼好は、世の中の真実を見つめる力を養うことができたのだと、嵐山さんは考えている。最終回では、平凡な日常を楽しみ、自由に生きた兼好の姿を通して、人生を前向きに過ごす方法について語り合う。

  • S01E41 新渡戸稲造“武士道” <新><全4回> 第1回「正義・日本人の美徳」

    • February 1, 2012
    • NHK

    【ゲスト】東京大学史料編纂所教授…山本博文,【キャスター】堀尾正明,瀧口友里奈,【語り】黒澤保裕 新渡戸稲造は、義と勇、礼や仁など、さまざまな武士道の徳目について解説している。新渡戸は、特に大事なものは義と勇であり、正義を守る勇気を持つ者こそが、真の武士だとしるした。さらに、武士が目指すべき究極の目標として名誉を挙げた。武士にとって忠義とは、他人から強制されるものではなく、名誉を得るための自己実現の手段だった。第1回では、武士道を通して、今の日本人にも脈々と流れている正義感について考える。

  • S01E42 新渡戸稲造“武士道” 第2回「名誉・日本人の責任の取り方」

    • February 8, 2012
    • NHK

    武士は責任を取るときに切腹した。しかし名誉を重んじる武士は、潔い反面、事実関係を解明することには関心がなかった。第2回では、武士道から日本人の責任感を見つめる。 昔の日本人は、腹に魂が宿っていると考えていた。そのため武士は、責任を取るとき切腹した。切腹とは、真心を示す意味もあったのである。一方で切腹は、人の死を軽んじる傾向を生んだ。また部下に詰め腹を切らせ、責任の所在を曖昧にしてしまうこともあった。新渡戸稲造は武士の勇気をたたえるとともに、陥りがちな欠点も指摘。「いたずらに死を選ぶことはひきょうである」と記した。第2回は武士道から日本人の責任感を見つめる。

  • S01E43 新渡戸稲造“武士道” 第3回「忍耐・謎のほほ笑み」

    • February 15, 2012
    • NHK

    新渡戸は、日本人が苦しい時にほほ笑むのは、自分の心の平衡を保つための手段なのだと記した。第3回では、日本人の忍耐力の源泉について、武士道からひもといていく。 外国人にとって、日本人の行動には謎が多く、誤解を生じやすい。新渡戸稲造が生きた時代、外国人の間では「日本人が苦しい時に、ほほ笑むのは鈍感だからだ」という指摘すらあるほどだ。そこで新渡戸は、武士にとって感情をむき出しにすることは、礼に反し、勇気のない行為に当たると解説。苦しい時のほほ笑みは、自分の心の平衡を保つための手段なのだと記した。第3回では、日本人の忍耐力の源泉とは何かを、武士道からひもとく。

  • S01E44 新渡戸稲造“武士道” <終> 第4回「武士道・その光と影」

    • February 22, 2012
    • NHK

  • S01E45 新渡戸稲造“武士道” 第4回「武士道・その光と影」

    • February 29, 2012
    • NHK

  • S01E46 ブッダ“真理のことば” <全4回> 第1回「生きることは苦である」

    • March 7, 2012
    • NHK

    ブッダが語った言葉をまとめたとされる「真理のことば」。ブッダは、人生は様々な苦しみに満ちているが、その苦しみは解決出来ると説いた。ブッダの真意に迫る。 ブッダが語った言葉をまとめたとされる「真理のことば」。釈迦族の王子だったブッダは、老いや病などの苦しみについて悩み、家族を捨てて出家し、思索に励んだ。そして悟りを開いた時、ブッダは自らが考えた真理を人々に語る。それが最初の説法とされる「真理のことば」191番だ。ブッダは、人生はさまざまな苦しみに満ちているが、その苦しみには理由があり、解決出来ると説く。人間のエゴを見つめたブッダの真意に迫る。

  • S01E47 源氏物語 <新><全4回> 第1回「光源氏のコンプレックス」

    • April 4, 2012
    • NHK

    母の身分が低かったことから、皇族ではなく臣下の地位にされてしまった光源氏。実は光源氏には、不遇感からくるコンプレックスがあった。番組では光源氏の心の奥底に迫る。 聡明で美しい光源氏は、天皇になるはずの能力と血筋を持った男だったが、母の身分が低かったことから源氏という臣下の地位にされてしまう。そのため、不遇感から強い上昇志向を持つようになり、それが天皇の后(きさき)など身分の高い女性との禁断の恋に結びついていく。第1回では、光源氏のコンプレックスにスポットをあてる。さらに、単なる恋物語ではなく、政治小説としての側面も解説、源氏物語の全体像を明らかにする。

  • S01E48 源氏物語 第2回「あきらめる女 あきらめない女」

    • April 11, 2012
    • NHK

    源氏物語には様々なタイプの女性が登場する。女として男から愛されることを選ぶか、それとも母として生きることを選ぶか。悩みながら生きる女たちの心の奥底に迫る。 源氏物語には、さまざまなタイプの女性が登場する。年上インテリ女性が抱える苦悩を描いた六条御息所。愛されながらも子どもがない悲しさを感じる紫の上。晩年には母親としての幸せを手に入れる明石の君。男から愛されることを選ぶか、それとも母として生きることを選ぶか。物語の女たちは、悩みながら生きる。人生、すべてを手に入れることはできず、何かをあきらめなくてはならない。女にとっての、あきらめの意味を探っていく。

  • S01E49 源氏物語 第3回「体面に縛られる男たち」

    • April 18, 2012
    • NHK

    物語の後半になると、光源氏にも老いが目立ち、若いときと違って、女を自由に出来なくなる。光源氏の晩年から、体面を気にしながらも、女に執着する男の弱さを見つめる。 人生の後半、光源氏は政治の表舞台で栄華を極める。しかし、この辺りから光源氏にも老いが目立ち始め、若いときと違って女を自由に出来なくなる。新たに迎えた妻・女三の宮は、源氏よりも若い柏木の子を宿してしまい、ひそかに思いを寄せていた玉鬘も寝取られ、長年連れ添った紫の上までもが別れたいと言いだす。第3回では光源氏の晩年を描く。そして世間的な体面を気にしながらも、女に執着する男の未練と弱さを見つめていく。

  • S01E50 源氏物語 <終> 第4回「夢を見られない若者たち」

    • April 25, 2012
    • NHK

    光源氏の死後、物語はその息子や孫が主人公となる。しかし彼らは生きる強さに欠けていた。最終回では、夢見ることを忘れてしまった草食系男子たちの心の奥底を見つめる。 光源氏の死後、物語はその息子や孫が主人公となる。彼らは、幼いころから恵まれた環境に育った。そのため、父と異なり野心を持つことが出来ず、生きる強さに欠けていた。女を全力で愛することが出来ない男の恋は、互いのすれ違いを生み、新たな悲劇へと発展してしまう。最終回では「宇治十帖」を中心に、夢見ることを忘れてしまった草食系男子の心の奥底を見つめるとともに、現代の恋愛事情との共通点を探っていく。

  • S01E51 カフカ“変身” <新><全4回> 第1回「しがらみから逃れたい」

    • May 2, 2012
    • NHK

    「変身」の主人公・グレーゴルは、なぜ虫に変身してしまったのだろうか。第1回では、社会や家族など、様々なしがらみから逃れたいと願う人間の心情について考える。 「変身」は人間の真実をついた作品であると共に、著者カフカ自身が投影されている作品でもある。カフカはサラリーマンとして働いていたが、本当は小説を書くことに集中したいと思っていた。そのため外に出かけて働くのは大変な苦痛だった。「変身」の主人公・グレーゴルが虫になり、部屋に閉じこもるのも、カフカの出社拒否願望の現れと解釈できる。第1回では、社会や家族のしがらみから逃れたいと願う人間の心情について考える。

  • S01E52 カフカ“変身” 第2回「前に進む勇気が出ない」

    • May 9, 2012
    • NHK

    仕事、結婚、家庭…人生に決断がつきものだが、どうしても前に進む勇気を持てないことはないだろうか。第2回では「変身」を通して、人生の岐路における葛藤をひもとく。 「変身」では、グレーゴルが次第に怠け者になる。毎日寝て過ごし、天井で遊ぶのが日課になる。家族を養う重圧から解放され、ホッとしているかのようなグレーゴル。それはカフカ自身の願望とも受け取れる。カフカは繊細すぎる男で、決断がなかなか出来なかった。仕事、結婚、家庭…人生には決断が付きものだが、どうしても前に進む勇気を持てないことはないだろうか。第2回では、人生に自問自答し続けたカフカの葛藤をひもとく。

  • S01E53 カフカ“変身” 第3回「居場所がなくなるとき」

    • May 16, 2012
    • NHK

    物語の最後、グレーゴルは家族の厄介者になり、ついには死ぬ。そこには現代の社会にも通じる現実が鮮やかに記されている。第3回では居場所を失う時の恐ろしさを描きだす。 「変身」では話が進むにつれ、虫になったグレーゴルが人間扱いされなくなる。最後には妹までもが「あれはもうお兄さんではない」と叫ぶ。もはやグレーゴルは、やっかい者以外の何者でもなかったのだ。そこには、現代の社会や家族にも通じる現実が、鮮やかに描かれている。例えば親の介護に疲れたとき、グレーゴルの家族と同じような気持ちになることはないだろうか。第3回では、居場所を失ってしまった時の恐ろしさを描きだす。

  • S01E54 カフカ“変身” <終> 第4回「弱さが教えてくれること」

    • May 23, 2012
    • NHK

  • S01E55 カフカ“変身” 第4回「弱さが教えてくれること」

    • May 30, 2012
    • NHK

  • S01E56 パスカル“パンセ” <新><全4回> 第1回「人生は選択の連続だ!」

    • June 6, 2012
    • NHK

    パスカルは人間の判断は環境や習慣などの外的要因に大きく左右されるとした。人生における様々な選択を例にあげながら、人間の思考にはどんな弱点があるのかを解き明かす。 人生に選択はつきものだ。ではその選択は、きちんとしたものだろうか?企業の就職人気ランキングは時代と共に変わるが、それは社会の空気によるとも言える。パスカルは、人間の判断は環境や習慣などの外的要因に大きく左右されるとした。また人間の願望には限りがなく、常に「この選択でよいのか」と悩み続けるとも記した。流されやすく欲深い…それが人間の本性なのだ。第1回では、人間の思考にはどんな弱点があるのかを考える。

  • S01E57 パスカル“パンセ” 第2回「もっと誰かにほめられたい!」

    • June 13, 2012
    • NHK

    人間の願望は自己愛に源を発している。自分を認めて欲しいという思いは生きる力になるが、同時に現実を直視できないことにもつながる。第2回では自己愛とは何かを考える。 人間の願望は自己愛に源を発している。自分を認めてほしいという思いが、生きる原動力になっている。しかし自己愛は、時には自慢や嫉妬・羨望を生んでしまう。また人間は、自己愛によって現実をきちんと直視出来ないことが多い。耳の痛い真実は、身分の上下に関係なく、あらゆる人を傷つけるからだ。パスカルは、人間の考えることは常に自己愛によって、ゆがんでいるとした。第2回では、人間の自己愛について解き明かしていく。

  • S01E58 パスカル“パンセ” 第3回「生きるのがつらいのはなぜか?」

    • June 20, 2012
    • NHK

    人間が何かに熱中するのは、やがて訪れる死の恐怖から目をそらし、死を忘れるためだとパスカルは述べた。第3回では、死とは何か、生きるのがつらいのはなぜかを考える。 趣味もなく仕事もない状態で部屋に閉じこもっていると、気分が沈んでいくだろう。人間は考えることをやめることができない。だから何もしないでいると思考が空回りして、かえって苦しむのだ。パスカルは人間は何かに熱中していないと生きられないとした。そして人間が何かに熱中するのは、やがて訪れる死の恐怖から目をそらし、死を忘れるためだとパスカルは述べた。第3回では、死とは何か、生きるのがつらいのはなぜかを考える。

  • S01E59 パスカル“パンセ” <終> 第4回「人間は考える葦(あし)である」

    • June 27, 2012
    • NHK

    最終回ではゲストとして分子生物学者の福岡伸一さんを招く。原発事故など人間の理性の落とし穴が明らかになった今、私たちが忘れてはならないことは何なのかを語りあう。 最終回ではゲストとして分子生物学者・福岡伸一さんを招く。福岡さんはこれまで科学の限界を痛感してきた。世界には複雑な要素があまりにも多く、全ての因果関係を突き止めることは不可能ともいえるからだ。「パスカルは“人間には分からないことがある”という事実を前に、人間のおごりをいましめた」と福岡さんは言う。原発事故など人間の理性の落とし穴が明らかになった今、私たちが忘れてはならないことは何なのかを語りあう。

  • S01E60 源氏物語 <全4回> 第1回「光源氏のコンプレックス」

    • July 4, 2012
    • NHK

    母の身分が低かったことから、皇族ではなく臣下の地位にされてしまった光源氏。実は光源氏には、不遇感からくるコンプレックスがあった。番組では光源氏の心の奥底に迫る。 聡明で美しい光源氏は、天皇になるはずの能力と血筋を持った男だったが、母の身分が低かったことから源氏という臣下の地位にされてしまう。そのため、不遇感から強い上昇志向を持つようになり、それが天皇の后(きさき)など身分の高い女性との禁断の恋に結びついていく。第1回では、光源氏のコンプレックスにスポットを当てる。さらに、単なる恋物語ではなく、政治小説としての側面も解説、源氏物語の全体像を明らかにする。

  • S01E61 フランクル“夜と霧” <新><全4回> 第1回「絶望の中で見つけた希望」

    • August 1, 2012
    • NHK

  • S01E62 フランクル“夜と霧” 第2回「どんな人生にも意味がある」

    • August 8, 2012
    • NHK

    人間は欲望だけではなく、家族愛や仕事への献身など様々な使命感を持って生きている。どんな状況でも自分の本分を尽くす―そこに“生きる意味”があるとフランクルは言う。 私たちは、自由で自己実現が約束されている環境こそが幸せだと思っている。しかし災害や病気などに見舞われた時は、そうはいかない。収容所はその最悪のケースだ。しかし、それでも幸せはまだ近くにあるのではないかとフランクルは考えた。人間は欲望だけではなく、家族愛や仕事への献身など、さまざまな使命感を持って生きている。どんな状況でも自分の本分を尽くす。そこに“生きる意味”があるのだと、フランクルは訴える。

  • S01E63 フランクル“夜と霧” 第3回「運命と向き合って生きる」

    • August 15, 2012
    • NHK

    フランクルは人生の意味を見失った時には“3つの価値”を思いだすとよいと説いた。番組ではフランクルが提唱した3つの価値について「夜と霧」をひもときながら解説する。 収容所には、極限状態でも人間性を失わなかった者がいた。囚人たちは、時には演芸会を催して音楽を楽しみ、美しい夕焼けに心を奪われた。フランクルはそうした姿を見て、人間には「創造する喜び」と「美や真理、愛などを体験する喜び」があると考えた。しかし過酷な運命に打ちのめされてしまっていては、こうした喜びを感じとることはできない。つまり、どんな状況でも運命にきぜんとした態度をとることが、生きる力となるのだ。

  • S01E64 フランクル“夜と霧” <終> 第4回「苦悩の先にこそ光がある」

    • August 22, 2012
    • NHK

    最終回ではフランクルの言葉に支えられながら生きてきたという姜尚中さんをゲストとして招く。与えられた運命に私たちはどのように対峙するべきか、姜さんと共に語り合う。 フランクルは、生きる意味は自ら発見するものであり、苦しみは真実への案内役だと説いた。最終回では、フランクルの言葉に支えられながら生きてきたという、姜尚中さんをスペシャルゲストとして招く。姜さんは「与えられた運命を引き受け、それをバネにすることで成長が生まれる」と言う。先行きの見えない不安が広がっている今、わたしたちは生きる希望をどのように見いだすべきなのだろうか。「夜と霧」から考える。

  • S01E65 チェーホフ“かもめ” <新><全4回> 第1回「たくさんの恋」

    • September 5, 2012
    • NHK

    世界演劇史に大いなる衝撃を与えた戯曲、チェーホフの「かもめ」。彼が作品の構想を温めていた時に綴った言葉が「5プードの恋」、たくさんの恋という意味だった。 チェーホフは代表的な戯曲「かもめ」の中で、さまざまな恋を描いている。古典的な文学の世界なら、そうした恋の多くはさまざまな障壁を乗り越えながら成就していくものだが、「かもめ」で描かれる「たくさんの恋」は、ほとんどが片思いの一方通行だ。めでたく成就する恋はまずない。番組では一つ一つの恋を紹介しながら、なぜチェーホフはこのような恋のありさまを書いたのか、東京大学大学院教授・沼野充義さんと読み深めていく。

  • S01E66 チェーホフ“かもめ” 第2回「すれちがい」

    • September 12, 2012
    • NHK

    戯曲「かもめ」に登場する人物の会話はかみ合わず、それぞれの相手に思いは届かない。なぜすれ違う人の有り様をチェーホフは描いたのか。作品に漂う彼の人生観に迫る。 「かもめ」には多くの人物が登場し、多くの人間関係が描かれているが、そこで繰り広げられるのが「すれちがい」。交わされる会話はかみ合わず、それぞれの思いは相手には届いていないのではないかという世界だ。現代社会に通じるコミュニケーション不全や人間の孤独、そして人間は本当に分かり合えるのかというテーマを、チェーホフはすでに描き出していた。その背景にあるチェーホフの人生観とは、どのようなものだったのか。

  • S01E67 チェーホフ“かもめ” 第3回「自分をさがして」

    • September 19, 2012
    • NHK

    19世紀末、革命前夜のロシアでは従来の価値観が崩れ若者達が進むべき道を模索していた。「かもめ」の登場人物も常にさまよい続けている。現代日本に通じる普遍性を探る。 「かもめ」に登場する文学青年は、作家になる夢を果たしながらも迷い続け、かつて恋人だった女優志望の少女は名を成せず、私生活では離婚などボロボロになりながらも生きる道を求め続ける。19世紀末、革命前夜のロシアでは、それまでの価値観が崩れ多くの若者たちが成すべき事を模索していた。人生において、自分が本当にすべきことは何か。チェーホフの投げかけた問いを、今の私たちに重ねながら考えていく。

  • S01E68 チェーホフ“かもめ” <終> 第4回「人生は悲劇か 喜劇か」

    • September 26, 2012
    • NHK

    「かもめ」の結末は唐突で衝撃的だ。一見悲劇にも見えるがチェーホフは喜劇だと記す。俳優の柄本明さんも喜劇だと断言する。「かもめ」をめぐる長年の大問題を語り尽くす。 「かもめ」は文学青年・トレープレフの自殺の知らせで終わる。唐突な終わり方で、悲劇にしか思えない結末だ。しかしチェーホフは、友人への手紙に「かもめ」は喜劇であると記している。「かもめ」は悲劇か、喜劇か。人生を扱いながら、答えを言わず、問いかけのみをするチェーホフ。シリーズ最終回は、チェーホフの一人芝居を演じてきた俳優・柄本明さんを交え「かもめ」を私たちの「人生」と置き換えながらこの問題を語り尽くす。

  • S01E69 鴨長明“方丈記” <新><全4回> 第1回「知られざる災害文学」

    • October 3, 2012
    • NHK

    方丈記は、前半のほとんどが平安末期の「五大災厄」、大火、つじ風、遷都、飢きん、大地震の記述で占められている。作者・鴨長明はなぜ災害を記録したのか?その真意に迫る 「無常観」を表したことで知られる「方丈記」。実は前半のほとんどを、平安末期に起きた大火、つじ風、遷都、飢きん、大地震の記録に当てている。その描写力は、東日本大震災で多くのメディアが引用するほどリアルなものだ。さらに、災害に対する都会のぜい弱さ、庶民を顧みない政治のあり方、そして人々の記憶の風化現象を指摘するなど、いつの時代でも通用する視点で捉えている。災害記録文学として「方丈記」の魅力をひもとく。

  • S01E70 鴨長明“方丈記” 第2回「負け組 長明の人生」

    • October 10, 2012
    • NHK

    長明はなぜ方丈記を書いたのか?その背景には、転落の一途をたどった不遇の人生があった。長明自身の歌や同僚の日記などから、方丈記に記されなかった長明の人生に迫る。 長明の自分史ともいえる「方丈記」だが、長明は、なぜか自分の過去については多くを語らない。方丈の庵に住むようになったいきさつも、ただ「不運が重り」「居場所がない」と語るのみである。長明はなぜ世捨て人となり、方丈記を書いたのか?同時代の貴族の日記や、長明自身が詠んだ歌からは、俗世間を離れたいと願いつつ、同時に栄達も諦めきれない、普通の人・長明の姿が浮かび上がる。方丈記に記されなかった長明の人生に迫る。

  • S01E71 鴨長明“方丈記” 第3回「捨ててつかんだ幸せ」

    • October 17, 2012
    • NHK

    「方丈記」の後半、方丈の庵にこもり世捨て人の暮らしを謳(おう)歌する鴨長明、その先に見えた幸せとはなんだったのか?長明が到達した「無常」の境地を見つめる。 「方丈記」の後半、すべてを捨てた長明は、まるで人生の憂鬱から解放されたかのように、生き生きと過ごす。そこには、自分の不運を嘆き人生を「諦める」のではなく、不運を悟った上で「執着」を捨て、それでも満足して生きていけることを発見した、長明の得意げな顔が見える。家を捨て、都を捨て、栄達を捨て、人間関係を捨てた鴨長明。その先に見えた幸せとは、なんだったのか? 長明が到達した「無常」の境地を見つめる。

  • S01E72 鴨長明“方丈記” <終> 第4回「不安の時代をどう生きるか?」

    • October 24, 2012
    • NHK

  • S01E73 鴨長明“方丈記” 第4回「不安の時代をどう生きるか?」

    • October 31, 2012
    • NHK

  • S01E74 アインシュタイン“相対性理論” <新><全4回> 第1回「光の謎を解き明かせ!」

    • November 7, 2012
    • NHK

    アインシュタインは、時間と空間は相対的に変化するという極めてユニークな発想に基づき、光の速度の謎を解き明かした。第1回では相対性理論が誕生するまでの経緯を語る。 光速に近づくと時間が遅くなる? 重力で宇宙空間がひずむ? 常識とは、かけ離れた世界に感じられる相対性理論。アインシュタインは、なぜこのような理論を考えたのだろうか。20世紀初頭、当時の物理学者は光の謎を解明できずにいた。その謎に挑んだのが相対性理論だった。アインシュタインは、時間と空間は相対的に変化するという極めてユニークな発想に基づき、問題を解決。第1回は相対性理論が誕生するまでの経緯を語る。

  • S01E75 アインシュタイン“相対性理論” 第2回「時間と空間は縮む」

    • November 14, 2012
    • NHK

    光速に近いような速い速度で宇宙船が移動すると、中の人にとっては時間が遅く感じられ、周囲の空間が縮むことになる!?第2回では、時間と空間の不思議を明らかにする。 アインシュタインは「光の速度は、どの観測者から見ても、一定である」とした。この原理に基づくと、光速に近いような早い速度で移動する宇宙船の中では、時間がたつのが遅く感じられるという不思議な現象が起きる。変化するのは時間だけではない。宇宙船が早い速度で移動する時、宇宙船の中の人にとっては、周囲の空間が縮んで見えるという。第2回では、相対性理論の基礎から、時間と空間に関わる不思議な現象を解説する。

  • S01E76 アインシュタイン“相対性理論” 第3回「驚きのエネルギー革命」

    • November 21, 2012
    • NHK

    アインシュタインは、物質の質量には、ぼう大なエネルギーが秘められているとした。原子力開発の基礎ともなった理論だが、第3回では、エネルギーと質量の関係に迫る。 アインシュタインは光が最も速い理由について、光に質量がないからだとした。そして光以外の物質は速度が上がるにつれ質量が増すとした。例えばロケットの場合、光速に近づくにつれロケットの質量が増える。そのため次第に加速が難しくなり、質量ゼロの光に追いつけない。またアインシュタインは、物質の質量には膨大なエネルギーが隠されているとした。この理論に基づいているのが原子力だ。第3回では、エネルギーの謎に迫る。

  • S01E77 アインシュタイン“相対性理論” <終> 第4回「ゆがんだ宇宙 重力の正体とは」

    • November 28, 2012
    • NHK

    アインシュタインは、重力とは質量によって空間が曲がることによって引き起こされる力だと考えた。第4回では、重力の正体を解き明かすと共に、ブラックホールの謎に迫る。 太陽と地球の間には重力が働いて互いに引き合っており、この力が釣り合っているので地球が回っていると、私たちは思いがちだ。ところがアインシュタインは太陽の巨大な質量のために、太陽の周りの空間が曲げられており、そのゆがみに沿って地球が進んでいると考えた。つまり重力とは空間が曲がることによって生まれる運動なのだ。第4回では、重力の正体を明らかにするとともに、ブラックホールの謎やタイムマシンの可能性を語る。

  • S01E78 サン=テグジュペリ 星の王子さま <新><全4回> 第1回「子どもの心を忘れずに」

    • December 5, 2012
    • NHK

    ある飛行士が砂漠に不時着、星から来た不思議な王子に出会う。王子の質問に答えるうちに飛行士はあることに気づく。自分が物足りない毎日を送っていたのは、何故なのかを。 物語は飛行士が思い出を語る形で進む。飛行士は幼い頃、画家になるのが夢だった。しかし才能を認めてもらえず、夢を諦めた。ある日、飛行士は砂漠に不時着し、星からやって来た不思議な王子に出会う。王子の純粋な質問に答えるうちに飛行士は、あることに気付く。自分が物足りない毎日を送っていたのは、子どもの頃の情熱を失っていたからだと。第1回では、子どもの心を持ち続けることが、人生にとって、どんなに大切かを語る。

  • S01E79 サン=テグジュペリ 星の王子さま 第2回「悲しい勘違い」

    • December 12, 2012
    • NHK

    王子は飛行士にこれまでの旅を語り始める。ある日、王子の星にバラが咲いた。王子はバラを愛していたが、2人の仲はこじれるばかりだった。一体、何がいけなかったのか… 王子は飛行士にこれまでの旅を語り始める。ある日、王子の星にバラが咲いた。バラを見たのは初めてだった王子は感激して世話をするが、バラは強気で王子につれなかった。実はバラは、王子への愛を素直に表せなかったのである。王子は傷つき、星々を巡る旅に出る。そこには自己中心的な欲望にとらわれた大人たちがいた。王子はそうした大人たちとの出会いを通し成長する。そしてバラに対する思いも、大きく変わっていくのだった。

  • S01E80 サン=テグジュペリ 星の王子さま 第3回「本当の絆のつくり方」

    • December 19, 2012
    • NHK

    地球を訪れた王子にキツネが声をかけた。キツネは王子に、愛は時間によって育まれると言う。共に過ごした時があるからこそ、かけがえのない唯一の存在になるのだと― 7つ目の星・地球で、王子は5000本のバラが咲く庭を目にする。世界にひとつしかないと思っていたバラが、こんなにある。自分が愛したバラが、何の変哲もない花に過ぎなかったことを知り、王子はショックを受ける。するとキツネが王子に声をかけ、愛は時間によって育まれると王子に言う。共に過ごした時があるからこそ、かけがえのない唯一の存在になるのだと。王子はキツネとの出会いを通し、幸せと時間の意味を知る。

  • S01E81 サン=テグジュペリ 星の王子さま <終> 第4回「すべては心で変わる」

    • December 26, 2012
    • NHK

    王子は「砂漠が美しいのは、砂漠が井戸を隠しているからだ」とつぶやく。世界は心によって全く違う姿を見せる。心の影響力の大きさを、王子は詩的に表現したのだった。 飛行機の修理は進まず、飲み水も尽きた。そこで王子は、井戸を探しに行こうと提案する。歩きながら王子は「月夜の砂漠が美しいのは、砂漠が井戸を隠しているからだ」とつぶやく。初対面の時と仲良くなった後では、人の印象が異なるように、世界は心によって違う姿を見せる。心の影響力の大きさを、王子は美しい言葉で表現したのだ。そして夜が明ける頃、ついに井戸が見つかる。それは2人の友情が、確かなものになった瞬間だった。

  • S01E82 般若心経 <新><全4回> 第1回「最強の262文字」

    • January 9, 2013
    • NHK

  • S01E83 般若心経 第2回「世界は“空”である」

    • January 16, 2013
    • NHK

    般若心経は私たちは「空」のもとで生きているとした。そして人間がどのような心構えで人生をおくるべきなのかを語っている。第2回では「空」とは何か、その基本を学ぶ。 世の中は、複雑な要因が絡み合いながら常に移り変わっている。そして世の中の変化のすべてを、人間が完全に予測することはできない。古代インドの仏教徒は、この不確かな世の中をどう捉えるべきか、さまざまな考察を巡らせた。その中から生まれてきたのが「空」の思想だ。般若心経は、私たちは「空」のもとで生きているとした。そして人間が、どのような心構えで人生を送るべきなのかを語っている。第2回は「空」とは何かに迫る。

  • S01E84 般若心経 第3回「“無”が教えるやさしさ」

    • January 23, 2013
    • NHK

    般若心経は悟りにゴールはないとした。人間は永遠に未完成な存在であり、完成することはありえないからだ。第3回では、不完全な人間への優しさと慈悲の心について語る。 般若心経は、知識を得ることで満足してしまい、真実を理解する努力をしなくなることを戒めている。その一方で、悟りにゴールはないという。人間は永遠に未完成な存在であり、完成することはありえないからだ。こうした考え方の背景には、自分自身の悟りよりも、多くの人を慈悲の心で救おうとした思想が隠されている。第3回では、般若心経にある“無”という文字を通して、その中に隠された“やさしさ”をひもといていく。

  • S01E85 般若心経 <終> 第4回「見えない力を信じる」

    • January 30, 2013
    • NHK

  • S01E86 デュマ“モンテ・クリスト伯” <新><全4回> 第1回「読み出したら止まらない その秘密」

    • February 6, 2013
    • NHK

    小説「モンテ・クリスト伯」。無実の罪で捕らえられた青年が億万長者となって復しゅうする波乱万丈の物語。現代のエンターテインメントの原型ともいえる長編の魅力に迫る。 文豪アレクサンドル・デュマの長編「モンテ・クリスト伯」。無実の罪で投獄され、婚約者を奪われた青年ダンテスが、億万長者モンテ・クリスト伯爵となり、自分を陥れた男たちに完璧な復しゅうをする痛快無比なストーリー。現代のエンターテインメントの原型ともいえるこの小説が、なぜ人々の心を捉え、不朽の人気作品になったのか。直木賞作家・佐藤賢一さんを指南役に迎え、構成力や時代背景に注目して、その秘密を読み解く。

  • S01E87 デュマ“モンテ・クリスト伯” 第2回「復讐(しゅう)する者される者 巧みな人間描写」

    • February 13, 2013
    • NHK

    出世のため友や主人を裏切る男。金のためなら家族や恩人も犠牲にする男。「モンテ・クリスト伯」、復讐劇に深みを与え、多くの人の心をつかんできた巧みな人間描写に迫る。 フランスの文豪デュマの長編小説「モンテ・クリスト伯」。スリリングな復しゅう劇は、後半クライマックスを迎える。出世のためなら友やあるじを平気で裏切る男。金のためなら家族や恩人も犠牲にする男。主人公ダンテスは知力と財力を駆使して彼らへの復しゅうを進めるが、次第に無関係な人まで巻き込むことになり苦悩する。今回は後半のあらすじを追いながら、物語に深みを与え、多くの人の心をつかんできた巧みな人間描写に迫る。

  • S01E88 デュマ“モンテ・クリスト伯” 第3回「革命が生んだ文豪」

    • February 20, 2013
    • NHK

    愛した女性は30人以上、豪華な城に住み、決闘や破産を繰り返した「モンテ・クリスト伯」の著者デュマ。波瀾万丈の文豪の生涯をひもときベストセラー誕生の秘密に迫る。 愛した女性は30人を超え、巨額の印税で建てた城に住み、夜ごと大宴会を開く一方、決闘や破産もした「モンテ・クリスト伯」の著者アレクサンドル・デュマ。フランス革命後の混乱した時代を、古い因習にとらわれることなく自由に生きたデュマの人生観は、その作品にも大きく反映されている。今回は、主人公エドモン・ダンテスさながらに波瀾万丈だった文豪の人生をその生い立ちからひもとき、ベストセラー誕生の秘密に迫る。

  • S01E89 デュマ“モンテ・クリスト伯” <終> 第4回「待て、そして希望せよ」

    • February 27, 2013
    • NHK

    「モンテ・クリスト伯」が大好きという作家の安部譲二さんをゲストに招き、「恋愛」や「若者の成長」など単なる復しゅうにとどまらない作品の魅力を読み解く。 復しゅうの鬼となったダンテス。しかし敵を打ち倒す度に、その心は苦悩する。そして次第に人間性を取り戻していく。「モンテ・クリスト伯」は、いわば大きな人間再生の物語でもあるのだ。ゲストに「モンテ・クリスト伯」が大好きという作家・安部譲二さんを招き、「恋愛」や「若者の成長」などさまざまな視点から作品の魅力を読み解く。さらにデュマのラストメッセージ「待て、そして希望せよ」の現代に通じるメッセージを考える。

  • S01E90 フランクル“夜と霧” <全4回> 第1回「絶望の中で見つけた希望」

    • March 6, 2013
    • NHK

  • S01E91 夏目漱石“こころ” <新><全4回> 第1回「私たちの孤独とは」

    • April 3, 2013
    • NHK

    孤独は漱石が生涯をかけて追ったテーマだ。漱石は文明の発展が人の孤独を加速させると考えていたからだ。第1回では漱石の英国留学の経験から自意識と孤独について考える。 信頼していたおじに裏切られ、また親友を裏切ってしまった先生は他人のエゴと自分のエゴの醜さを痛感し、人を信じることが出来なくなっていた。先生は自意識が高かった。そのため悩みを抱え込み、他人に胸襟を開くことが出来なかった。孤独は、夏目漱石が生涯をかけて追ったテーマだ。漱石は、文明の発展が人の孤独を加速させると考えていたからだ。第1回では、漱石の英国留学の経験から、「こころ」に描かれた孤独の正体に迫る。

  • S01E92 夏目漱石“こころ” 第2回「先生という生き方」

    • April 10, 2013
    • NHK

    「私」は自分を大切にする生き方をしたいと願っていた。そのため人生の師を求めて「先生」に近づいた。第2回ではふたりの関係から、生きる指針が見つからない苦悩に迫る。 「こころ」が書かれたのは、日本が日露戦争に勝利し、近代化が一段落した時代だ。それは同時に、社会の目標がなくなり、“自分探し”の時代が始まったことでもあった。「私」は、郷里の実家の存続や自分の出世には関心がなかった。それよりもっと自分を大切にする生き方をしたいと願っていた。そのため、人生の師を求めて「先生」に近づいたのだ。第2回では「私」と「先生」の関係から、生きる指針が見つからない苦悩を見つめる。

  • S01E93 夏目漱石“こころ” 第3回「自分の城が崩れる時」

    • April 17, 2013
    • NHK

    Kは自分の信念を信じていた。しかしこうした態度は強さによるものではなく、他人と距離を置くことで孤独を忘れようとしているだけだった。第3回ではKの心の内に迫る。 先生の親友だったKは、実家から勘当され、働きながら学校に通っていた。Kは先生とは性格が違い、他人に関心を示さないタイプだった。そして自分の信念を何より信じていた。こうしたKの態度は,実は強さによるものではなく、他人と距離を置くことで、孤独から目をそらしているだけだった。しかしお嬢さんを先生に奪われた時、Kは初めて自らの孤独に気づき、自殺する。第3回では、自我という城が崩れた時の敗北感について探る。

  • S01E94 夏目漱石“こころ” <終> 第4回「あなたは真面目ですか」

    • April 24, 2013
    • NHK

    先生はなぜ、妻ではなく、私という他人に全てを打ち明けたのだろうか。第4回では、ゲストに作家の島田雅彦さんを迎え、漱石が次世代に託したメッセージについて語りあう。 先生はなぜ、妻ではなく、私に全てを打ち明けたのだろうか。先生は私に「あなたは真面目ですか」と問いかけた。個人がバラバラになっていく時代、相手を信じ、自分自身を投げ出すことは非常に難しい。「真面目ですか」という問いかけは「あなたを信じて良いのか」という先生の魂の叫びだったのだ。第4回では、ゲストに夏目漱石ファンとして知られる作家・島田雅彦さんを迎え、漱石が次世代に託したメッセージについて語りあう。

  • S01E95 老子 <新><全4回> 第1回「“道”に従って生きよ」

    • May 8, 2013
    • NHK

  • S01E96 老子 第2回「水のように生きる」

    • May 15, 2013
    • NHK

    老子は、固いものよりも、柔らかいものの方が実は強いと説いた。そして水のように柔軟に生きることをすすめた。第2回では、力に頼らずに、弱者が強者に勝つ方法を学ぶ。 老子は、固いものよりも軟らかいものの方が強いとした。水のように、柔軟に生きることをすすめた。「上善は水の如し」という有名な言葉は、この思想から生まれたのだ。また老子は、暴力的な力によらずに目的を果たすことが大切だとした。この思想はのちに、ロシアの文豪・トルストイに大きな影響を与え、さらにはガンジーの無抵抗主義へと結びついていく。第2回では、力に頼ることの愚かさと、弱者が強者に勝つ方法を学ぶ。

  • S01E97 老子 第3回「人を生かす知恵」

    • May 22, 2013
    • NHK

    自己顕示欲がぶつかりあうと争いが起きる。そこで第3回では自己主張を抑えながらも目的を果たす術を学ぶ。そして組織の中で生きる私たちにとって役立つリーダー論に迫る。 人間には自己顕示欲がある。その自己顕示欲がぶつかりあうと争いが起きる。そこで老子は、自己主張を控え、相手にへりくだることをすすめた。しかし老子は、単にへりくだれば良いとしたわけではない。戦略のもとにへりくだれと説いたのだ。また、民衆の自主性を引き出すためには、何が必要なのかも語っている。第3回では、組織の中で生きる人間にとって役に立つリーダー論を学び、人を生かす知恵とは何かを探っていく。

  • S01E98 老子 <終> 第4回「満ち足りた人生とは」

    • May 29, 2013
    • NHK

    第4回では、老子のファンであり、老子の解説書も出している詩人で作家のドリアン助川さんを招く。欲望をそぎ落とした先に一体何が見えてくるのかを、助川さんと共に語る。 柔軟な生き方を説いた老子は、過度の欲望を否定した。選択肢が多ければ多いほど、かえって悩みは増える。評価ばかりを気にして、自分と他人を比べることは、自分を苦しめてしまうことになる。人生における最大の不幸は、満足を知らないことなのだ。第4回では、老子のファンであり、老子の解説書の著書もある詩人で作家のドリアン助川さんを招く。欲望をそぎ落とした先に、一体何が見えてくるのかを、助川さんとともに語り合う。

  • S01E99 トルストイ“戦争と平和” <新><全4回> 第1回「人生に迷う若者たち」

    • June 5, 2013
    • NHK

    遺産相続により大富豪となったピエール。軍人として手柄を立てることを望むアンドレイ。しかし現実はふたりに厳しかった。番組では生きる意味に悩む若者たちの姿を描く。 遺産相続により大富豪となったピエールは、美しい妻と結婚。虚栄心は満たされたものの、全てが物足りない。得たものが多ければ多いほど幸せになれるとは限らなかったのだ。一方、軍人アンドレイは戦地で捕虜となり、失意に沈む。人生は思い通りになるものではない。つまり虚栄心や自己愛を追求してもうまくいくとは限らない。結局、ふたりに残ったのは不満だけだった。第1回では、生きがいを模索しながら戸惑う若者たちを描く。

  • S01E100 トルストイ“戦争と平和” 第2回「生きる喜びとは何か」

    • June 12, 2013
    • NHK

    人生に絶望していたアンドレイは自分の殻に閉じこもる日々を送っていた。しかし天真らんまんな少女ナターシャと出会って考えが変わる。第2回では生きる喜びとは何かを探る 絶望に打ちひしがれていたアンドレイは、自分の殻に閉じこもったまま孤独な日々を送る。だが、天真らんまんな少女ナターシャとの出会いや自然の美しさに触れるうちに考えが変わっていく。アンドレイは気づく。人間と人間、あるいは人間と自然、互いに影響し合う中で生きる力は生まれるのだと。そしてアンドレイは、ナターシャとの婚約を決意する。第2回ではアンドレイとナターシャの出会いから、生きる喜びについて見つめる。

  • S01E101 トルストイ“戦争と平和” 第3回「心がひとつになる時」

    • June 19, 2013
    • NHK

    ナターシャと婚約したアンドレイだが、互いに離れて暮らす中ですれ違いが生じ、婚約の話は破棄同然になる。そしていよいよ戦争が激化、ふたりの運命はどうなるのか― ナターシャと婚約したアンドレイだが、国外で過ごすことを余儀なくされた。遠く離れて暮らす中で、ふたりにすれ違いが生じ、婚約の話は破棄同然となってしまう。そうした中、傷心のアンドレイはナポレオンのロシア侵攻を食い止めるため、再び戦地へと赴く。一方ナターシャは、祖国のために傷病兵の手助けをするようになったが、そこで瀕死の重傷を負ったアンドレイと再会する。戦争という激動のさなか、ふたりの心がひとつになる。

  • S01E102 トルストイ“戦争と平和” <終> 第4回「本当の幸福を知る」

    • June 26, 2013
    • NHK

    苦しい行軍の果てに解放されナターシャと再会したピエールは、以前とは全く違う人間になっていた。そしてふたりは結ばれ、家庭を築く。最終回では本当の幸せについて考える 看病のかいなくアンドレイは死んでしまったが、残された者たちは必死に生きていく。ピエールはフランス軍の捕虜となり、農民兵カラターエフと出会う。そしてカラターエフの生き方を見て、これまでの自分の不幸は有り余る自由から生じていたことを知る。苦しい行軍の果てに解放され、ナターシャと再会したピエールは、以前とは全く違う人間になっていた。そしてふたりは結ばれ、家庭を築く。幸福とは何か、作者のメッセージを探る。

  • S01E103 プラトン“饗宴” <新><全4回> 第1回「世界最古の恋愛論」

    • July 3, 2013
    • NHK

    世界最古の恋愛論として、古代ギリシャの哲学者・プラトンの「饗宴」を読む。ある劇作家が開いたパーティーでソクラテスが愛について質問する。それは驚くべき内容だった。 世界最古の恋愛論として、古代ギリシャの哲学者プラトンの「饗宴」を読み解く。劇作家アガトンが開いたパーティーで、集まった人々は思い思いに愛の神・エロースを賛美し、愛のすばらしさを語っていた。すると、じっと話を聴いていたソクラテスが、愛についての質問があるのだが、アガトンに尋ねても良いだろうかと提案する。了承されたソクラテスは、ある疑問をアガトンにぶつける。それは愛の本質に迫る驚くべき内容だった。

  • S01E104 プラトン“饗宴” 第2回「愛と欲望の正体」

    • July 10, 2013
    • NHK

    世界最古の恋愛論「饗宴」を読みとくシリーズ。第2回では、なぜ人は愛を求めるのかを考える。哲学者のソクラテスは、人間の心にひそむ欲望の正体について語り始めた。 世界最古の恋愛論「饗宴」を読みとく第2回。哲学者ソクラテスが繰り出す鋭い質問によって、矛盾を指摘され、やりこめられてしまったアガトン。するとソクラテスは、こう語りかけた。実は自分も昔、異国の女とこうした恋愛談義をしたが、君と同じように言い負かされてしまったのだと。そしてソクラテスは、その女から教えられたという愛の真実についての話を始めた。第2回では、人間を突き動かす欲望の正体を明らかにする。

  • S01E105 プラトン“饗宴” 第3回「愛の奥義とは」

    • July 17, 2013
    • NHK

    世界最古の恋愛論「饗宴」を読むシリーズ。愛を求める人間の心の奥底には、一体何が潜んでいるのか?第3回では、ソクラテスが語った「愛の奥義」について解き明かす。 私たちは、常に自分自身に満足していない。自分には何かが欠けていると思い、何とかしてその欠けているものを補いたいと願う。しかし、人間はどんなにあがいても、決して全てを得ることは出来ない。人間には寿命があるからである。限られた寿命の中でどうやって生をまっとうするべきなのか、そこに愛の究極的な目標があるとソクラテスは言う。第3回では、ソクラテスが昔、異国の女から教わったという愛の奥義を明らかにする。

  • S01E106 プラトン“饗宴” <終> 第4回「理想を求める心」

    • July 24, 2013
    • NHK

  • S01E107 プラトン“饗宴” 第4回「理想を求める心」

    • July 31, 2013
    • NHK

  • S01E108 老子 <全4回> 第1回「“道”に従って生きよ」

    • August 7, 2013
    • NHK

  • S01E109 古事記 <新><全4回> 第1回「世界と人間の誕生」

    • September 4, 2013
    • NHK

    第1回では、日本最古の歴史書、古事記の概略を解説すると共に、大地と人を生み出したとされる神、イザナキとイザナミの物語から、古代人の生命観について考える。 古事記では、人間のことを「青人草」と呼ぶ。青は生命力が盛んなことを意味していて、人間を草に例えるかのような言い回しをしている。講師役・三浦佑之さんは、温暖で湿潤な日本では大地から萌え出る草のたくましさに生命力を感じたのではないか、と考えている。第1回では、日本最古の歴史書、古事記の概略を解説するとともに、大地と人を生み出したとされる神、イザナキとイザナミの物語から、古代人の生命観について考える。

  • S01E110 古事記 第2回「文化と農耕の起源」

    • September 11, 2013
    • NHK

    アマテラスとスサノヲの神話を取りあげる。この物語には、農耕の起源をうかがわせる記述が見られる。縄文から弥生への移り変わりを、古代の人がどう考えていたを探る。 イザナキは娘アマテラスを太陽の神として、高天の原につかわした。そして息子スサノヲを海原の神にしようとするが、スサノヲは言うことをきかずに乱暴ろうぜきを働いたため、高天の原から追放されてしまい、地上にやってくる。そして出雲の地でヤマタノオロチを退治することになるが、実はこの物語には、農耕の起源をうかがわせる記述が見られる。第2回では、縄文から弥生時代への移り変わりを古代の人がどう考えていたかを探る。

  • S01E111 古事記 第3回「出雲神話という謎」

    • September 18, 2013
    • NHK

    出雲を舞台とする「出雲神話」を紹介する。実は近年、この神話に登場する神殿にそっくりの形をした巨大建造物の遺跡が発掘された。第3回では秘められた古代の歴史を探る。 スサノヲの子孫にあたる出雲のオホナムヂは、賢く優しい少年だった。立派に成長し、自分をいじめていた異母兄たちを打ち破り、国の主=オホクニヌシとなった。しかし天皇家の祖先神であるアマテラスに戦いを挑まれる。そこである交換条件を出し、自分の国をアマテラスに譲ることにした。実は、この神話からは、日本という国がどのように統一されていったのかをうかがうことができる。第3回では、出雲を舞台とする神話の謎に迫る。

  • S01E112 古事記 <終> 第4回「古事記の正体とは」

    • September 25, 2013
    • NHK

    神話から天皇家の時代へと移り変わる部分を読む。実は古事記と日本書紀とでは、同じ出来事でも描き方が大きく違う。それはなぜなのか?古事記の秘められた正体を探る。 古事記の文章をよく読むと、天皇家の正統性を記す一方で、権力闘争に敗れ去った者や報われなかった者への共感が強いことが分かる。その例がヤマトタケルだ。古事記のヤマトタケルは、父の天皇からうとまれて都を追われた悲劇の人物として描かれている。同時代に書かれた日本書紀には、こうした悲劇的な面はない。いったいなぜ、権力から距離を置いた記述が生まれたのだろうか。第4回では、古事記の正体について考える。

  • S01E113 おくのほそ道 <新><全4回> 第1回「心の世界を開く」

    • October 2, 2013
    • NHK

    女優の内山理名と俳人の長谷川櫂が「おくのほそ道」の旅を追体験!深川の芭蕉記念館をスタジオにして、伊集院光・武内陶子アナと共に、旅に込めた芭蕉の思いを推理する。 芭蕉は46歳の時、ある大きな決意をした。古くから和歌に詠み込まれてきた景勝地「歌枕」の宝庫であるみちのくを訪ね、理想の句を生み出そうとしたのだ。「古池や 蛙飛こむ水のおと」という有名な句を手がかりに、旅に出た芭蕉の心境を推理する。深川を出発した芭蕉は、寺社をめぐりながら日光へと向かった。実は、日光の描写には芭蕉の周到な計算が見え隠れしている。第1回では「おくのほそ道」の意外な真実に迫っていく。

  • S01E114 おくのほそ道 第2回「時の無常を知る」

    • October 9, 2013
    • NHK

    女優の内山理名と俳人の長谷川櫂が、おくのほそ道の旅を追体験!深川の芭蕉記念館をスタジオにして伊集院光・武内陶子アナと共に句にこめられた芭蕉の無常観について語る。 東北での旅で芭蕉がまず知ったことは、人間の営みが、いかにはかなく、もろいものであるかという現実だった。松島に着いた芭蕉は、その美を流麗な文章でたたえるが、何と芭蕉は自分の句を「おくのほそ道」に載せなかった。その真意とはいったい何なのか? さらに北へ進み、平泉に着いた芭蕉は、中尊寺金色堂で、ひとつの希望を感じることになる…。第2回では、無常という世の厳しい現実を、芭蕉がどうとらえていたかを探る。

  • S01E115 おくのほそ道 第3回「宇宙と出会う」

    • October 16, 2013
    • NHK

    女優の内山理名と俳人の長谷川櫂が、おくのほそ道の旅を追体験!深川の芭蕉記念館をスタジオにして伊集院光・武内陶子アナと共に句にこめられた芭蕉の自然観について語る。 芭蕉が山形の山寺で読んだ句「閑さや岩にしみ入蝉の声」。まわりで蝉(せみ)がうるさいのに、芭蕉はなぜそれを「しずか」と表現したのか? そこから謎ときを始める。旅も後半を迎え、芭蕉の句はさらに進化していった。出羽三山に登ると「天の入口に来たかのようだ」と感激を記し、山中で句を読む。大自然の中で芭蕉が感じたものとは、いったい何だったのだろうか? 第3回では、芭蕉の壮大な宇宙観を明らかにしていく。

  • S01E116 おくのほそ道 <終> 第4回「別れを越えて」

    • October 23, 2013
    • NHK

  • S01E117 おくのほそ道 第4回「別れを越えて」

    • October 30, 2013
    • NHK

  • S01E118 アラビアンナイト <新><全4回> 第1回「世界最長のファンタジー」

    • November 6, 2013
    • NHK

    アラビアンナイト(千一夜物語)はどのようにして生まれたのか?その意外な歴史を探る。また広く知られている児童文学では省略されてしまった部分にもスポットを当てる。 千一夜物語が生まれたのは9世紀の中東。当初収められていた物語の数は200話程度だったが、時代と共に増え、今日のような物語集となった。しかし一般になじみがあるのは、そのほんの一部に過ぎない。というのは、子ども向けではない話が多く含まれているからだ。第1回では、物語の軸となっている美女・シェヘラザードに焦点を当て、大人になった今だからこそ読めるシーンを織り込み、その意外な全体を明らかにする。

  • S01E119 アラビアンナイト 第2回「異文化が出会う場所」

    • November 13, 2013
    • NHK

    アラビアンナイトは非常に国際的な物語だ。当時のバグダッドを再現した映像を駆使して、民族や宗教の垣根を越えて共存していた人々を描く。また当時の海外交易も紹介する。 アラビアンナイトが世に出たころ、中世の中東にはさまざまな民族が集まっており、科学技術が高度に発達していた。雑談ばかりしてなかなか仕事をしない床屋が客の運勢を占う場面では、当時の最先端をいく天体観測器が登場する。こうした技術を使って活躍したのが、シンドバッドに代表される海のシルクロードの商人たちだった。第2回では、アラビアンナイトの物語を通して、東西文明の交流点として栄えた都市と人々の活気を描く。

  • S01E120 アラビアンナイト 第3回「賢く手強い女たち」

    • November 20, 2013
    • NHK

    「開けゴマ」で有名なアリババの物語。しかしよく読むと、実はアリババはあまり活躍していない。事実上の主人公は物語に登場する女奴隷のほうだ。女たちの意外な姿を描く。 「アリババと40人の盗賊」では、賢い女奴隷が盗賊との知恵比べに勝ち、主人のアリババの窮地を救う。アラビアンナイトには、賢く強い女性が数多く登場する。学者を論破してしまう女奴隷もいるほどだ。なぜ奴隷という身分で、これほどまでの高い知識を持っているのだろうか? 第3回では、その謎に迫る。美しい女の色香に翻弄される男たちの姿から、中東に生きる女性のしたたかさにも注目し、アラブ社会の意外な真実に迫る。

  • S01E121 アラビアンナイト <終> 第4回「終わりのない物語」

    • November 27, 2013
    • NHK

    アラビアンナイトの結末は、いったいどうなっているのだろうか?実はラストシーンにも意外な真実が隠されている。物語を通して、イスラム教独特の運命観を明らかにする。 アラビアンナイトの物語は多種多様だ。推理小説やSFなど、さまざまな要素が織り込まれている。そのため、世界の有名作家に大きな影響を与え続けてきた。また、時代と共にさまざまな人々が話を書き足していったため、分量がどんどん増えていき、実は今でも、物語は増え続けている。つまり終わりがないのが、アラビアンナイトの最大の特徴なのだ。第4回では、アラビアンナイトが人々の心を捉えるのはなぜかを探る。

  • S01E122 ドストエフスキー“罪と罰” <新><全4回> 第1回「傲慢という名の罪」

    • December 4, 2013
    • NHK

    ドストエフスキーの大作「罪と罰」。自由化が進んだ19世紀のロシア。しかし自由をおう歌するには金が必要だった。そうした中、貧しい青年が恐ろしい犯罪計画を実行に移す 「罪と罰」が執筆された当時、ロシアでは近代化に伴う社会のひずみがあらわになっていた。格差は拡大する一方で、金がなければ、自己実現など何も出来なかった。そうした中、貧しい青年ラスコーリニコフの未来もまた、閉じられようとしていた。惨めな境遇を変えたい、社会の不公平を正したい一心で、ラスコーリニコフは強欲な金貸しの老婆を殺害し、金を奪う。しかし、それは新たな悪夢の始まりにすぎなかった。

  • S01E123 ドストエフスキー“罪と罰” 第2回「引き裂かれた男」

    • December 11, 2013
    • NHK

    主人公、ラスコーリニコフの心理に迫る。殺人を犯しながら、罪の意識を持てないラスコーリニコフ。作者ドストエフスキーは、主人公の姿から何を訴えたかったのだろうか。 ラスコーリニコフは、貧しい人に出会うと、なけなしの金を渡してしまうような優しい面を持つ男だった。その一方で、傲慢さにもとらわれていた。世の中には、ナポレオンのような天才がいる一方、天才を理解できない凡人もいる。正義のためには凡人は殺しても構わない…そう考えていたのだった。聖人か悪魔か、自我が分裂しているかのような行動をとるラスコーリニコフ。第2回では、ふたつの顔を持つ男の内面に迫る。

  • S01E124 ドストエフスキー“罪と罰” 第3回「大地にひざまずきなさい」

    • December 18, 2013
    • NHK

    捜査が進む中、疑いをけかられ、追い詰められていくラスコーリニコフ。そんな彼の心の支えとなっていたのがソーニャだった。ソーニャが放った一言が、大きな衝撃を与える。 警察の捜査が進む中、ラスコーリニコフは、貧しい家族を支えるためにしょう婦となった献身的な娘ソーニャのもとを訪ね、事件の告白をする。話を聴いたソーニャは驚きながらも「広場で大地にひざまずいてキスをしなさい」とラスコーリニコフに語りかける。ラスコーリニコフは、ゆがんだ自尊心にとわられていた。ソーニャは、大地にひざまずくことで、それを捨てろと言ったのだった。第3回では、緊迫の度を深める後半部を描く。

  • S01E125 ドストエフスキー“罪と罰” <終> 第4回「復活はありうるのか」

    • December 25, 2013
    • NHK

    シベリア流刑となったラスコーリニコフ。しかし彼に本当の意味での反省はまだ見られなかった。彼は命の大切さとは何かを理解することができずにいたのだった。 追い詰められたラスコーリニコフは、ついに自首。心神喪失による犯罪とみなされ、シベリア流刑を言い渡された。裁判の後、ラスコーリニコフを愛するようになったソーニャは、刑務所の近くへ移り住んで会い続ける。だが、ラスコーリニコフはソーニャに心を開かず、自殺した方がましだったと思うのだった。第4回では、ラスコーリニコフに罪を自覚する時は訪れるのか、また生まれかわるには何が必要かを考える。

  • S01E126 風姿花伝 <新><全4回> 第1回「珍しきが花」

    • January 8, 2014
    • NHK

    世阿弥は、観客に「面白い」と感じさせるためには、何が必要なのかを徹底的に研究していた。一体どんな方法を用いたのか、そして必要な心がけとは何なのか、探っていく。 世阿弥は、演技についてさまざまな方法論を語っている。世阿弥は、長年の経験から人間が感じる「面白さ」には普遍性が有り、時代や身分を越えることを知っていた。そのため万人に受ける「珍しさ」をどう演出するかに心を砕いていた。また世阿弥は、あらゆる流派から技法を学び、面白いものは何でも取り入れることを勧めた。第1回では、世阿弥の人生をひもとくとともに、イノベーションを大切にした世阿弥の信念を明らかにする。

  • S01E127 風姿花伝 第2回「初心忘るべからず」

    • January 15, 2014
    • NHK

    世阿弥は「初心」を大切にした。しかし世阿弥の言う「初心」は、現在使われている意味とは少し異なっている。その違いを明らかにすることで、意外な人生訓を明らかにする。 世阿弥は、20代で若手として独り立ちしたころの「初心」を忘れるなと説いた。若い頃の失敗や苦労は、一生を左右する心の糧となる。だから若い頃の「初心」が大事なのだ。さらに世阿弥は、若い頃の「初心」とは別に、中年や老年になっても、新たな「初心」が生まれると語っている。実は世阿弥の言う「初心」とは、「若い頃の最初の志」という単純な意味ではないのだ。第2回では、世阿弥の奥深い人生論をひもといていく。

  • S01E128 風姿花伝 第3回「離見の見」

    • January 22, 2014
    • NHK

    第3回では、「風姿花伝」に記された文章に加えて、世阿弥が記した「花鏡」の文章も引用する。そして「離見の見」という言葉から、役者と観客の距離感について語る。 世阿弥は、役者の心得として「観客のニーズに自分をあわせろ」と言う。これは「大衆に迎合せよ」と言っているのではない。独りよがりに芸術性ばかりを追い求めても、誰もついてこないことを諭しているのだ。役者たるもの、客をどう引き付けるかが肝心。そのためには、自分の演じる姿を、自分の外から見るように心がけろとした。これが「離見の見」である。第3回では、冷徹なリアリズムに裏付けられた世阿弥の演技論に迫る。

  • S01E129 風姿花伝 第4回「秘すれば花」

    • January 29, 2014
    • NHK

    「秘すれば花」この言葉には人生における「戦略」が隠されている。世阿弥の人生は平坦ではなかったが常に戦略を持って行動していた。どんな方法を用いたのか、探っていく。 世阿弥にとって、舞台とは真剣勝負の場だった。そのため、どんな時でも、観客をあっと言わせる秘策を用意しておくべきだと記した。時の権力者や大衆の人気という不安定なものをつなぎとめるには、たとえどんなに大変だとしても挑戦を続け、マンネリに陥ってはならないと考えていたのだ。第4回では、難局に負けないために、戦略を持つことの大切さを語る。そして運命にめげずに前向きに生きるためには、どうすればよいのかを語る。

  • S01E130 愛するということ<全4回> 第1回「愛は技術である」

    • February 5, 2014
    • NHK

    精神分析家・エーリッヒ=フロムの作品で、愛の本質を分析した思想書「愛するということ」を読み解く。第1回では、人を愛するには、成熟した精神が必要であることを学ぶ。 いい人が見つからない、すぐに相手にあきてしまうなど、愛には難しい点が多い。実はこうしたことは、現代人の悲しい性だとフロムは考えた。私たちは資本主義市場での“好都合な交換”に慣れているため、相手が条件にあうかどうかを気にしがちだ。そして“恋愛市場”のどこかに運命の人がいると思っている。フロムはこうした現代人の考えに警鐘を鳴らした。そして愛するには、技術が必要なのだと説いた。第1回ではその真意に迫る。

  • S01E131 愛するということ 第3回「生身の人間とつきあう」

    • February 19, 2014
    • NHK

    精神分析家・エーリッヒ=フロムの作品で、愛の本質を分析した思想書「愛するということ」を読み解く。第3回では、感情に強く訴えかける愛とはどういうものかを考える。 愛とは本来“与えること”にある。しかしそれは、“ギブ・アンド・テイク”が保証されているものではない。しかしたとえ見返りがなくても、与えなくては何も始まらない。なぜなら人は、与えられたことで、変わるからだ。フロムはさまざまな角度から、どんな気遣いが正しいのか、どんな人間関係を築くのが望ましいのかを、詳細に記している。第3回では、フロムの言葉から、成熟した大人の愛とは何か?そのあるべき姿について探る。

  • S01E132 愛するということ 第4回「本当の愛を手に入れる」

    • February 26, 2014
    • NHK

    精神分析家・エーリッヒ=フロムの作品で、愛の本質を考察した「愛するということ」を読み解く。第4回では、本当の愛を手に入れるためにはどんな信念が必要なのかを学ぶ。 高度に発達した資本主義社会に生きる我々は、社会の歯車になりやすい。こうしたことからフロムは、現代人は自我を抑制して生きざるを得ない存在で、常に大きな孤独を抱えているとした。人生に疲れ、愛どころか、殻にひきこもってしまう人が少なくないのはそのためだという。フロムは、自我の成熟と安定のため、さまざまな提言をしている。最終回では、本当の愛を手に入れるため、愛に対するフロムの信念をまとめる。

  • S01E133 孫子<全4回> 第1回「戦わずして勝つ!」

    • March 5, 2014
    • NHK

    中国の兵法書「孫子」。これまで誰が書いたものなのかはっきりと分かっていなかったが、近年の研究でそれが明らかになった。第1回では不戦を重んじた孫子の実像に迫る。 「孫子」は、戦争では、国や軍隊を消耗させずに勝つのが上策であり、勝利を目指すあまり、多くの犠牲を強いるのは下策だと述べた。つまり、兵法書でありながら、不戦論=戦わずして勝つことを求めているのだ。なぜ孫子は不戦を説いたのか? 当時の戦争が直面していた厳しい現実が背景にあった。第1回では、「孫子」著者・孫武の人物像を紹介するとともに、犠牲を最小限にとどめながら、最大限の効果を生む方策を学ぶ。

  • S01E134 孫子 第2回「心をつかむリーダーとは?」

    • March 12, 2014
    • NHK

    古代中国の兵法書「孫子」。第2回では、組織の中でどのようにすれば目的を達成できるのか、その心得を読み解く。上司や部下への接し方など、中間管理職必見の名言も満載! 古代中国の将軍は、国という大きな組織の中では、中間管理職のような存在だった。そのため「孫子」には、上司(王)や部下(兵士)に対する人心掌握術が細かく記されている。そして、実現が出来ないような道徳論は説かなかった。そのため「孫子」に書かれたリーダー論は非常に具体的で、今でも実用性が高い。第2回では、上司になめられない方法や、部下から愛される態度など、中間管理職には必見の心得を紹介する。

  • S01E135 孫子 第3回「勝つための知略」

    • March 19, 2014
    • NHK

    古代中国の兵法書「孫子」を読む。孫子は、勝つためには、相手を上手にだますことが大切だという。その真意とは何か?第3回ではライバルに勝つための知恵を明らかにする。 正面からバカ正直に戦っていては、勝利はおぼつかない。そのため「孫子」は、奇策を取ることの大切さを語っている。ただしその奇策とは、決してその場の思いつきで行われるものではなく、用意周到に計算された上でのものだ。この時に重要になるのが、優れた情報をどのようにして入手するか、そして得られた情報をどう管理するかということだ。第3回では、敵はもちろん、時には味方をもあざむく、情報操作の極意を語る。

  • S01E136 孫子 第4回「勢いを作り出せ!」

    • March 26, 2014
    • NHK

    古代中国の兵法書「孫子」。孫子は、勝利とはひとりの英雄によって得られるものではなく、組織の優れた運用によって得られるのだとした。第4回では組織活性化の術を学ぶ。 孫子は、個人のスタンドプレーを重視しなかった。そして勝つために最も大事なのは、集団が作り出す勢いだとした。勢いを生むためには、部下のやる気を上手に引き出さなくてはならない。その方法について、さまざまな案を示している。また孫子は、勢いがあれば小規模の軍でも大軍を倒せるとした。人々の心がバラバラな状態では、巨大な組織も役に立たないことを知っていたのだ。第4回では、孫子の卓越した組織論をひもとく。

  • S01E137 万葉集<全4回> 第1回「言霊の宿る歌」

    • April 2, 2014
    • NHK

    現存する日本最古の歌集「万葉集」。番組では、万葉集に収められている歌を、歌が作られた年代ごとに4期に分類、作風の変化を追う。第1回では、最も古い歌を紹介する。 最も古い、万葉集第1期に作られた歌では、詠み手は天皇や皇族たちだ。野で女に語りかける雄略天皇、朝鮮半島に向かう兵を鼓舞した額田王の歌などが有名だ。実はこうした歌が作られた背景には、言霊の存在がある。言霊とは、言葉に宿られた不思議な力のこと。古代の日本の人々は、言葉に対して特別な感情を抱いていたのだ。第1回では、万葉集の全体像についておさえるとともに、古代の人々が歌にこめた思いを明らかにする。

  • S01E138 万葉集 第2回「プロフェッショナルの登場」

    • April 9, 2014
    • NHK

    現存する日本最古の歌集「万葉集」。番組では万葉集に収められている歌を、歌の年代ごとに4期に分類、作風の変化を追う。第2回では柿本人麻呂が活躍した時代を描く。 第2期では、第1期で詠み手となっていた皇族に代わって、柿本人麻呂などの宮廷歌人が活躍し始める。宮廷歌人とは、儀式などで歌を詠んだいわばプロの詠み手のことだ。彼らは天皇を神として賛美する歌を数多く残した。しかしなぜこの時代に、天皇が神としてたたえられたのだろうか?その背景には、国家の中央集権化という大きな時代の変化があった。第2回では、宮廷歌人たちの歌を通して、古代日本の歴史のうねりを描く。

  • S01E139 万葉集 第3回「個性の開花」

    • April 16, 2014
    • NHK

    現存する日本最古の歌集「万葉集」。番組では万葉集に収められている歌を、歌の年代ごとに4期に分類、作風の変化を追う。第3回では、詠み手の個性が花開いた時代を描く。 第3期では、個性的な宮廷歌人が続々と登場する。この時代は、個人としての意識が強くなった時代だった。そのため、人間の内面や他人への共感に重きをおく作品が多くなった。代表的な歌人としては、田子の浦の富士を歌にした山部赤人、亡き妻への思いを読んだ大伴旅人、庶民の厳しい暮らしを描写した山上憶良などが有名だ。第3回は、万葉集第3期の作品から、人間の心や社会の現実を鋭く見つめた歌を味わう。

  • S01E140 万葉集 第4回「独りを見つめる」

    • April 23, 2014
    • NHK

    現存する日本最古の歌集「万葉集」。番組では万葉集に収められている歌を、歌の年代ごとに4期に分類、作風の変化を追う。第4回では、大伴家持が描いた孤独を見つめる。 第4期では、民衆が作った歌が急増する。その1つが東国の人々による方言を交えて詠まれた「東歌」だ。また九州防衛の任務を担った防人に徴用され、家族と別れを嘆いた「防人歌」も有名だ。こうした万葉集を、中心になって編さんしたのは、大伴家持だった。繊細な感覚を持っていた家持は、憂いのこもった歌を数多く残している。第4回では、家持の歌に込めた心情を推理しながら、世の不条理と闘いながら懸命に生きる人々を描く。

  • S01E141 旧約聖書<全4回> 第1回「こうして“神”が誕生した」

    • May 7, 2014
    • NHK

    旧約聖書の記述から古代の歴史や人々の営みを読み解くという視点で語る。そして一神教の概念がどのようにして生まれたかを探る。第1回では創世記や出エジプトなどを読む。 旧約聖書ではまず、世界の創世について語られているが、さらに時代が下ると、ユダヤ人の祖先はエジプトで奴隷として暮らしていたとされる。彼らはヤーヴェという神を信じるモーセに率いられ、エジプトからの脱出を企てる。そして追っ手のエジプト軍が迫るが、海の水がひいて無事に渡ることができたという。こうした物語が意味するものとは何なのか。第1回では、戦乱が続いた時代、当時の人々にとって神とは何だったのかを探る。

  • S01E142 旧約聖書 第2回「人間は罪の状態にある」

    • May 14, 2014
    • NHK

    旧約聖書の記述から古代の歴史や人々の営みを読み解くという視点で語る。そして一神教の概念がどのようにして生まれたかを探る。第2回ではソロモンの時代を中心に読む。 国家を樹立したユダヤ人たちはソロモン王のもとで発展するが、国の安定と共に変化が起きた。人々はさらなる生活の向上を神に求めるようになり、ヤーヴェ以外の神も信じるようになった。ところがソロモンの死後、内紛により国が南北に分裂、さらには戦争に負けた北王国が滅びてしまう。こうした中、民族を守るはずのヤーヴェがなぜ自分たちを守らなかったのかという疑問が生じた。その時、人々の間に罪という新たな概念が生まれる。

  • S01E143 旧約聖書 第3回「聖書の成立」

    • May 21, 2014
    • NHK

    旧約聖書の記述から古代の歴史や人々の営みを読み解くという視点で語る。そして一神教の概念がどのようにして生まれたかを探る。第3回ではバビロン捕囚時代を中心に読む。 戦乱が続く中、残っていた南王国も戦いに敗れて消滅する。ユダヤ人たちは、敵国の首都バビロンへ連行されて、捕囚となってしまった。しかし、人々の多くは、出(しゅつ)エジプトのような神による救いがまたもたらされるのではないかと期待しながら、信仰を守り続けた。そしてこの後、聖書の成立にかかわるある大きな出来事が起きたと、千葉大学の加藤隆教授は推測している。第3回では、聖書成立の背景を考察する。

  • S01E144 旧約聖書 第4回「沈黙は破られるのか」

    • May 28, 2014
    • NHK

    旧約聖書の記述から古代の歴史や人々の営みを読み解くという視点で語る。そして一神教の概念がどのようにして生まれたかを探る。第4回では、ヨブ記などを読む。 バビロン捕囚が終わり、故郷に帰ることができたユダヤ人だが、かつてのように国家を樹立することはできなかった。しかしバビロンという大都会で暮らしたユダヤの人々は、かつてよりも知見を広め、知恵を深めることができた。こうした背景の中で生まれた物語のひとつが、有名な「ヨブ記」だ。そしてその後、キリスト教が誕生することになる。第4回では、苦難の歴史の中、神との関係をどうとらえるか、悩んだ人々の姿を描く。

  • S01E145 遠野物語<全4回> 第1回「民話の里・遠野」

    • June 4, 2014
    • NHK

    日本民俗学の礎となった遠野物語を読む。官僚として地方を調査する中で、その民俗に関心を持つようになった柳田国男は、遠野出身の佐々木喜善と出会い、衝撃を受ける。 佐々木喜善が柳田国男に語った不思議な言い伝え、それが遠野物語だ。遠野は盆地にある城下町で、内陸と海岸をつなぐ交通の要衝だった。そのためさまざまな地域の物語が集まった。中には、田植えを手伝う神の話もあれば、子殺しの話など怖い話もある。日本人のかつての暮らしを、負の部分も含めて全て記録しているのが、遠野物語の特徴なのだ。第1回では、カッパにまつわる話などをひもときながら、遠野物語の全体像を解説する。

  • S01E146 遠野物語 第2回「神とつながる者たち」

    • June 11, 2014
    • NHK

    日本民俗学の祖・柳田国男の遠野物語を読み解く。遠野物語には、様々な神が登場する。そして神に近く、優れた能力を持つ人々もよく描かれる。第2回では、その意味を探る。 家に福をもたらし、いなくなると不幸をもたらすのがザシキワラシだ。ザシキワラシが消え、一家が全滅してしまう物語では、ひとりの少女だけが助かった。昔、子どもは、神から特殊な能力を授けられているとされていた。子どもだけが助かったのは、そうしたことを暗示していると思われる。その他にも、未来を予見する男など、神と人との距離が近いのが、遠野物語の大きな特徴だ。第2回では、遠野の神と、神につながる人々を描く。

  • S01E147 遠野物語 第3回「生と死 魂の行方」

    • June 18, 2014
    • NHK

    日本民俗学の祖・柳田国男の遠野物語を読み解く。遠野物語には、幽霊なのかそれとも生きているのか、生と死の境界が曖昧な登場人物が多い。第3回では、遠野の死生観に迫る 遠野では、生と死の境界はあいまいで、行ったり来たりできるものだった。大きな病気をして死にかけ、亡くなったはずの父や息子に出会った男や、行方不明になった娘が戻ってきた物語には、そうした死生観が凝縮されている。また遠野物語には、明治時代の大津波の話も収められている。そこでは、生き残った男が亡くなったはずの妻に出会う。男は妻に何を語ったのか? 第3回では、日常の中にあった死と、鎮魂への思いを見つめる。

  • S01E148 遠野物語 第4回「自然との共生」

    • June 25, 2014
    • NHK

    日本民俗学の祖、柳田国男の遠野物語を読み解く。遠野物語には動物も数多く登場する。そこに描かれている人間と野生動物の間には、ある緊張関係が見られる。その意味とは? 村人がオオカミの子を殺したため、怒った母オオカミが馬を殺すようになった物語では、不必要な命は奪うべきではないという人々の心情がうかがえる。自然界には、自然界ならではのおきてがある。人間もそれを破ってはならないのだ。こうした考えは、宮沢賢治の作品にも大きな影響を与えたという。第4回では、オオカミと人間との戦い、人を化かすキツネ、飢きんの前兆となる鳥の鳴き声などの物語から、自然と共に生きる人々を描く。

  • S01E149 ファーブル昆虫記<全4回> 第1回「命には必ず役割がある」

    • July 2, 2014
    • NHK

    「昆虫記」1巻を飾る「フンコロガシ」の研究。ファーブルはその生態から自然の中に秘められた見事なしくみを洞察した。第1回では生命それぞれに与えられた役割に迫る。 「昆虫記」1巻では「フンコロガシ」を観察した思い出が語られる。なぜ彼は、フンを食べるような昆虫に愛情を注いだのか。ファーブルが育った村は家畜のフンだらけだったが、それを汚いという人はいなかった。家畜によって人間が生かされていることをよく知っていたからだ。全ての生き物は平等であり、それぞれの役割がある。それがファーブルの信念だった。第1回では、ファーブルの昆虫へのまなざしから、その生命観を描く。

  • S01E150 ファーブル昆虫記 第2回「昆虫観察を天職と知る」

    • July 9, 2014
    • NHK

    第2回では、ファーブルが昆虫学者となるまでを見つめる。一家離散、極貧の中、苦学して教師になった彼の人生を変えた論文とは? 昆虫の驚くべき神秘が明らかに。 ファーブルが9歳の時、一家は離散。彼は苦学しながら師範学校を出て教師となる。だが当時昆虫は趣味に過ぎなかった。人生が変わったのは31歳の時。虫を食料とする狩り蜂の論文を読んだのがきっかけだった。そこには狩り蜂が捉えた虫はいつまでも腐らないと書かれていた。驚いたファーブルは自分でも観察を行い、驚がくの事実をつきとめた。第2回では、ファーブルが昆虫学者となるまでを見つめる。

  • S01E151 ファーブル昆虫記 第3回「本能の謎を解き明かす」

    • July 16, 2014
    • NHK

    昆虫の本能を次々に明らかにするファーブルだが、ある事件から窮地に陥ってしまう。だがそのピンチは彼に新たなチャンスを与える。第3回は「昆虫記」誕生秘話に迫る。 ファーブルは、狩り蜂の幼虫が、心臓など致命傷になる場所を巧妙に避け獲物を生かしたまま食べるという事実を発見。こうした本能に関する研究はダーウィンなどからも高い評価を得た。しかし、女性が同席している講演会でおしべとめしべの解説をしたことが問題視され、ファーブルは職を失う不運にみまわれる。そこで筆一本で生きる決意を固め、書き始めたのが昆虫記だった。第3回では、昆虫の本能と昆虫記誕生のきっかけを語る。

  • S01E152 ファーブル昆虫記 第4回「昆虫から学んだ生と死」

    • July 23, 2014
    • NHK

    昆虫はなぜ無益な殺し合いをしないのか? サソリの実験を通してファーブルは「人間の生死」の問題に向き合う。第4回では、ファーブルが晩年に到達した死生観に迫る。 55歳になったファーブルは、荒れ地を買い、植物を植えて昆虫の楽園を作った。そこで観察をしながら昆虫記を書き続けた。戦争が続発する時代、ファーブルはサソリを使った実験を行う。サソリが攻撃するのは餌となる生き物だけで、他とは決して戦おうとしなかった。不必要な殺りくを行うのは人間だけであり、死について知っているのも人間だけだとファーブルは考える。第4回では、ファーブルが晩年に到達した死生観に迫る。

  • S01E153 アンネの日記<全4回> 第1回「潜伏生活の始まり」

    • August 6, 2014
    • NHK

  • S01E154 アンネの日記 第2回「思春期の揺れる心」

    • August 13, 2014
    • NHK

    思春期を迎えたアンネは、自分を子ども扱いする大人に腹を立て、衝突を繰り返すようになる。そのいらだちを受け止めたのは日記だった。第2回は思春期の揺れる心を描く。 思春期を迎えたアンネは、自分を子ども扱いする大人に腹を立て、衝突を繰り返すようになる。そこで父は、アンネが日記を思う存分書けるよう環境を整えた。傷つきやすいアンネの心を守ろうとしたのである。アンネは、日記を書くことに大きな自由を見いだし、思いのたけをぶつけた。アンネは、日記によって大人たちとの葛藤を受け止めていったのだ。第2回は、思春期のいらだちとそれを見守る親の気持ちについて考える。

  • S01E155 アンネの日記 第3回「性の芽生えと初恋」

    • August 20, 2014
    • NHK

    アンネは同居人ペーターに恋心を抱く。しかし、アンネは感情にのみこまれ自分を見失ってしまうことに恐れをいだいてしまう。アンネの性への目覚めと初恋へのとまどいを描く アンネは隠れ家に同居していたペーターに恋心を抱くようになる。ペーターはアンネが発する素朴な「性」への疑問に真面目に答えていた。その誠実さに心打たれたのだった。しかし、アンネは、感情にのみこまれ自分を見失ってしまうことに恐れをいだき、恋心にブレーキをかけてしまう。ペーターはそんなアンネを見守るしかなかった。第3回は、アンネの性への目覚めと初恋、ペーターの孤独を見つめる。

  • S01E156 アンネの日記 第4回「希望を抱きながら」

    • August 27, 2014
    • NHK

    日記を通して自分とは何者かを冷静に見つめ続けるアンネ。しかしついに隠れ家の全員が捕らえられる日がやってくる。生きる希望を失わなかったアンネの最期の日々を語る。 日記を通して自分とは何者かを冷静に見つめ続けるアンネ。隠れ家生活は悪化の一途をたどっていたが、待ち望んでいたノルマンディ上陸作戦が始まる。人々は驚喜するが、その2か月後、ついに全員が捕らえられてしまう。その直前の日記には「理想の自分になりたい」という願いが書き込まれていた。アンネは収容所でチフスにより死亡した。享年15歳。第4回は、生きる希望を失わなかった人々の姿と、アンネの成長、その最期を語る。

  • S01E157 般若心経 <全4回> 第1回「最強の262文字」

    • September 3, 2014
    • NHK

  • S01E158 般若心経 第4回「見えない力を信じる」

    • September 24, 2014
    • NHK

  • S01E159 枕草子<全4回> 第1回「鮮烈な情景描写」

    • October 1, 2014
    • NHK

    「春はあけぼの」に代表される五感をフル活用した描写力。その秘密は「時間で切り取る」等常識を打ち破った清少納言の技にあった。第1回は枕草子の鮮烈な情景描写に迫る。 視覚、聴覚、嗅覚をフルに使って世の中を切り取った清少納言。最も有名なのが「春はあけぼの」で始まる文章である。春の早朝、横雲がたなびく中、空が次第に白くなっていく様子を描いたものだが、こうした散文による風景描写を日本文学に持ち込んだのは清少納言が初めて。「源氏物語」にもその影響が見られる。第1回では、清少納言が切り取った一瞬の情景を楽しむと共に、「枕草子」が生まれた背景に迫る。

  • S01E160 枕草子 第2回「魅力的な男とは?女とは?」

    • October 8, 2014
    • NHK

    恋愛事情は平安の昔も今も変わらない。清少納言はいい男は持ち上げ、悪い男は気の毒なほどに切り捨てる。第2回では清少納言が鋭く描いた男女の魅力や恋愛の機微を楽しむ。 平安時代の恋は「通い婚」。宮中の女房のもとにも男が来ていた。「枕草子」にはそうした会話を盗み聞きしている様子が描かれている。共に夜を過ごした翌朝、気が利いた優しい手紙をくれる男、音を立てて慌ただしく帰り支度を始める無粋な男…いい男は持ち上げられ、悪い男は気の毒なほどに切り捨てられている。第2回では、清少納言が鋭く描き出した男女の魅力や今も昔も変わらぬ恋愛の機微を楽しむ。

  • S01E161 枕草子 第3回「マナーのない人、ある人」

    • October 15, 2014
    • NHK

    清少納言は何をすれば宮中で信頼を得られるかを的確に把握していたため「枕草子」は社会人マナーについての記述が満載。第3回では、「枕草子」をマナー集として読み解く。 清少納言が宮中で成功したのは、中宮・定子への気遣いのためだった。清少納言は、何をすれば信頼を得られるかを的確に把握していた。そのため「枕草子」は優れたマナー集として読むことが出来る。また平安時代版・キャリアウーマンだったため、理想的な上司と部下の関係や、プロ意識をもつことの大切さなどについても事細かに記されている。第3回では、「枕草子」を現代に通じるマナー集として読み解く。

  • S01E162 枕草子 第4回「エッセイストの条件」

    • October 22, 2014
    • NHK

    随筆の名作「枕草子」が生まれた背景には、清少納言の類まれな資質と、定子への深い愛情があった!第4回は、清少納言が優れたエッセイストたりえたのはなぜかに迫る。 「枕草子」が生み出された背景には「テーマ設定のうまさ」「鋭い観察力・批判力」「興味関心の幅広さ」など、清少納言がもっていた優れた資質があった。そしてもう一つは時代背景だ。当時、清少納言が仕えていた定子は、実家が権力闘争に敗れたため、孤立を深めていた。そのため、定子を元気づけようと、厳しい現実には目をつぶり、輝かしい日々だけを記したのだ。第4回は清少納言が優れたエッセイストたりえたのはなぜかに迫る。

  • S01E163 菜根譚 <全4回> 第1回「逆境を乗り切る知恵」

    • November 5, 2014
    • NHK

    「菜根譚」では「逆境」を前向きにとらえ、それをばねにしてさらに高みを目指す生き方が数多く示されている。人生、誰もが陥る「逆境」にどう立ち向っていくかを読み解く。 「菜根譚」では、マイナスにとらえがちな「逆境」を前向きにとらえ、それをばねにしてさらに高みを目指す生き方が数多く示されている。そこには、政争に巻き込まれ隠とんせざるを得なかったと推測される著者、洪自誠自身の境遇が色濃く反映している。辛酸をなめつくしたからこそ、「逆境」を生かしきる珠玉の言葉を生むことができたのだ。第一回は、人生、誰もが陥る「逆境」にどう立ち向っていくかを「菜根譚」から読み解く。

  • S01E164 菜根譚 第2回「真の幸福とは?」

    • November 12, 2014
    • NHK

    「菜根譚」では「富貴や名声によらない幸福」「欲望を制御することの大切さ」を説き、現代に通じる幸福論を展開する。第2回では「菜根譚」ならではの「幸福論」を読み解く 「菜根譚」は、明代末期に形骸化した儒教道徳に、「道教」や「仏教」の中の最良の部分を導きいれ、新しい命を吹き込む。あくまで現実に立脚しながらも、「富貴や名声によらない幸福」「欲望を制御することの大切さ」「世俗を超えた普遍的な価値に身をゆだねることの重要性」などを説き、新しい「幸福論」を再構築しようとしているのだ。第2回では、儒教、道教、仏教を融合した「菜根譚」ならではの「幸福論」を読み解く。

  • S01E165 菜根譚 第3回「人づきあいの極意」

    • November 19, 2014
    • NHK

    「菜根譚」には、交際術に関する具体的な指南も数多く記されている。第3回は「家族との接し方」「組織人としての振舞い方」等「人づきあいの極意」を読み解く。 政争にもまれさまざまな人間模様を見続けたと推測される洪自誠は、人間洞察の達人でもあった。「菜根譚」には、「人づきあいの極意」ともいうべき交際術も数多く記されている。「家族との接し方」「友人との接し方」「組織人としての振舞い方」「人材育成法」……およそ人とかかわるあらゆる局面で、どう振舞ったらよいかを具体例とともに細かく指南しているのだ。第3回は、「菜根譚」から「人づきあいの極意」を読み解く。

  • S01E166 菜根譚 第4回「人間の器の磨き方」

    • November 26, 2014
    • NHK

    「どう生きれば人間的に成長できるのか」は多くの人たちの共通の課題。第4回は「自分の心を見つめること」「中庸」など「人間の器の磨き方」を「菜根譚」から読み解く。 晩年に達観の境地に至ったとされる洪自誠は、人格の陶冶には長い年月がかかると繰り返し述べその重要性を訴える。既存の価値観がゆらぐ現代、「どう生きれば人間的に成長できるのか」は多くの人たちの共通の課題だ。「菜根譚」は「自分の心を見つめること」「ゆとりをもつこと」「中庸」「高い志」などを、人間的な成長に不可欠なものとして提示する。第4回は、「菜根譚」から「人間の器の磨き方」「人間力の高め方」を読み解く

  • S01E167 ハムレット<全4回> 第1回「“理性”と“熱情”のはざまで」

    • December 3, 2014
    • NHK

    優柔不断と評されてきたハムレット。しかしその悩みの裏には近代人が誰しも直面する「理性」と「感情」の相克があった。ハムレットを哲学的に読み解き悩みの真実に迫る。 「優柔不断な青年」と見られがちなハムレット。しかし、行動をためらうのには大きな原因があった。そこには中世から近代へ向かうに際し、近代人としてのアイデンティティーを確立しようとする人たちが不可避的にぶつかる問題があった。ハムレットのちゅうちょは「理性」と「感情」の相克という近代人の宿命に根ざしていた。第1回はハムレットが行動をちゅうちょする場面を詳細に振り返りながら「ハムレットの悩み」の真実に迫る。

  • S01E168 ハムレット 第2回「生きるべきか、死ぬべきか」

    • December 10, 2014
    • NHK

    理性、激情、そして両方の調和。ハムレットの登場人物には人間の強さ、弱さが象徴されている。それを踏まえ、「生きるべきか、死ぬべきか」のせりふに込められた意味に迫る 激情に流されてしまうレアーティーズ、思慮深いが行動に出るのには慎重すぎるホレイシオ、理性と熱情を見事に調和させたフォーティンブラス。主人公ハムレットは、それぞれの行動を見つめ、自分がどう生きるべきかを考えていく。「生きるべきか、死ぬべきか」というせりふには人間の生き方を問う普遍的な問題が含まれているのだ。第2回は、登場人物から見えてくるシェイクスピアの人間観やせりふに込められた深い意味に迫る。

  • S01E169 ハムレット 第3回「弱き者、汝の名は女」

    • December 17, 2014
    • NHK

    母ガートルードや恋人オフィーリアなどを通して、愛する人との向き合い方を問う「ハムレット」。「尼寺へ行け!」という台詞に込められた本当の意味とは? 「ハムレット」には、母ガートルードや恋人オフィーリアなどを通してシェイクスピアの女性観が描かれている。「尼寺へ行け!」という有名な台詞は、憎悪を燃やして吐いた言葉ではなく、実は、醜い世界と縁を切らせオフィーリアを守ろうとした「愛の言葉」だった!? 第3回は、ハムレットが女性たちとかかわるシーンを振り返りながら、「愛する人との向き合い方」を考える。

  • S01E170 ハムレット 第4回「悩みをつきぬけて“悟り”へ」

    • December 24, 2014
    • NHK

    最後に「なすべきことを全てやりきった後は全て運命にまかせよう」という悟りに至ったハムレットの心境は?狂言師・野村萬斎が狂言とシェイクスピア劇の共通性を読み解く。 近代人としての悩みを真正面から引き受けて悩み続けたハムレットは、最後に「なすべきことを全てやりきった後は全て運命にまかせよう」という悟りの境地に至った。第4回は、狂言師・野村萬斎と一緒に、「ハムレット最後の決断」の意味や、狂言等日本の古典とシェイクスピア劇との共通性を読み解き、「ハムレット」に秘められた普遍的なメッセージを明らかにする。

  • S01E171 岡倉天心 茶の本 <全4回> 第1回「茶碗(わん)に満ちる人の心」

    • January 7, 2015
    • NHK

    「茶を飲む」というささやかな行為を、究極の芸術であり宗教であるととらえた「茶の思想」。私達の日常の隅々にまでその価値観はしみわたっている。日本文化の原点に迫る。 天心は「茶」の根本思想を「俗事中の俗事たる茶を飲む行為のようなごく日常的な営みを、究極の芸術・宗教ととらえる日本独特の世界観」と紹介する。この考え方を天心は「美しくも愚かしいこと」という一言に象徴させる。天心は「茶の精神」を、つまるところ「一抹の夢」にすぎない現実の無常を美しいものと観じ微笑んで受け入れる境地であると考えた。そしてそこに、欲望に狂乱する現代世界の混乱を収拾するヒントがあるという。

  • S01E172 岡倉天心 茶の本 第2回「源泉としての老荘と禅」

    • January 14, 2015
    • NHK

    「茶」の極意は老荘思想や禅にある。その根本思想を読み解き、日常茶飯のひとつひとつが修行でありその中に至上の境地を見いだそうとする「茶の精神」に迫る。 「茶」の根本には、老荘思想や禅の影響を受けた「虚(不完全性)」「小さいものの偉大さ」という二つの理念が存在する。人間は不完全であるからこそ完成に向けて無限の可能性が開かれているという老荘の人間観。そして「極小の中に宇宙大の真理が宿る」という禅の思想。その影響から、日常茶飯のひとつひとつが修行であり、その中に至上の境地を見いだす「茶の精神」が生まれたのだ。

  • S01E173 岡倉天心 茶の本 第3回「琴には琴の歌を歌わせよ」

    • January 21, 2015
    • NHK

    「すきや」という言葉には日本人の感受性が凝縮している! 第三回は「茶室」に込められた深い意味や、茶が教える美の極意「自他一体の境地」を解き明かす。 西欧近代の美学では、しばしば芸術家、鑑賞者双方が我をむき出しにし、自己主張し合う。しかし、それでは、芸術の本質は理解できない。自己を空しくし芸術に身をゆだねることによって、自己を超越した「自他一体の境地」に至ることこそ「茶」が教える芸術の奥義だという。第三回では、茶が教える美の極意「自他一体の境地」や、日本人の感受性が凝縮した「茶室」に込められた意味を解き明かす。

  • S01E174 岡倉天心 茶の本 第4回「花、そして茶人の死」

    • January 28, 2015
    • NHK

    西欧とは対照的に、「茶」は自然と人間が対等であることを理想としている。第四回は、「茶の本」に込められた「自然観」を世界的建築家・隈研吾さんと読み解いていく。 西欧では、花は物質的資源として人間の好き勝手に浪費され、使用済みとなれば無用のごみとなる。天心はこうした態度が一般化すると、自然環境を人間の都合に合わせてしまう人間中心主義に陥ると批判する。これに対して、「茶」は、自然と人間は対等であることを理想としているのだ。第四回は、「茶の本」に込められた「自然観」を、世界的建築家・隈研吾さんと読み解いていく。

  • S01E175 フランケンシュタイン<全4回> 第1回「“怪物”の誕生」

    • February 4, 2015
    • NHK

    科学の粋を集めて造り出された人造人間は見るもおぞましい「怪物」だった。そのアイデアの元は作者メアリ・シェリーの出産恐怖の反映か。「怪物誕生」の意味を読み解く。 科学の粋を集めて造り出された人造人間。しかしそれは見るもおぞましい「怪物」だった。作者メアリ・シェリーはいかにしてこの発想を得たのか? そこには何度も繰り返された死産の体験があった。やがて出産は作者にとって恐怖の対象となる。おぞましい「怪物誕生」の物語は「出産恐怖」の反映だったのだ。第一回は、作者の人生や時代背景から、「怪物誕生」の意味を読み解く。

  • S01E176 フランケンシュタイン 第2回「疎外が“邪悪”を生み出す」

    • February 11, 2015
    • NHK

    ある家族と出会い怪物は「人間」として目覚め始める。しかし姿が醜いというだけで苛烈な迫害を受け始め、怪物は人類に復しゅうを誓った。第二回は「怪物の告白」を読み解く ある家族との出会いや読書体験を通して怪物は「人間」として目覚め始める。それもつかの間、姿が醜いというだけで苛烈な迫害を受け始め、いつしか怪物は人類に復しゅうを誓うようになった。怪物の視点に立つとこの作品は「人はなぜ生きるのか」を問い続けるアイデンティティー探求の物語として読める。第二回は「怪物の告白」を読み解くことで「人間存在とは何か」「社会になぜ悪が生まれるのか」といった普遍的な問題を考えていく

  • S01E177 フランケンシュタイン 第3回「科学者の“罪”と“罰”」

    • February 18, 2015
    • NHK

    怪物の逆襲という手痛いしっぺがえしを受ける科学者ヴィクターの悲劇。そこから、人類に幸福をもたらすはずの科学が暴走し破滅の危機をもたらす危険性への警告を読み取る。 偉大な功績を残したいという野心に突き動かされた主人公ヴィクターは、怪物の逆襲という手痛いしっぺがえしを受ける。そこには、本来人類に幸福をもたらすはずの科学が暴走し、やがて人類を破滅の危機へと導いていくという、現代人が直面している問題が象徴的に描かれている。第三回は、科学者ヴィクターの行動を見つめることで、「科学の功罪」を問うていく。

  • S01E178 フランケンシュタイン 第4回「“怪物”とは何か?」

    • February 25, 2015
    • NHK

    作者は人類の敵「怪物」を同情的に描いた。近代社会が抑圧・排除してきた「負の部分」を象徴的に担った存在として「怪物」をとらえる視点から、物語を読み解く。 人類の敵ともいえる「怪物」を作者は同情的に描いている。近代社会が抑圧・排除してきた「負の部分」を象徴的に担った存在として「怪物」をみていたからだ。「抑圧された醜い欲望」「社会のゆがみが生み出した下層階級」……いわば「怪物」は人間社会が生み出してきた分身でもある。だからこそ、私たちは「怪物」を否定できないのだ。第四回は、「怪物という存在」が担った象徴的な意味を読み解き、人間の「負の部分」を見つめる。

  • S01E179 アンネの日記 <全4回> 第1回「潜伏生活の始まり」

    • March 4, 2015
    • NHK

  • S01E180 ブッダ 最期のことば<全4回> 第1回「涅槃(ねはん)への旅立ち」

    • April 1, 2015
    • NHK

    自身の死期が近いことを悟ったブッダは故郷を目指して最後の旅に旅立つことを決意する。旅の途上で説かれた教えには意外にも組織永続のための秘けつが込められていた。 80歳を迎えたブッダは霊鷲山に滞在していた。身体の衰えがひどく自身の死期が近いことをさとったブッダは故郷を目指して最後の旅に旅立つことを決意する。旅の途上で説かれた教えには、自分の死後仏教や教団が永く維持・存続するための秘けつが込められている。第1回は「涅槃経」の全体像を概観し、ブッダが「自己鍛錬システム」として説いてきた仏教の本質と、それをいかにして長く存続させるかというブッダの知恵を読み解く。

  • S01E181 ブッダ 最期のことば 第2回「死んでも教えは残る」

    • April 8, 2015
    • NHK

    ブッダは最後の旅において、自分の死後に判断基準となるような教えを繰り返し説き続けた。ブッダの死後も生き続ける「生き方の指針」を読み解いていく。 ブッダは最後の旅において、自分の死後に指標となるような教えを繰り返し説き続けた。その代表例が「自灯明・法灯明の教え」。「私がいなくなっても真理の法は生きている。自らを灯明とし自らをよりどころとしなさい。法を灯明とし法をよりどころとしなさい」。この言葉は、自分の死後リーダーが不在になったとしても、修行を続けていける方途を示したものだ。ブッダの死後も生き続ける「生き方の指針」を読み解いていく。

  • S01E182 ブッダ 最期のことば 第3回「諸行無常を姿で示す」

    • April 15, 2015
    • NHK

    ブッダの死因は、鍛冶屋チュンダが供養した食事による食中毒だった。ブッダですら入滅すると、自身の姿で示した「諸行無常」の真理や、ブッダの深い慈悲を解説する。 ブッダの死因は、鍛冶屋チュンダが供養した食事だったとされる。しかし、ブッダは一切チュンダを責めることはしない。それどころか「ねはんに入る前の最後の施食(せじき)は、ほかのどんな供養よりもはるかに大きな果報と功徳がある」と説き、チュンダの後悔の念を和らげようという深い慈悲を示す。第3回は最後の瞬間まで貫かれた慈悲や自身の姿で示した諸行無常の真理を解説する。

  • S01E183 ブッダ 最期のことば 第4回「弟子たちへの遺言」

    • April 22, 2015
    • NHK

    ブッダは死に際し弟子たちに向けて遺言ともいうべき言葉を語り始める。生涯をかけて積み上げてきたものだけが示せる荘厳なブッダの死の意味を読み解く。 ついにブッダに死が訪れようとしていた。沙羅双樹の樹下に横たわったブッダは、弟子たちに向けて遺言ともいうべき言葉を語り始める。「修行の大切さ」「時代にあわせて柔軟に戒を運用すること」を伝えるなど、最期の最期まで、自分の死後に残された人たちが困らないよう細かい心配りをするブッダ。それは、生涯をかけて積み上げてきたものだけが示せる荘厳な死だった。第四回はブッダの死の意味を読み解く。

  • S01E184 荘子<全4回> 第1回「人為は空(むな)しい」

    • May 6, 2015
    • NHK

    「荘子」は各所で、本来の自然を歪める「人為」の落とし穴を指摘する。その背景には「無為自然」の思想がある。「人為」の空しさや「無為自然」の素晴らしさを伝える。 「荘子」はいたるところで、本来の自然をゆがめてしまう「人為」の落とし穴を指摘する。その背景には、「荘子」の「無為自然」の思想がある。人為を離れ、自然の根源的な摂理に沿った生き方こそ、人間の最高の境地だというのだ。第一回では、「荘子」の全体像を紹介しつつ、人間のこざかしい「人為」のむなしさと、人為の働かない「無為自然」のすばらしさを伝える。

  • S01E185 荘子 第2回「受け身こそ最強の主体性」

    • May 13, 2015
    • NHK

    周囲に振り回されるマイナスなイメージがつきまとう「受け身」。だが「荘子」では「受け身」にこそ最強の主体性が宿ると説く。第二回は「受け身」の極意を解き明かす。 周囲に振り回されるマイナスなイメージがつきまとう「受け身」。だが「荘子」では、「鏡のたとえ」「妻の死を飄々(ひょうひょう)と受け止める荘周」といったエピソードで、「受け身」にこそ最強の主体性が宿ると説く。玄侑宗久さんは、こうした境地が「禅の修業」と共通性しているという。第2回は、「荘子」が説く「全てを受け入れたとき人は最も強くなれる」という「受け身」の極意を禅と比較しながら明らかにする。

  • S01E186 荘子 第3回「自在の境地 “遊”」

    • May 20, 2015
    • NHK

    「荘子」では自在に躍動する生き方の極意が説かれている。それは、世間的な価値でははかれない「遊」の境地だ。伸びやかに生を謳(おう)歌する極意を読み解く。 「荘子」では、自在に躍動する生き方の極意が説かれている。「無用の用」などのエピソードで世間的な価値でははかれない「遊」の境地を教える。「遊」の立場に立てば全てが「大用」に転換するという。それは「人の役に立つことで却って自分の身を苦しめる」状況からの解放だ。第四回は、何物にもとらわれない自在の境地の素晴らしさ、伸びやかに生を謳(おう)歌する極意を読み解く。

  • S01E187 荘子 第4回「万物はみなひとしい」

    • May 27, 2015
    • NHK

    万物を生み出しその働きを支配する「道」を根本原理ととらえた「荘子」。「道」からみれば万物は一体。世間の価値観は全て相対的だ。「荘子」の「万物斉同」の思想に迫る。 万物を生み出しその働きを支配する「道」を根本原理ととらえた「荘子」。「道」からみれば万物は一体であり、人間世界の価値は全て相対的で優劣などない。「万物斉同」と呼ばれるこの思想は、世俗的な価値にとらわれ、つまらないことで争いを続ける人間の愚かさを笑い飛ばす。第4回では、これまで展開してきた全ての思想を支える「荘子」の要、「万物斉同」の思想を明らかにする。

  • S01E188 オイディプス王<全4回> 第1回「運命とどう向き合うか?」

    • June 3, 2015
    • NHK

    人間は運命と向き合ったときどうふるまうべきなのか。ギリシア悲劇「オイディプス王」は、運命を受け入れてなお人間に主体性というものは成り立つのかを問いかける。 人間は運命と向き合ったときどうふるまうべきなのか。ギリシア悲劇「オイディプス王」は、運命を受け入れてなお人間に主体性というものは成り立つのかを問いかける。第一回は作品成立の背景や全体像に迫りながら人間にとっての「運命の意味」を考える。

  • S01E189 オイディプス王 第2回「起承転結のルーツ」

    • June 10, 2015
    • NHK

    オイディプス王が論理的思考を駆使し原因究明に突き進む物語は見事なまでの起承転結の構造だ。島田雅彦さんはこの作品が「起承転結のルーツ」ではないかと解説する。 オイディプス王が論理的思考を駆使して原因究明に突き進む物語構造は「起承転結構造のルーツ」だと分析する島田雅彦さん。当時、ギリシア世界では自然哲学が勃興。科学的思考や数学的思考がほう芽し、混とんとした自然を合理的に説明しようという試みが盛んだった。この作品はそうしたギリシア的合理精神の表れの一つだったのではないか。第二回は物語を読み解くことで、人間にとって「知るという行為」がもつ深い意味に迫っていく

  • S01E190 オイディプス王 第3回「人間の本質をあぶりだす」

    • June 17, 2015
    • NHK

    「父殺し」「母子相姦(かん)」「自分探し」。古今東西繰り返されてきたテーマを通して、人間の本質をあぶり出そうとする「オイディプス王」のメッセージを解読する。 古い秩序の象徴ともいえる父親を殺害し自らがその座を奪い取る「父殺しの物語」。自らを生み出した母なるものへ回帰しようとする欲望を描く「母子相姦の物語」。破滅をも恐れず自らの出自を確かめようとするあくなき探求を描く「自分探しの物語」。これらのテーマを通して人間のどのような側面を描こうとしていたのか? 第三回は人間の本質をあぶりだす様々なテーマを読み解き、現代に通じる普遍的なメッセージを引き出していく。

  • S01E191 オイディプス王 第4回「滅びゆく時代を生き抜く」

    • June 24, 2015
    • NHK

    ソポクレスが晩年に執筆した続編「コロノスのオイディプス」には滅びゆくアテネ市民に向け「運命を受け止めつつそれでも高貴に生きよ」というメッセージが込められていた! ソポクレスは最晩年、続編「コロノスのオイディプス」を執筆する。この作品で描かれるのは淡々と運命を受け入れアテネを守る守護神へと変貌していく老オイディプスの姿が中心。その背景には戦争により疲弊したギリシア世界がたそがれを迎えつつあった時代状況がある。そこには滅びゆく運命にあるアテネ市民に向け「運命を受け止めつつそれでも高貴に生きよ」というメッセージが込められている。現代に通じる普遍的な意味を読み解く

  • S01E192 小泉八雲 日本の面影<全4回> 第1回「原点を訪ねる旅」

    • July 1, 2015
    • NHK

    小泉八雲が異文化である日本を理解する方法は、庶民の暮らしに向き合うこと、伝承や神話に耳をすますこと。八雲が異文化日本を見つめた熱いまなざしに迫っていく。 小泉八雲が異文化である日本を理解する方法は、庶民の暮らしに向き合うこと、伝承や神話に耳をすますことだ。その背景には、母を奪った父に代表される西欧社会への根深い敵意があった。日本を巡る旅は、母の記憶につながる原初の楽園的な世界を日本のうちに求めようという自分探しの旅、自らの原点を探す旅でもあった。第一回は、小泉八雲の人となり等を掘り下げながら、八雲が異文化日本を見つめた熱いまなざしに迫っていく。

  • S01E193 小泉八雲 日本の面影 第2回「古きよき日本を求めて」

    • July 8, 2015
    • NHK

    私たち日本人が当たり前のものとして見過ごしてきた「盆踊り」「庶民の信仰」の中に太古から日本人を育み豊かにしてきた文化の基層があると直観した小泉八雲の日本論に迫る 小泉八雲は、私たち日本人が当たり前のものとして見過ごしてきたものの中に、日本人の深層にあるものを見つけ出していく。「盆踊り」や「出雲大社」「庶民の信仰」の中には、太古から日本人を育み、豊かにしてきた文化の基層があると直観した。第二回は、目に見えない「霊的なもの」を感受する八雲独自の方法で探り当てた、古きよき日本の深層に迫っていく。

  • S01E194 小泉八雲 日本の面影 第3回「異文化の声に耳をすます」

    • July 15, 2015
    • NHK

    日本人の微笑みの本質を見事に読み解いた小泉八雲。そこには彼ならではの資質があった。五感を駆使し、異なる声に耳をすませ続けた八雲の「異文化理解の方法」に迫る。 小泉八雲は、西欧人たちには理解が困難だった日本人の特質に新たな光を当てる。悲しいときのほほ笑みを「究極の克己心にまで達した謙譲」と読み解いた八雲。なぜここまで日本人の本質に迫れたのか?そこには「五感を研ぎすませて対象に向き合う」「相手の立場になりきる」といった八雲の資質があった。第三回は、五感を駆使し、異なる声に耳をすませ続けた八雲の「異文化理解の方法」を明らかにしていく。

  • S01E195 小泉八雲 日本の面影 第4回「心の扉を開く」

    • July 22, 2015
    • NHK

    小泉八雲は自らの魂の傷を癒やすものとして日本の古い民話や説話を発見し「怪談」という傑作へと昇華する。それは「開かれた心」を持ち続けた八雲ならではの芸術作品だった 小泉八雲は自らの魂の傷を癒やすものとして日本の古い民話や説話を発見し「日本の面影」の中に採録する。やがて八雲は「再話文学」という方法を使ってそれらを「怪談」という傑作へと昇華していく。さまざまな文化が融合したその作品は「開かれた心」を持ち続けた八雲だからこそなしえた芸術だった。第四回は、「日本の面影」が傑作「怪談」に結実するまでの軌跡を追い、八雲が目指した「魂の理想」を描き出す。

  • S01E196 ダーウィン“種の起源”<全4回> 第1回「“種”とは何か?」

    • August 5, 2015
    • NHK

    ダーウィンは人間が飼育栽培する動植物が同じ「種」とは思えないような変化を遂げていく事実に注目。そこから「種は進化し別の種になる」という進化論を展開していく。 生物分類の基本単位「種」は神が創造して以来不変のものだというのが19世紀当時のキリスト教的な世界観だった。ダーウィンは人間が飼育栽培する動植物が同じ「種」とは思えないような変化を遂げていく事実に注目。そこから「種は進化し別の種になる」という理論にたどり着く。第一回は、ダーウィンが既存の世界観にどう挑んでいったかを明らかにしながら、「種の起源」で説かれる進化論の発想の原点に迫っていく。

  • S01E197 ダーウィン“種の起源” 第2回「進化の原動力を解き明かす」

    • August 12, 2015
    • NHK

    同じ種の生物が世代交代を経るごとに変異を累積し、やがて当初とは大きく異なった種へと変貌していく「進化」。ダーウィンはその原動力が何かを解き明かしていく。 同じ種の生物が世代交代を経るごとに変異を累積し、やがて当初とは大きく異なった種へと変貌していく「進化」。ダーウィンはその原動力が何かを解き明かす。生物の進化は生物同士が同一環境でそれぞれに必要な資源を求めてしれつな競争を行った結果、たまたまその環境に適した変異をもった生物だけが子孫を残すことができるために、結果として起こる現象だというのだ。第二回は「生存競争」「自然とう汰」の概念を明らかにしていく

  • S01E198 ダーウィン“種の起源” 第3回「“不都合な真実”から眼をそらさない」

    • August 19, 2015
    • NHK

    「中間種やその化石が見つからないのはなぜか」等難問ともいえる反論に対してダーウィンは自説を応用することで見事に答えていく。ダーウィンの科学的思考のすごさに迫る。 ダーウィンは「考えられる限りの反論」や「進化論にとって一見説明できないような不都合なデータ」を一つ一つ検証し、自らの理論を徹底的にテストする。「進化の途上にある中間種やその化石が発見されないのはなぜか?」「眼のような精緻な構造が進化だけで生まれるのか?」「世界中で同じ種が同時多発的に生まれるのはなぜか?」 難問ともいえる反論に対して、ダーウィンの科学的思考は、自説を応用することで見事に答えていく。

  • S01E199 ダーウィン“種の起源” 第4回「進化論の“今”と“未来”」

    • August 26, 2015
    • NHK

    「種の起源」以降、ダーウィンはその研究の対象を人間へと広げる。それは現代の人間観にも大きな影響を与えている。「進化論」から見えてくる「今」と「未来」を見つめる。 「種の起源」以降、ダーウィンはその研究の対象を人間へと広げていく。それは現代の人間観にも大きな影響を与えている。一方で、「進化論」は「人種差別」「強者の論理」などを肯定するイデオロギーだという誤解も絶えない。果たして「進化論」が生み出した人間観とは何だったのか? 第四回は、「進化論」にまつわる数々の誤解を解くとともに、現代の人間観にとって「進化論」がどのような意味をもっているかを解き明かしていく。

  • S01E200 太宰治 斜陽<全4回> 第1回「“母”という名の呪縛」

    • September 2, 2015
    • NHK

    生まれついての優雅さをもつ「最後の貴婦人」と呼ばれた「母」。娘のかず子はそんな母を尊敬しながらも疎ましく思う心を芽生えさせていた。太宰が描く「母娘問題」を解読。 生まれついての優雅さをもつ「最後の貴婦人」と呼ばれた「母」。娘のかず子はそんな母を尊敬しながらも疎ましく思う心を芽生えさせていた。太宰はこの「母娘関係」を通して何を表現しようとしたのか? 高橋源一郎さんは、かず子が母との葛藤の中で心の中に育てていく「蛇」が、社会が長らく抑圧してきた「女性原理」の象徴ではないかと読み解く。第1回では「斜陽」執筆の背景を紹介しながら現代に通じる「母娘問題」を読み解く。

  • S01E201 太宰治 斜陽 第2回「かず子の“革命”」

    • September 9, 2015
    • NHK

    母の死をきっかけに、「恋と革命」に生きることを目指して冒険を始めるかず子。そこには太宰治の「革命論」が込められていた。 かず子は母の死をきっかけに、新しい生き方を求めて突き進む。その果てに不義の子を産み一人で育てていくことを決意するのだった。最初は、常識も生活力もまるでなかったかず子は、大地を踏みしめるような暮らしを通して、誰かのいいなりになるだけの「人形」から「人間」へと目覚め始める。その飛躍のためにかず子は古い道徳や常識をぶち壊すような「恋」を選び取った。第2回は、かず子の生き方の中に太宰の革命論を読み解く。

  • S01E202 太宰治 斜陽 第3回「ぼくたちはみんな“だめんず”だ」

    • September 16, 2015
    • NHK

    庶民に同化したいとあえて麻薬や酒に溺れようとする直治。社会に反抗するように札つきの不良として振る舞う作家の上原。二人の生き方には太宰自身の生き方が反映している かず子の弟・直治は貴族という生まれを呪い庶民に同化したいと願いあえて麻薬や酒に溺れようとする。一方、作家の上原は社会に反抗するかのように退廃的な生活にひたり、札つきの不良として振る舞う。二人の生き方には、太宰自身の必死の叫びがある。自らの悪を白日の下にさらけ出す二人は、そうすることで、大きな罪や矛盾をごまかし見ないふりを続ける世間の欺まんに対して「ほんとうのこと」を突きつけようとしているというのだ

  • S01E203 太宰治 斜陽 第4回「“太宰治”の中にはすべてが入っている」

    • September 23, 2015
    • NHK

    現代でも太宰治の作品は多くの人をひきつけてやまない。時代を超えて愛され続ける太宰の魅力とは?作家・高橋源一郎さんと芥川賞を受賞した又吉直樹さんが徹底トーク! 現代でも太宰治の作品は多くの人をひきつけてやまない。時代を超えて愛され続ける太宰の魅力とはいったい何なのか?高橋源一郎さんは、太宰が「世界で何が起こっているかを静かに聴くことができる耳」の持ち主だったからだという。第四回は、お笑いタレントで芥川賞受賞作家の又吉直樹さんを交え、「斜陽」だけでなく、「人間失格」やその他の短編など他の作品も取り上げながら、太宰治の魅力を徹底トークする。

  • S01E204 サルトル“実存主義とは何か”<全4回> 第1回「実存は本質に先立つ」

    • November 4, 2015
    • NHK

    「人間の本質はあらかじめ決められておらず、だからこそ、人間は自ら世界を意味づけ行為を選び取らなければならない」と宣言したサルトルの講演をわかりやすく読み解く。 人間の本質はあらかじめ決められておらず、実存(現実に存在すること)が先行した存在である。だからこそ、人間は自ら世界を意味づけ行為を選び取り、自分自身で意味を生み出さなければならない」と高らかに宣言したサルトルの講演は、その後世界中で著作として出版され、戦後を代表する思想として広まっていた。その第一回は、「実存主義とは何か」を読み解き「根源的な不安」への向き合い方を学んでいく。

  • S01E205 サルトル“実存主義とは何か” 第2回「人間は自由の刑に処せられている」

    • November 11, 2015
    • NHK

    人間の「自由」には絶対的な孤独と責任が伴う。その状況をサルトルは「我々は自由の刑に処せられている」と表現した。「自由」を本当の意味で生かしきる方法を読み解く。 人間の「自由」には絶対的な孤独と責任が伴う。その状況をサルトルは「我々は自由の刑に処せられている」と表現した。人間はともするとこの「自由」に耐え切れず「自己欺瞞(まん)」に陥ってしまう。第二回は、「実存主義とは何か」や小説「嘔吐」から、人間にとっての「自由」の意味を読み解き、どうしたらその「自由」を本当の意味で生かしきることができるかを考える。

  • S01E206 サルトル“実存主義とは何か” 第3回「地獄とは他人のことだ」

    • November 18, 2015
    • NHK

    決して完全には理解し合えず相克する「他者」との関係。だが、その「他者」なしには人間は生きていけない。人は「他者」とどう向き合ったらよいのかをサルトルに学ぶ。 決して完全には理解し合えず相克する「他者」との関係。だが、その「他者」なしには人間は生きていけない。「他者」と相克しながらも共生していかなければならない状況をサルトルは「地獄」と呼ぶ。こうした根源的な状況の中で、人は「他者」とどう向き合ったらよいのか? 第三回は、「他者」という「不自由」を見つめ、主体性を失うことなく「他者」と関わりあうことがいかにして可能かを、サルトルの思想に学んでいく。

  • S01E207 サルトル“実存主義とは何か” 第4回「希望の中で生きよ」

    • November 25, 2015
    • NHK

    「アンガージュマン」(参加・拘束)という概念を提唱し、社会へ積極的に参加して自由を自ら拘束していくことが自由を最も生かす方法だと主張するサルトル思想を読み解く。 サルトルは「アンガージュマン」(参加・拘束)という概念を提唱し、人間は積極的に《状況》へと自らを《投企》していくべきだと訴える。社会へ積極的に参加し、自由を自ら拘束していくことが、自由を最も生かす方法だと主張するのだ。それは、サルトルが生涯をかけて、身をもって実践した思想でもあった。第四回は、どんなに厳しい状況にあっても「自由」を生かし、「希望」を失わずに生きていく方法を学んでいく。

  • S01E208 良寬 詩歌集<全4回> 第1回「ありのままの自己を見つめて」

    • December 2, 2015
    • NHK

    良寛の和歌や漢詩から「肩書きや名誉、金銭等は本来の自己には何の役にもたたない。ごまかしようのないありのままの自分を見つめよう」というメッセージを読み解いていく。 良寛ほど「ありのままの自己」を見つめぬいた人はいない。ときに厳しく、ときに笑い飛ばすような批評眼を通して見つめた人間洞察からは、肩書きや名誉、金銭等は、本来の自己には何の役にもたたないのだ、というメッセージが伝わってくる。そして、ごまかしようのない自己を認めた時、何ものにも惑わされない「自由な生き方」も自ずと見えてくる。自分自身を見つめる方法や何ものにも惑わされず伸びやかに生きるヒントを学ぶ。

  • S01E209 良寬 詩歌集 第2回「清貧に生きる」

    • December 9, 2015
    • NHK

    良寛は徹底して「もたない暮らし」を貫いた。「清貧」は自分を見失わないための座標軸を与えてくれるもの。良寛の清貧な暮らしの中に私たちが生きる原点を探っていく。 「たくほどは風がもてくる落ち葉かな」。貧しく厳しい暮らしの中にこそ、奥深い楽しみや味わいがある…そんな良寛の心が見えてくるような和歌だ。良寛は、徹底して「もたない暮らし」を貫いた。だがそれは決してやせ我慢などではない。ともするとマイナスにもみえる「貧しさ」や「孤独」は、時に自分を見失わないための座標軸を与えてくれるのだ。そこにはモノや情報にあふれた現代人が忘れてしまった洞察がある。

  • S01E210 良寬 詩歌集 第3回「“人”や“自然”と心を通わす」

    • December 16, 2015
    • NHK

    良寛の作品には人や自然への温かいまなざしが横いつしている。それらと心を通わせ全てを豊かに味わい尽くす達人の境地があるのだ。批評眼に貫かれた良寛の風流の神髄に迫る 清貧を貫いたからといって、良寛は決して超俗の人ではない。良寛の漢詩や和歌には、人々や自然への温かいまなざしが常に横いつしている。子供と一緒にまりをつくことに没頭する幸せ、友人と酒をくみかわす楽しさ、質素な暮らしの中でこそみえてくる自然の美しさ。良寛の漢詩や和歌を読み解いていくと、人や自然と心を通わせ、全てを豊かに味わい尽くす達人の境地がみえてくる。第三回は、批評眼に貫かれた良寛の風流の神髄に迫る。

  • S01E211 良寛 詩歌集 第4回「“老い”と“死”に向き合う」

    • December 23, 2015
    • NHK

    良寛は晩年自らの老いや病の有様を克明に作品に描いていく。そこには、全てを言葉で表現し尽くすことで、それを人生修行の場としようという良寛の強じんな精神がみえてくる 良寛は晩年、老いや病に苦しめられた。彼の漢詩や和歌には、その克明な状況すら描かれている。そこには、全てを言葉で表現し尽くすことで、「老い」や「病」「死」と対峙(じ)し、それを人生修行の場としようという良寛の強靭(じん)な精神がみえてくる。良寛の表現活動を通して、「老い」や「病」「死」との向き合い方を学ぶ。

  • S01E212 内村鑑三 代表的日本人<全4回> 第1回「無私は天に通じる」

    • January 6, 2016
    • NHK

    「代表的日本人」の冒頭に登場する西郷隆盛。「自己をはるかに超えた存在」と魂の会話を続け、そこに照らして自らの生き方を問い続けた西郷の「敬天愛人」の思想に迫る。 「代表的日本人」の冒頭に登場する西郷隆盛。明治維新の立役者として知られるが、実は徹底して「待つ人」だった。真に必要に迫られなければ自ら動かない。しかし一度内心からの促しを感じたなら、ちゅうちょすることなく決断し動く。それこそが西郷という人物の神髄だった。それは、折にふれて「自己をはるかに超えた存在」と魂の会話を続け、そこに照らして自らの生き方を問い続けた「敬天愛人」という信条から発するものだった。

  • S01E213 内村鑑三 代表的日本人 第2回「試練は人生からの問いである」

    • January 13, 2016
    • NHK

    「代表的日本人」で描かれる、偉大な改革を成し遂げた米沢藩主・上杉鷹山と農民聖者・二宮尊徳。彼らの生き方から、試練を好機に変えていく「誠意」の大事さを学んでいく。 「代表的日本人」には、試練を好機ととらえることで、偉大な改革を成し遂げた日本人が描かれている。米沢藩主・上杉鷹山と農民聖者・二宮尊徳だ。彼らはどんなすさんだ民の心にも誠意をもって向き合い、道徳的な力を引き出そうとした。その結果、途方もない公共事業を次々と成し遂げていった。第二回は、上杉鷹山と二宮尊徳の生き方を通して、試練を好機に変えていく「誠意」の大事さを学んでいく。

  • S01E214 内村鑑三 代表的日本人 第3回「考えることと信ずること」

    • January 20, 2016
    • NHK

    「考えること」「信じること」というそれぞれの方法で生涯信念を貫き通した中江藤樹と日蓮。いかなる権威・権力にもたじろがない「ゆるぎない座標軸」の大切さを学ぶ。 「考えること」「信じること」というそれぞれの方法でゆるぎない信念を貫き通した儒学者・中江藤樹と仏教者・日蓮。中江藤樹は「道は永遠から生ず」との信念を生涯つらぬいた。一方、日蓮は「法華経」を生涯の座標軸に据え、いかなる権力の脅しにも屈せず、死罪、流罪をも精神の力ではねのけた。第三回は、中江藤樹と日蓮の生き方から真摯に考えぬき真摯に信じぬいたからこそ得られる「ゆるぎない座標軸」の大切さを学んでいく。

  • S01E215 内村鑑三 代表的日本人 第4回「後世に何を遺すべきか」

    • January 27, 2016
    • NHK

    「代表的日本人」は講演「後世への最大遺物」と通じており一緒に読み解くとその本質がわかる。「人がどう生きたか」こそが魂のリレーとして後世に伝わっていくというのだ。 「人がどう生きたか」こそが人から人へと伝えられるものであり、それが魂のリレーとなっていく…「代表的日本人」は、講演「後世への最大遺物」と通じあっており、一緒に読み解いていくとその本質がわかっていく。内村にとって生きるとは「後世」に生まれる未知の他者が歩く道を準備することだった。逆に私たちは、何を受け継ごうかと考えて世界を見るとき、はじめて自身に準備されている「遺物」の豊かさに気づくことができる。

  • S01E216 アドラー“人生の意味の心理学”<全4回> 第1回「人生を変える“逆転の発想”」

    • February 3, 2016
    • NHK

    第1回は、アドラー心理学の基本概念を学ぶことで、私たちの常識的な見方をひっくり返し、人生や幸福についての考え方をシンプルに転換する。 客観的な世界などなく全て色眼鏡を通してしかみることはできないという「認知論」。トラウマや過去に支配されているという「原因論」は誤りで、人間は目的を変え過去を意味づけ直すことで人生を変えることができるという「目的論」。「性格」を柔軟なものと捉え、いつでも選び直せると考える「ライフスタイル論」。アドラーの思想はいつでも「この瞬間」から人生を変えることができるというポジティブな人間観に貫かれている。

  • S01E217 アドラー“人生の意味の心理学” 第2回「自分を苦しめているものの正体」

    • February 10, 2016
    • NHK

    アドラーは私たちを苦しめる劣等感を「客観的な事実」ではなく、他者との比較から生じる「主観的な解釈」だととられることで、成長のバネにしていくことを提唱する。 私たちを悩ます「自分で自分を好きになれない」という劣等感。アドラーは、その状況が、「自分で自分を好きにならないよう」決心している結果だと分析する。その上で、劣等感を「客観的な事実」ではなく、他者との比較から生じる「主観的な解釈」だととらえて、その解釈自体を転換し、むしろ自分自身の成長のバネにしていくことを提唱するのだ。

  • S01E218 アドラー“人生の意味の心理学” 第3回「対人関係を転換する」

    • February 17, 2016
    • NHK

    アドラーは「他者からの承認を求める欲求を否定せよ」と説く。他者の期待を満たすためだけに生きてしまったら、本当の自分を捨てて他者の人生を生きることになるからだ。 私たちは他者に認められたいという「承認欲求」を常にもっている。しかし、アドラーは「他者から承認を求めることを否定せよ」と説く。他者の期待を満たすために生きてしまったら、本当の自分を捨てて他者の人生を生きることになるからだ。「承認欲求」から解放される要はアドラーが提唱する「課題の分離」。それができたとき、対人関係は驚くほどシンプルになり、無駄な競争から解放され、各人が対等な関係を築けるという。

  • S01E219 アドラー“人生の意味の心理学” 第4回「“自分”と“他者”を勇気づける」

    • February 24, 2016
    • NHK

    アドラーがゴールと考えた幸福は「共同体感覚」という概念に象徴される。「共同体感覚」は他者を仲間と見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられ感じられることだ。 アドラーがゴールと考えた幸福とは何か? それは「共同体感覚」という概念に象徴される。「共同体感覚」は、他者を仲間と見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられること。そのためには「自己への執着」を「他者への関心」に切り替える必要があるという。その条件としてアドラーが挙げるのは「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」。それを実現するためにアドラーは、自己と他者を常に勇気づけていくよう呼びかける。

  • S01E220 司馬遼太郎スペシャル<全4回> 第1回「“戦国”から読み解く変革力」

    • March 2, 2016
    • NHK

    「国盗り物語」では、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康という傑出した才能が活躍する。その姿から司馬の「日本人観」や時代を動かす「変革力」を読み解いていく。 小説「国盗り物語」では、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康という傑出した才能が活躍する。全ての人間を機能として冷徹に利用した合理主義者・信長。その人間くささが「人を動かす力」になった秀吉。こうかつにその権力を制度化した家康。彼らの生き様から司馬の「日本人観」がみえてくる。第一回は、司馬の人となりを探るとともに、戦国の英雄たちの姿から、司馬の「日本人観」や時代を動かす「変革力」を読み解いていく。

  • S01E221 司馬遼太郎スペシャル 第2回「“幕末”に学ぶリーダーの条件」

    • March 9, 2016
    • NHK

    村の医師から始まり、時代から魅入られたように官軍の総司令官、ついには明治政府の兵部大輔にまでのぼりつめた大村益次郎の生き方から理想のリーダーの在り方を読み解く。 蘭(らん)学にとりつかれやがて村の医師となる村田蔵六、後の大村益次郎は、桂小五郎に見いだされ長州藩の軍事部門を任されて数々の戦果をあげる。その後、時代から魅入られたように官軍の総司令官、そしてついには明治政府の兵部大輔にまでのぼりつめた。大村の天才的なリーダーシップの源は「徹底的な合理主義」と「自分を勘定にいれない客観性」にある。第二回は、大村の生き方から理想のリーダーの在り方を読み解いていく。

  • S01E222 司馬遼太郎スペシャル 第3回「“明治”という名の理想」

    • March 16, 2016
    • NHK

    短期間のうちに国民国家の土台を築いた世界にも稀な革命「明治維新」。そこに生まれた「明治国家」は、江戸260年の精神遺産だったという司馬の歴史観を読み解く。 短期間のうちに国民国家の土台を築いた世界にも稀(まれ)な革命「明治維新」。これほどの偉業が成し遂げられたのは、欧米列強のアジア進出に「日本人が共有していた危機意識のおかげ」だった。明治は「格調の高い精神でささえられたリアリズム」の時代で、そこに生まれた「明治国家」は、江戸260年の精神遺産だったという。第三回は、江戸と明治をつなぐ歴史観を読み解き、幕末から明治への新国家建設の理想を浮き彫りにする。

  • S01E223 司馬遼太郎スペシャル 第4回「“鬼胎の時代”の謎」

    • March 23, 2016
    • NHK

    司馬は日本が戦争への道を歩んだ昭和初期を「鬼胎の時代」と名づけ、その正体を見定めようとした。歴史の大きな転換期の在り方を「この国のかたち」から読み解く。 理想の国家建設を目指したはずの日本は、日比谷焼き討ち事件に象徴される肥大化した大衆エネルギーを背景に参謀本部が軍の最高指揮権である「統帥権」の独立という魔法のつえを利用することで、とめどない暴走を始める。それは国家が崩壊にいる破滅への道だった。司馬はこの時代を「鬼胎の時代」と名づけ、その正体を見定めるべく史料と執ような対話を続ける。第四回は歴史の大きな転換期の在り方を「この国のかたち」から読み解く

  • S01E224 歎異抄 第1回「人間の影を見つめて」

    • April 4, 2016
    • NHK

    親鸞は死後に救われるかどうかという利己的な目的ではなく己の罪深さを徹底して見つめぬく中に真の信仰が開かれると考えた。人間の影をみすえた親鸞思想の核心に迫る。 その革新性故に誤解が絶えなかった親鸞の思想。異議をとなえる門弟たちに、親鸞は「念仏が浄土に生まれる種なのか地獄へ落ちる所業なのか私は知らない」と冷徹にいい放つ。そこには、自分の都合で教えの意味をゆがめ、自身の中にある「影」の部分を見つめようとしない人々への嘆きがあった。親鸞は、死後に救われるかどうかといった利己的な目的ではなく、己の罪深さを徹底して見つめぬく中にこそ真の信仰が開かれると考えたのだ。

  • S01E225 歎異抄 第2回「悪人こそが救われる!」

    • April 11, 2016
    • NHK

    「善人なほもつて往生をとぐ。いはんや悪人をや」。そこには「仏の目からみれば全てが悪人なのに、自身は善人だと思っている傲慢さはどうなのか」という親鸞の問いがある。 「歎異抄」の中で最も有名な一節「善人なほもつて往生をとぐ。いはんや悪人をや」。そこには「仏の目からみれば全てが悪人であるのに、自分自身は善人であると思っている傲慢さはどうなのか」という親鸞の問いがある。また一般的な社会通念では決して救われない人々に対して、全く異なるものさしを提示することで社会の底辺に置かれている人々が救われる原理を追求したのだ。「他力」「悪人正機」の深い意味を読み解く。

  • S01E226 歎異抄 第3回「迷いと救いの間(はざま)で」

    • April 18, 2016
    • NHK

    「歎異抄」には、私見によって教えをゆがめる「自己の偽物性」から脱け出し、迷いと救いの間で宙吊りになりながらもそれをあるがままに受け止めていく生き方が示されている 唯円は、常識的な社会通念から親鸞の教えをゆがめ自分の都合のよいように解釈する人々の異義に、一つ一つ反論していく。そこにあるのは、何をするにも自分を軸としてしか行動できない、全てに対して自分というフィルターを通してしか考えられない、かなしい人間の性。「歎異抄」には、そうした「自己の偽物性」から脱け出し、迷いと救いの間で宙づりになりながらも、それをあるがままに受け止めていく生き方が示されている。

  • S01E227 歎異抄 第4回「人間にとって宗教とは何か」

    • April 25, 2016
    • NHK

    親鸞の実存的な覚悟ともいえる「ひとへに、親鸞一人がためなり」という言葉。親鸞の信仰人としての生き様を通して「人間にとって宗教とは何か」を考えていく。 人間がもつ「光」と「闇」の間で苦悩し続けた親鸞を支えていたのが「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに、親鸞一人がためなり」との確信だった。あまりにも有名な親鸞のこの言葉を深く読み解いていくと、我が身一身でこの教えを引き受け、その切実さを生き切ろうという親鸞の実存的な決断がみえてくる。親鸞の信仰人としての生き様を通して、「人間にとって宗教とは何か」を考えていく。

  • S01E228 宮本武蔵“五輪書” 第1回「兵法の道はすべてに通じる」

    • May 2, 2016
    • NHK

    兵法が剣術だけでなく世間のあらゆることに通じると説く「地の巻」。現代に通じるリーダー論や道を極めようとする人がもつべき心得などを「五輪書」に学ぶ。 兵法が剣術だけでなく世間のあらゆることに通じると説く「地の巻」。そこで展開された、大将と士卒を大工の棟りょうと弟子の関係にたとえて説くリーダー論は、一般社会にも適用できる。また、戦場におけるさまざまな武器の長所短所、物事の「拍子」(リズム、機)を知ることの重要性、道を学ぶ者が知るべき9か条の心得など現代の私たちにも通じるような心構えを論じている。「五輪書」から、全てに通じる「兵法の道」の基本を学ぶ

  • S01E229 宮本武蔵“五輪書” 第2回「自己を磨く鍛練の道」

    • May 9, 2016
    • NHK

    入れる器に従って変化し一滴にもなり大海ともなる「水」。そのイメージによって自らの心身を鍛えていく秘けつを説く「水の巻」。「五輪書」から「自己鍛練の方法」を学ぶ。 入れる器に従って変化し、一滴にもなり大海ともなる「水」。そのイメージによって剣術の基礎を説く「水の巻」。隙のない自然体で、どんな状況下でも、緊張することなく心を静かにゆるがせ一瞬も滞らせず、状況全体と細部を「観・見」二つの目で偏りなくみる。まさに「水」にならって、身体と心を日常から鍛え上げていく方法を武蔵は克明に記述している。第二回は「自己鍛練の方法」「専門の道を極める方法」を学んでいく。

  • S01E230 宮本武蔵“五輪書” 第3回「状況を見きわめ、活路を開け!」

    • May 16, 2016
    • NHK

    最初は小さな火でもたちまちのうちに大きく燃え広がる「火」。一個人の勝負の極意が大勢の合戦にも通じると説いた「火の巻」から、現代にも通じる勝利の方程式を読み解く。 最初は小さな火でもたちまちのうちに大きく燃え広がる「火」。そのイメージによって、一個人の剣術勝負の極意が、大勢の合戦の場面にもそのまま通じることを解き明かした「火の巻」。敵をよく知った上で、敵の構えを動かし敵をゆさぶるための心理戦も駆使して、敵が崩れる一瞬を逃さずに勝つ。現代のビジネスやスポーツ等の分野にも応用できる「勝利の方程式」を「五輪書」から読み解いていく。

  • S01E231 宮本武蔵“五輪書” 第4回「己が道に徹して、自在に生きよ!」

    • May 23, 2016
    • NHK

    真の兵法の追求の仕方と究極の境地を明かした「空の巻」。四巻で兵法の具体的な心得を学んできた者に「空」の概念を示すことによってより深く無限なものがあることを示す。 「風の巻」では、世にある他流派の間違いを徹底的に批判し真の兵法のありようを浮かび上がらせる。そして、真の兵法の追求の仕方と究極の境地を明かした「空の巻」では、地水火風の四巻で兵法の具体的な心得を学んできた者に「空」の概念を示すことによって、より深く無限なものがあることを教える。「より大きなところから自分自身を見つめる視点」や「偏りや歪みから解き放たれた自在な境地」がどんなものかを学んでいく。

  • S01E232 ルソー“エミール” 第1回「自然は教育の原点である」

    • June 6, 2016
    • NHK

    「自分のため」と「公共のため」という相矛盾する二つの軸を両立する「自由な主体」をどう実現するか? 孤児エミールを理想的な人間に育てる究極の教育論の基本に迫る。 自然への称揚、人為への批判をベースにして教育論を展開した書「エミール」。人間の成長や発達をもたらすものとして「自然」「人間」「事物」の三つを挙げ、それらを調和させることで、架空の孤児エミールを理想的な人間に育てようとする。ではそれはどんな人間なのか?「自分のため」と「公共のため」という相矛盾する二つの軸を両立する「自由な主体」を育てることこそ、人間の真の幸福につながるというルソーの根本思想に迫る。

  • S01E233 ルソー“エミール” 第2回「“好奇心”と“有用性”が人を育てる」

    • June 13, 2016
    • NHK

    ルソーが唱える「好奇心」「有用性」に基づく教育。それによってエミールは、生々しい事件に直面しながら自らの体験の中で生きた知識をつかみとり、自律した主体へと育つ。 ルソーは子どもの発達段階を無視した従来の教育方法を批判。代わりに行うのは徹底して「好奇心」「有用性」に基づいた教育だ。主人公エミールは生々しい事件に直面しながら、自らの体験の中で「初歩の道徳感覚」や「天文学や地理学の有用性」を学んでいく。それはお仕着せの知識ではなく、エミールが自らつかみとっていく生きた知識だ。他者に惑わされず自分の力で判断し行動していく自律した主体になるために必要なものを考える。

  • S01E234 ルソー“エミール” 第3回「“あわれみ”を育て社会の基盤に!」

    • June 20, 2016
    • NHK

    社会の基盤ともいえる「あわれみ」の感情。人間が元々もつ「自己愛」を「あわれみ」の感情へと上手に育て拡大することで「公共性」をもつ存在にエミールは成長していく。 思春期を迎えたエミールはいよいよ社会の中に入っていく。その際に最も大事な要素は「あわれみ」の感情。人間がもともともっている「自己愛」を「あわれみ」の感情へと上手に育て拡大することで貧しい人々への共感や不平等な社会への憤りをもつ「公共性」を備えた存在へとエミールは成長していく。その媒介となるのが「歴史教育」と「宗教教育」。私たちの社会の基盤ともいえる「あわれみ」の感情を育てることの重要性を学んでいく

  • S01E235 ルソー“エミール” 第4回「理想社会のプログラム」

    • June 27, 2016
    • NHK

    「エミール」と「社会契約論」をつないで読み解くことで、私たちが目指すべき自由で自律した理想社会がどんなものか、それを実現するには何が必要かを考える。 恋愛や外国旅行といった体験を通じて、エミールは「理想の社会とは何か」という根源的なテーマに直面する。そこには、もう一つの名著「社会契約論」のテーマでもある「自由で自律した社会」の設計プランも浮かび上がってくる。「エミール」と「社会契約論」をつないで読み解くことで、私たちが目指すべき理想の社会がどんなものか、それを実現するには何が必要かという、現代に通じるテーマを考える。

  • S01E236 坂口安吾“堕落論” 第1回「生きよ堕(お)ちよ」

    • July 4, 2016
    • NHK

    戦前戦中の価値観の一切を否定し、そこから解放されるべきことを説く「堕落論」。坂口安吾が堕落という言葉で提示した、自力で道を切り開いていく生き方を学んでいく。 戦前戦中の価値観の一切を否定し、そこから解放されるべきことを説く「堕落論」。坂口安吾はマイナスのイメージで使われてきた「堕落」という言葉をプラスに転化し、なりふりかまわず生き抜こうとする生のエネルギーを人間の本来の在り方として肯定する。安吾は古い価値観から解放される処方箋を提示したのだ。第一回は、「堕落」という言葉に込められた、既存の価値観にしばられず自力で道を切り開いていく生き方を学んでいく。

  • S01E237 坂口安吾“堕落論” 第2回「一人曠(こう)野を行け」

    • July 11, 2016
    • NHK

    堕落は決して生やさしい道ではない。それは徹底して孤独で血みどろの生き方なのだ。堕落の深い意味を読み解き、真の人間再生の道とはどんなものかを考える。 「堕落のもつ性格の一つには孤独という偉大なる人間の実相が厳として存している」。堕落は決して生やさしい道ではない。それは徹底して孤独で血みどろの生き方なのだ。この立場に立つならば、社会制度の改革や政治によって、人間同士の対立や人類の不幸を解決できるという楽観論は全て退けられる。第二回は、「孤独」という言葉で「堕落」の意味を深化させた安吾の思想をひも解き、真の人間再生の道とはどんなものかを考える。

  • S01E238 坂口安吾“堕落論” 第3回「法隆寺よりは停車場を」

    • July 18, 2016
    • NHK

    タウトが賛美する伝統美を観念の遊戯と批判し、今現在を生きるために欠かせない実用的なものこそ第一で、その中にこそ真の美は生まれると説く坂口安吾の文化論を読み解く。 坂口安吾は「堕落論」の文化論版ともいえる「日本文化私観」でブルーノ・タウトの日本文化論を徹底的に批判する。タウトが伝統美の象徴として持ち出す桂離宮などは私たちの生活から遊離したものであり観念の遊戯にすぎない。今現在を生きているために欠かせない実用的なものこそ第一であり、その中にこそ真の美は生まれる、と安吾は説く。何の権威にも頼らない、暮らしに根ざした文化や美の復権を訴えるのだ。

  • S01E239 坂口安吾“堕落論” 第4回「真実の人間へ」

    • July 25, 2016
    • NHK

    坂口安吾作品を愛読する作家・町田康さんは「白痴」という小説作品に安吾の精神を読み解くヒントがあるという。安吾の思想が私たち現代人に残したものは何かを探っていく。 体制秩序の枠をはずれ自力で道を切り開いていく生き方を、身をもって実践した坂口安吾。「無頼の精神」で時代に切り込だその思想はその後も脈々と受け継がれ、今も人々の心を揺り動かし続けている。大久保喬樹さんと、安吾作品を愛読する作家・町田康さんは「白痴」という小説作品に安吾の精神や後世に与えた影響を読み解くヒントがあるという。第四回は、町田康さんをゲストに招き安吾が現代人に残したものとは何かを探っていく。

  • S01E240 カント“永遠平和のために” 第1回「戦争の原因は排除できるか」

    • August 1, 2016
    • NHK

    世界の恒久平和はどうしたら実現できるか? カントは、その課題を解決するために、自らの哲学的思考を駆使し、「常備軍の廃止」「内政干渉の禁止」等の具体的提言を行う。 頻発する国家間の紛争によって、平和秩序が大きくゆらいでいた18世紀ヨーロッパ。世界の恒久平和はどうやったら実現できるか?カントは、その課題を解決するために、自らの哲学的思考を駆使して「永遠平和のために」を執筆した。「常備軍の廃止」「軍事国債の禁止」「内政干渉の禁止」といったアイデアを提言した平和論は単なる理想論だと批判されてきたが、深く読み解くと、人間本性への鋭い洞察が込められているという。

  • S01E241 カント“永遠平和のために” 第2回「“世界国家”か“平和連合”か」

    • August 8, 2016
    • NHK

    平和維持のシステムとして「平和のための連合」を構想したカント。戦争のない理想状態とされてきた「世界国家」を断念する消極的な提案だが、その裏には鋭い洞察があった。 平和維持のシステムとして「平和のための連合」を構想したカント。それは、戦争のない理想状態とされてきた「世界国家」を断念する消極的ともいえる提案だ。なぜ「世界国家」という積極的な提案ではだめなのか?そこには人間や国家についての鋭い洞察があった。世界国家への統合は、異なる文化、価値観、言語という個別の事情を超えて、特定の強者の文化や価値観が一方的に物事を決定するという大きな抑圧を生みかねないという。

  • S01E242 カント“永遠平和のために” 第3回「人間の悪が平和の条件である」

    • August 15, 2016
    • NHK

    「人間の本性は邪悪である」ことを前提としたカントの平和論が、そうした「悪」や「自然の傾向性」を生かしながら、どうやって戦争を抑止するのかを明らかにしていく。 カントは、平和論を構築する上で「人間の本性は邪悪である」という前提に立つ。理想主義者ととらえられてきたカントのイメージを覆す論だが、もともと人間に備わった悪の傾向性をうまく利用して、法や制度、経済システムを設計していくことが肝要だという。「人間の本性は邪悪である」ことを前提としたカントの平和論が、「自然の傾向性」を生かしながら、どうやってその「悪」を抑止するのかを明らかにしていく。

  • S01E243 カント“永遠平和のために” 第4回「カントが目指したもの」

    • August 22, 2016
    • NHK

    道徳を普遍的な法則と捉え直すカントは、たとえ自分の欲望を最優先する悪魔が国家の成員であったとしても、ルールに従わざるを得なくなるメカニズムを構築できるという。 「道徳」は良心の問題ではなく「普遍的なルールとしてあらゆる人の利益や都合を保証するために活用されるものだ」と説き、良心に基づく既存の道徳観を覆すカント。この前提に立てば、たとえ自分の欲望を最優先する悪魔が国家の成員であったとしても、ルールに従わざるを得なくなるメカニズムを構築できるという。カントが確立した「倫理学」も交えながら、人間が戦争を避けるための社会システムや法・道徳の在り方を探求する。

  • S01E244 石牟礼道子“苦海浄土” 第1回「小さきものに宿る魂の言葉」

    • September 5, 2016
    • NHK

    「水俣病」の真実の姿を世に知らしめようと書かれた名著「苦海浄土」。想像を絶する惨禍に見舞われたとき、人はどう再生し、生きぬいていくことができるかを学んでいく。 「水俣病」の真実の姿を世に知らしめようと書かれた名著「苦海浄土」。石牟礼道子がとりわけこだわったのは、言葉すら発することができなくなった患者たちの「声なき声」だった。そうやって石牟礼が記した言葉からは、苦しみや悲しみの底にあってもなお朽ちることのない何かがあることを私たちに教えてくれる。第一回は、想像を絶する惨禍に見舞われたとき、人はどう再生し、生きぬいていくことができるかを学んでいく。

  • S01E245 石牟礼道子“苦海浄土” 第2回「近代の闇、彼方の光源」

    • September 12, 2016
    • NHK

    近代にひそむ「化け物」のような人格。近代が解放してしまった人間の強欲、自然をことごとく破壊しても何かを成し遂げようとする「近代の闇」と向き合うすべを学ぶ。 石牟礼は「私の責任じゃないんです」といった責任回避の論理を徹底して否定する。そんな曖昧な捉え方をしていては、今起こっている出来事の正体を見過ごしてしまう。近代には、我々が普通に考えている人格とは違う、「化け物」のような人格があることを見極めることが大事だと石牟礼はいう。第二回は、近代が解放してしまった人間の強欲、自然をことごとく破壊しても何かを成し遂げようとする「近代の闇」と向き合うすべを学ぶ。

  • S01E246 石牟礼道子“苦海浄土” 第3回「いのちと歴史」

    • September 19, 2016
    • NHK

    人間は自分をはるかに超えた大きな生命の一部だという厳粛な事実。歴史に立ち戻ることで得られる豊かな叡知(えいち)。「いのち」と「歴史」から、今を生きる指針を学ぶ。 人間は自分をはるかに超えた大きな生命の一部だという厳粛な事実。こうした生命観を回復しなければ人は再び同じ過ちを犯してしまうと説く「苦海浄土」。その一方で石牟礼道子は、大きな問題に直面したとき「足尾鉱毒事件」という公害問題の原点というもいうべき歴史に立ち帰っていく。そのときの情報や知識だけではなく、歴史の叡知(えいち)に立ち戻ってもう一度問題を考え直してみるのだ。いのちと歴史から今を生きる叡知を学ぶ

  • S01E247 石牟礼道子“苦海浄土” 第4回「終わりなき問い」

    • September 26, 2016
    • NHK

    「苦海浄土」と今を生きる水俣病患者たちの声をつないで読み解くことで、「水俣病」という想像を絶する出来事が、私たち現代人に何を遺したかを考えていく。 水俣病患者であるにもかかわらず「チッソは私だった」と自分自身の内なる罪をも同時に告発しようとする緒方正人さん。言語を絶する苦しみにさらされながらも「私たちは許すことにした」と語る杉本栄子さん。「絶対に許さないから握手をするんだ」といって原因企業であるチッソと対話をしようとする患者たち。そこには憎悪の連鎖を断ち切ろうとする水俣のえいちがある。「苦海浄土」から私たちが受け継ぐべきものを深く考えていく。

  • S01E248 アドラー“人生の意味の心理学” 第1回「人生を変える“逆転の発想”」

    • October 3, 2016
    • NHK

    第一回は、アドラー心理学の基本概念を学ぶことで、私たちの常識的な見方をひっくり返し、人生や幸福についての考え方をシンプルに転換する。 客観的な世界などなく全て色眼鏡を通してしかみることはできないという「認知論」。トラウマや過去に支配されているという「原因論」は誤りで、人間は目的を変え過去を意味づけ直すことで人生を変えることができるという「目的論」。「性格」を柔軟なものと捉え、いつでも選び直せると考える「ライフスタイル論」。アドラーの思想はいつでも「この瞬間」から人生を変えることができるというポジティブな人間観に貫かれている。

  • S01E249 道元“正法眼蔵” 第1回「“身心脱落”とは何か」

    • November 7, 2016
    • NHK

    自我意識を捨て、あらゆるこだわりをなくして、真理の世界に溶け込んでいく境地「身心脱落」。何ものにも惑わされない悠々とした生き方を道元「正法眼蔵」から学ぶ。 自我意識を捨て、あらゆるこだわりをなくして、真理の世界に溶け込んでいく境地「身心脱落」。それは、病や苦悩、死すらもありのままに受け容(い)れる境地だと道元はいう。「身心脱落」すれば、何ものにも惑わされない悠々とした生き方が自ずと見えてくる。第一回は、道元の生涯をたどりつつ、「現成公案」の巻を中心に「正法眼蔵」を読み解き、「身心脱落」して世界をありのままに受け容れる生き方を学ぶ。

  • S01E250 道元“正法眼蔵” 第2回「迷いと悟りは一体である」

    • November 14, 2016
    • NHK

    「悟り」も「迷い」もコインの裏表のようなもので実は一体だと説く道元。それに気づきさえすれば、悟りを求めてあくせくせず、しっかり迷えばよいという道元の思想に迫る。 我々は実は最初から悟りの世界の中にいる。それなのに迷いの中にいると思っている。いわば「悟り」も「迷い」もコインの裏表のようなもので実は一体なのだ。そのことに気づきさえすれば、悟りを求めてあくせくせず、迷ったら迷ったでよく、しっかり迷えばよい。その中にこそ真の悟りがあると道元はいう。第二回は、「生死」「唯仏与仏」の巻を中心に、私たち現代人にも通じる、迷いや不安の捉え方を学んでいく。

  • S01E251 道元“正法眼蔵” 第3回「全宇宙が仏性である」

    • November 21, 2016
    • NHK

    全宇宙こそ「仏性」であるという道元。この見方に立てば私たちは仏性の中で呼吸し、仏性の中で生活していることになる。全ての存在が仏性であるという壮大な世界観に迫る。 「一切が衆生なり、悉有が仏性なり」。衆生が悉有(全宇宙・全存在)であり、その全宇宙こそ「仏性」であると道元はいう。この見方に立てば、私たちは仏性の中で呼吸し、仏性の中で生活していることになる。それは、仏こそ万物を生かしている命であり、山川草木全てがそのまま仏の命のあらわれであるという壮大な世界観である。第三回は、「仏性」の巻を中心に、あるがままの姿に仏をみる道元思想の神髄に迫る。

  • S01E252 道元“正法眼蔵” 第4回「すべての行為が修行である」

    • November 28, 2016
    • NHK

    修行そのもの中に悟りがあり、悟りの中に修行があるという道元。生活の一挙手一投足のただ中に悟りをみる道元の言葉から、人として生きるべき指針を学んでいく。 普通は悟りを得るための手段として修行をすると考えられているが、道元はそうは考えない。修行そのものの中に悟りがあり、悟りの中に修行があるとみる。この立場に立てば、行(歩き)・住(止まり)・坐(坐り)・臥(臥す)といった生活の一挙手一投足が修行となり、そのただ中にこそ悟りがあるという。第四回は「洗浄」「諸悪莫作」等の巻を通して、人のふるまいを何よりも重んじた道元の言葉から、人として生きるべき指針を学ぶ

  • S01E253 レヴィ・ストロース“野生の思考” 第1回「“構造主義”の誕生」

    • December 5, 2016
    • NHK

    近代科学からすると全く非合理とみられていた未開社会の思考を、レヴィ=ストロースは「野生の思考」と呼び、人類にとって普遍的な思考として復権させようとする。 長い間未熟で野蛮なものとして貶(おとし)められてきた「未開社会の思考」。近代科学からすると全く非合理とみられていたこの思考をレヴィ=ストロースは、「野生の思考」と呼び復権させようとする。「野生の思考」は、非合理などではなく、科学的な思考よりも根源にある人類に普遍的な思考であり、近代科学のほうがむしろ特殊なものだと彼は考える。それを明らかにする方法が「構造主義」というこれまでにない全く新しい方法だ。

  • S01E254 レヴィ・ストロース“野生の思考” 第2回「野生の知財と“ブリコラージュ”」

    • December 12, 2016
    • NHK

    ありあわせの素材を使いさまざまなレベルでの細かい差異を利用し本来とは別の目的や用途のために流用する思考法「ブリコラージュ」。近代人が失った豊かな思考の可能性とは ありあわせの素材を使い、さまざまなレベルでの細かい差異を利用して本来とは別の目的や用途のために流用する思考方法「ブリコラージュ」。未開人の思考法には近代化の中で私たちが見失ってしまった、理性と感性を切り離さない豊かな思考の可能性が潜んでいる。動植物など経験的な素材を使って精緻な知の体系を築き上げる「神話」はその代表例だ。第2回は近代知と対比し「ブリコラージュ」と呼ばれる思考法の豊かな可能性に迫る。

  • S01E255 レヴィ・ストロース“野生の思考” 第3回「神話の論理へ」

    • December 19, 2016
    • NHK

    自然と文化のインターフェイス上に働く根源的な知性作用こそが「神話」だというレヴィ=ストロース。「神話的な思考」は基層で常に働き続け現代人をもつき動かしている。 自然と文化のインターフェイス上に働く根源的な知性作用こそが「神話」だというレヴィ=ストロース。例えば「サンタクロース」という伝承は、さまざまな外部のインパクトを受けながら大きく意味を変容させることで、人類が直面した巨大な変化を受け止めるインターフェイスとして働いてきた。こうした「神話的な思考」は基層で常に働き続け現代人をもつき動かしている。自然と文化の対立を結び合わせる知恵「神話」の知恵に迫る

  • S01E256 レヴィ・ストロース“野生の思考” 第4回「“野生の思考”は日本に生きている」

    • December 26, 2016
    • NHK

    何度も日本を訪れたレヴィ=ストロースは「野生の思考は日本にこそ生きている」と考えた。日本文化の中に今後の社会を変えていく大きな可能性を見つけることができるという レヴィ=ストロースは晩年、何度も日本を訪れた。文楽を観劇し、職人たちの仕事ぶりを見学するなど、精力的に日本各地を巡った彼は、その豊かな文化、世界観に驚き、「野生の思考は、日本にこそ生きている」と考えた。各地で行われた講演録を読み解くと、日本文化の中に、今後の社会を変えていく大きな可能性を見つけることができる。第4回は、彼が提唱した「野生の思考」が、どのような形で日本の中に生きているのかに迫る。

  • S01E257 中原中也詩集 第1回「“詩人”の誕生」

    • January 9, 2017
    • NHK

    人はどんなときに詩を書き、読みたいと思うのか? 中原中也が自らの言葉を見つけ、詩人になっていくまでの人生を見つめていくと、そうした疑問がするするとほどけてくる。 ふだん「詩」に接することが少ない私たちでも、ときに「詩のことば」が胸を貫くことがある。では、人はなぜ詩を書くのか? そして、人はどんなときに詩を読みたいと思うのか? 中原中也が自らの言葉を見つけ、詩人になっていくまでの人生を見つめていくと、そうした疑問がするするとほどけてくる。第一回は、「汚れつちまつた悲しみに…」「春の日の夕暮れ」といった代表作を読み解き、一人の詩人が誕生するまでを見つめる。

  • S01E258 中原中也詩集 第2回「“愛”と“喪失”のしらべ」

    • January 16, 2017
    • NHK

    長谷川泰子との恋、小林秀雄との三角関係、そして別離。その苦悩が中也を詩人にした。「愛」や「喪失」が人間に何をもたらすのか。その苦悩からどんな言葉が生まれるのか。 長谷川泰子との恋、小林秀雄との三角関係、そして別離。その苦悩が中也を詩人にしたともいわれている。切ないまでの恋心、そして別離の哀しさ。あふれ出すような激烈な思いが「ことば」として結晶していくとき、そこに「詩」が生まれるのだ。第二回は、「盲目の秋」「朝の歌」といった中也の詩を通して、「愛」や「喪失」が人間に何をもたらすのかや、そうした苦悩にぶつかったときに生まれる言葉の奥深さを明らかにしていく。

  • S01E259 中原中也詩集 第3回「“悲しみ”と“さみしさ”をつむぐ」

    • January 23, 2017
    • NHK

    「悲しみ」や「さみしさ」という感情が幾重にも織りつむがれた複雑なものであることをあらためて感じさせてくれる。そして繰り返されるリフレインはそれらを鎮めてくれる。 中也の代表作「生い立ちの歌」「月夜の浜辺」を読み解いていくと、「悲しみ」や「さみしさ」という感情が幾重にも織りつむがれた複雑なものであることをあらためて感じさせてくれる。そして何度も繰り返されるリフレインは、まるで包み込むようにその「悲しみ」「さみしさ」を鎮めてくれる。中也は、「悲しみ」「さみしさ」をさまざまな言葉でつむいでいくことで、私たちにその感情の奥深さをあらためて教えてくれるのだ。

  • S01E260 中原中也詩集 第4回「“死”を“詩”にする」

    • January 30, 2017
    • NHK

    晩年の中也の詩には「死」がつきまとう。幸福の絶頂にあった中也を襲った息子、文也の死。あまりにも痛切な出来事が中也を変えた。詩は絶望から人を救うことができるのか? 晩年の中也の詩には、「死」がつきまとう。幸福の絶頂にあった中也を襲った息子、文也の死。あまりにも痛切な出来事が中也を変えた。「春日狂騒」といった詩では、まるで中也の存在を「死の影」が食らい尽くしていくように、言葉を深い闇が覆っていく。しかしそんな中でも、必死で「光」を見出そうとする姿もかいまみることができる。第四回は、中也が死とどう向き合ったのか、「詩」は絶望から人を救うことができるのかを考える。

  • S01E261 ガンディー“獄中からの手紙” 第1回「政治と宗教をつなぐもの」

    • February 6, 2017
    • NHK

    「歩く」「食べない」といった日常的行為を通して、人々の中に眠る「内発的な力」を呼びさまそうとしたガンディー。「塩の行進」の意味を「獄中からの手紙」から読み解く。 日常的行為を通して、人々の中に眠る「内発的な力」を呼びさまそうとしたガンディー。その代表的な実践が「塩の行進」だった。わずか数人の行進が数千人もの人々を巻き込むまでのうねりとなったのはなぜか。それは「政治の中に宗教を取り戻す」というガンディーの思想の根幹に関わっている。第一回は、「獄中からの手紙」から「塩の行進」の意味を読み解き、近代人が回避してきた「政治と宗教の本来の関係」を見つめなおしていく。

  • S01E262 ガンディー“獄中からの手紙” 第2回「人間は欲望に打ち勝てるのか?」

    • February 13, 2017
    • NHK

    ガンディーは生まれながらの聖者ではない。さまざまな欲望にまみれ、反省を繰り返しながら自分の思想を練り上げた。私たちにとっても身近な「欲望との向き合い方」を学ぶ。 徹底的な禁欲主義を貫いたとされるガンディー。しかし、ガンディーは生まれながらの聖者ではない。さまざまな欲望にまみれ、人の何倍もの反省を繰り返しながら、ゆっくりと自分の思想を練り上げていった。誰よりも人間の「弱さ」「愚かさ」を知り抜いた人間だからこそ、自分自身の欲望と向き合うさまざまな「実験」を続けたのだ。第二回は「獄中からの手紙」にも描かれたガンディーの生き方を通して「欲望との向き合い方」を学ぶ。

  • S01E263 ガンディー“獄中からの手紙” 第3回「非暴力と赦(ゆる)し」

    • February 20, 2017
    • NHK

    「非暴力」は、単に暴力を否定するだけではない。「怒りや敵意を超えろ」というメッセージが込められている。高次の対話につながる自己変革こそガンディー思想の根幹である 憎悪の反復は、最終的には何も生み出さない。「ゆるし」によってこそ、次の平和に向かって進むことができるという。このようにガンディーの「非暴力」思想は、単に暴力を否定するだけのものではない。「怒りや敵意を超えろ」というメッセージが込められている。ガンディーは敵対する人々に対しても、「祈り」「断食」といった自己変革を伴う運動によって、相手の心を動かし、高次の対話につなげていこうとするのだ。

  • S01E264 ガンディー“獄中からの手紙” 第4回「よいものはカタツムリのように進む」

    • February 27, 2017
    • NHK

    近代が追い求めてきた価値と正反対のものを称揚さするガンディー。自国製品を愛用するスワデーシーなどの運動を通して、彼の根底に流れる宗教観、労働観に迫る。 近代が追い求めてきた価値と正反対のものを称揚さするガンディー。安価な海外製品を買うよりも、手作業で作った自国産品を作り使おうという「スワデーシー」はその代表例だ。それは「隣人に対する義務」「豊かな時間」を取り戻す宗教的な行為でもある。「受動的抵抗」とも呼ばれたその運動の数々は、暴力を伴う前のめりな運動よりもはるかに大きなうねりを巻き起こした。ガンディー思想の根底に流れる宗教観、労働観に迫る。

  • S01E265 宮沢賢治スペシャル 第1回「自然からもらってきた物語」

    • March 6, 2017
    • NHK

    第1回は、「注文の多い料理店」におさめられた童話などを中心に、賢治と自然との関わり方を読み解き、自然を奥深く感じ取って作品にしていく豊かな感受性を学んでいく。 首に手帳とペンをぶら下げて夜の山を歩きながら言葉を連ねていったという賢治。彼は自然から何らかのエネルギーをもらい、まるで自然と一体化するように作品を作っていった。賢治の童話作品を読んでいくと、自然界こそ彼の創作の源だったことがわかる。第1回は、「注文の多い料理店」におさめられた童話などを中心に、賢治と自然との関わり方を読み解き、自然を奥深く感じ取って作品にしていく豊かな感受性を学んでいく。

  • S01E266 宮沢賢治スペシャル 第2回「永遠の中に刻まれた悲しみ」

    • March 13, 2017
    • NHK

    自らの詩のことを「心象スケッチ」と呼んだ宮沢賢治。心象とは、宇宙や無限につながるものであり、個人的なものを越えて普遍的なものを描くことが「心象スケッチ」だという 自らの詩のことを「心象スケッチ」と呼んだ賢治。心象とは、宇宙や無限につながるものであり、人間の心象を描くというのは、個人的なものを越えて普遍的なものをスケッチすることだと賢治はいいたかったのだという。妹トシの死への悲しみを刻印した一篇「永訣の朝」も、単に個人の悲しみだけではなく、人間の「生と死」という絶対的な真実をこそ記そうとしたのである。第2回は、賢治が向き合った「生と死」の問題に迫っていく。

  • S01E267 宮沢賢治スペシャル 第3回「理想と現実のはざまで」

    • March 20, 2017
    • NHK

    賢治ほど、現実と理想のギャップで悩んだ人間は少ない。作品に描かれた賢治の葛藤を克明に読み解きながら、私たちが理想と現実にどう向き合っていけばよいかを考える。 賢治ほど、現実と理想のギャップで悩んだ人間は少ない。父親に反発しながらも経済的に頼らざるを得ない負い目。農民の幸せを願って創設した「羅須地人協会」が誰からも理解されずに挫折したこと。病弱のために仕事を全うできなかったこと。その苦悩と、必死の願い、祈りの全てが込められた作品が「雨ニモマケズ」であり、理想と現実のせめぎあいを描いたのが「なめとこ山の熊」などの童話だった。

  • S01E268 宮沢賢治スペシャル 第4回「“ほんとう”を問い続けて」

    • March 27, 2017
    • NHK

    賢治が繰り返し使った「ほんとう」という言葉。「銀河鉄道の夜」や「学者アラムハラドの見た着物」には、そのテーマが貫かれている。「ほんとう」が意味するものとは? 賢治が繰り返し使った「ほんとう」という言葉。古今東西の哲学者や文学者たちが求めてやまない真理を、賢治は「ほんとう」という言葉に込め真剣に考え追求した。「銀河鉄道の夜」や「学者アラムハラドの見た着物」には、そのテーマが貫かれている。にもかかわらず死ぬ間際に自分の人生を「迷いの跡」だと言い放つ賢治。これは何を意味するのか?「ほんとう」に行き着くための「迷い」自体が、彼の貫いた文学の道だという。

  • S01E269 三木清“人生論ノート” 第1回「真の幸福とは何か」

    • April 3, 2017
    • NHK

    幸福を量的なものではなく質的で人格的なものであるととらえなおす三木清の思想には、経済的な豊かさや社会的な成功のみが幸福なのではないという幸福観がこめられている。 三木清は「幸福」という概念を考え抜いた。幸福を量的なものではなく、質的で人格的なものであるととらえなおす三木の洞察からは、経済的な豊かさや社会的な成功のみが幸福なのではないというメッセージが伝わってくる。そして、真の幸福をつかんだときに、人間は全くぶれることがなくなるということもわかってくる。第一回は、三木清がとらえなおそうとした「幸福」の深い意味に迫っていく。

  • S01E270 三木清“人生論ノート” 第2回「自分を苦しめるもの」

    • April 10, 2017
    • NHK

    「怒」「虚栄心」「嫉妬心」。誰もが陥ってしまうマイナスの感情は、暴走を始めると自分自身を滅ぼしてしまうほどに大きくなってしまう。そのつきあい方の極意とは? 「怒」「虚栄心」「嫉妬心」。誰もがふとした瞬間に陥ってしまうマイナスの感情は、暴走を始めると、自分自身を滅ぼしてしまうほどに大きくなってしまう。これらの感情をうまくコントロールするにはどうしたらよいのか? 三木が提示する方法は「それぞれが何かを創造し自信をもつこと」。たとえば「虚栄心」には「自分をより以上に高めたい」といった肯定的な面も潜んでいる。マイナスの感情と上手につきあう方法を学んでいく。

  • S01E271 三木清“人生論ノート” 第3回「“孤独”や“虚無”と向き合う」

    • April 17, 2017
    • NHK

    人間の条件の一つを「虚無」だと喝破する三木清。だからこそ我々はさまざまな形で人生を形成できるのだという。また「孤独」こそ内面の独立を守る術と説く三木の哲学に迫る 三木清は、哲学者ならではの視点から人間が置かれた条件を厳しく見定める。そして人間の条件の一つを「虚無」だと喝破する。だがこれは厭世主義ではない。人間の条件が「虚無」だからこそ我々はさまざまな形で人生を形成できるというのだ。また、一人だから孤独なのではなく、周囲に大勢の人がいるからこそ「孤独」が生まれると説く。そして、その「孤独」こそが「内面の独立」を守る術だという。

  • S01E272 三木清“人生論ノート” 第4回「死を見つめて生きる」

    • April 24, 2017
    • NHK

    死は経験できないものである以上、我々は死について何も知らない。死が恐れるべきものなのか、そうではないのかすら我々は知ることができないという三木清の死生観に迫る。 「人生論ノート」の冒頭で、三木は「近頃死が恐ろしくなくなった」と語る。人間誰もが恐れる「死」がなぜ恐ろしくないのか? 死は経験することができないものである以上、我々は死について何も知らない。つまり、死への恐怖とは、知らないことについての恐怖であり、死が恐れるべきものなのか、そうではないのかすら我々は知ることができないのだ。そうとらえなおしたとき、「死」のもつ全く新しい意味が立ち現れてくる。

  • S01E273 陳寿“三国志” 第1回「動乱の時代を生き抜く知恵」

    • May 1, 2017
    • NHK

    第1回は、「三国志」の基本構造を学びながら、動乱の時代を生き抜く知恵を「三国志」幕開けの時代に活躍した董卓、袁紹、袁術の姿から読み解く。 人間と組織が興亡を繰り返す後漢末の時代。少しでも読みを誤ると没落の運命が待っている。「名士」を重んじたが欲望におぼれ見放されていく董卓。「名士」を軽んじ自ら帝位につこうとして身を滅ぼす袁術。逆に「名士」の意見を聞きすぎて優柔不断で決断できなかった袁紹。いずれも地域社会に根をおろす「名士」と呼ばれる知識人たちとの距離のとり方を誤ったが故に没落していく。動乱の時代を生き抜く知恵を「三国志」に学ぶ。

  • S01E274 陳寿“三国志” 第2回「曹操 乱世のリーダーの条件」

    • May 8, 2017
    • NHK

    「乱世の奸雄」と評され、とかく悪役のイメージがある曹操。しかし彼の革新的な政策は、後の世にも巨大な影響を与えた。曹操の姿から乱世に生き残るリーダーの条件を探る。 その戦略や政策があまりにも革命的で時代を超越していたと評価される曹操。かつての敵を精鋭部隊に育てる「人材登用術」、兵糧の確保のために流人となった農民を活用する「屯田制」、儒教に対抗して新しい文化を育てる「建安文学」のサロン作りなど、時代に先がけたアイデアは、後の律令体制の基礎ともなっていくのだ。第2回は、曹操が実行したさまざまなアイデアの適否を読み解き、乱世に生き残るリーダーの条件を探る。

  • S01E275 陳寿“三国志” 第3回「孫権 “信”がピンチを救う」

    • May 15, 2017
    • NHK

    「赤壁の戦い」の裏には孫権と周瑜を結ぶ「信」の絆があった。それは呉を大勝利へ導き、曹操の天下統一の野望をくじく。第3回は、孫権の生き方から「信」の大事さを学ぶ。 孫氏一族は、常に漢王朝を崇敬する信義の人々だった。孫権は、初代の孫堅、孫策ら一族が築いてきた信義を基礎に多くの「名士」を味方につける。その代表が周瑜。大勢が曹操への降伏に傾く中、主戦論を唱えた周瑜。孫権が信じた周瑜の意見が反対論を押し切り「赤壁の戦い」が始まる。結果は呉の大勝利。曹操の天下統一の野望をくじくのだ。第3回は、孫権の生き方から「信」の大事さを学んでいく。

  • S01E276 陳寿“三国志” 第4回「劉備の“仁”、諸葛亮の“智”」

    • May 22, 2017
    • NHK

    劉備はときに情に流されてしまう。その弱さを補ったのが軍師・諸葛亮孔明だ。第4回は、劉備の「仁」、孔明の「智」から、組織が生き残る上で欠かせない人間力を読み解く。 劉備はときに情に流されてしまう。その弱さを補ったのが軍師・諸葛亮孔明だ。「三顧の礼」で発言権を確保し、重要な場面では主君を諌(いさ)め、軸をぶらさない。「水魚の交わり」といいながら、劉備とはいい意味での緊張関係を保ち続けたのだ。二人の「仁」と「智」は、ともすると崩れがちな組織のバランスをとる絶妙な働きだった。第4回は、劉備の「仁」、孔明の「智」に組織が生き残る上で欠かせない人間力を読み解いていく。

  • S01E277 維摩経 第1回「仏教思想の一大転換」

    • June 5, 2017
    • NHK

    リベラルな仏教者たちが起こした一大ムーブメント「大乗仏教」。「維摩経」の主人公・維摩居士の教えには、既存の仏教を大きくゆるがす大乗仏教の神髄が込められている。 リベラルな仏教者たちが起こした一大ムーブメント「大乗仏教」。「維摩経」の主人公・維摩居士は、それを体現するような人物。都市に住む一市民で、俗世間の汚れの中にありながらも決してその汚れにそまらない。そんな徳の高い維摩があるとき病気になる。その病気は、実は人々を導くための方便だという。その教えには、大乗仏教の神髄が込められていた。第一回は、既存の仏教体系を大きく揺るがした大乗仏教の基本構造を学ぶ。

  • S01E278 維摩経 第2回「“得意分野”こそ疑え」

    • June 12, 2017
    • NHK

    ブッダの十大弟子全員をその鋭い舌鋒(ぽう)でことごとく論破する維摩。その論点を一つ一つ読み解いていくと、大乗仏教に解かれた重要な教えの数々が明らかになる。 病気になった維摩を見舞うようにすすめるブッダだが、誰一人それにこたえる弟子はいない。それもそのはず、維摩は、かつてブッダの十大弟子全員をその鋭い舌ぽうでことごとく論破していたのだ。その論点を一つ一つひもといていくと、大乗仏教に解かれた重要な教えの数々が明らかになる。浮かび上がってくるのは「自己分析」と「他者観察」。この二つをしっかりやりきり点検を続けていけば、人は決して独りよがりな偏りには陥らない

  • S01E279 維摩経 第3回「縁起の実践・空の実践」

    • June 19, 2017
    • NHK

    維摩のお見舞いをただ一人引き受けた文殊菩薩。いよいよ維摩との本格的な対論が始まる。そこから浮かび上がるのは、大乗仏教の精髄、「縁起」と「空」の思想だ。 維摩のお見舞いをただ一人引き受けた文殊菩薩。いよいよ維摩との本格的な対論が始まる。そこから浮かび上がるのは、「すべては関係性によって成立しており、実体はない」という空の思想。「だからこそ自らの修行の完成ばかりを目指さず、社会や他者と関わっていけ」という縁起の思想。維摩がもたらす予想外の答えや不思議な出来事から、大乗仏教の精髄が、単なる観念の遊戯ではなく、生きるための智慧(ちえ)として示されていく。

  • S01E280 維摩経 第4回「あらゆる枠組みを超えよ!」

    • June 26, 2017
    • NHK

    「不二の法門とは何か」ときかれて、なんと黙ったまま一言も発しない維摩。「維摩の一黙、雷の如(ごと)し」と呼ばれたこの沈黙が意味するものとは?その奥深い思想に迫る 「不二の法門」とは、相反するものが即一になる世界のこと。菩薩たちはその答えとして、「善と悪」「悟りと迷い」「身体と精神」「自分と他者」「光と闇」といったあらゆる二項対立の概念を語りながら、その構造が解体された世界こそ不二の法門であると述べる。同じ質問を問い返された維摩はどう答えたか? なんと、黙ったまま一言も発しないのだ。「維摩の一黙、雷の如(ごと)し」と呼ばれたこの沈黙が意味するものとは?

  • S01E281 ジェイン・オースティン“高慢と偏見” 第1回「偏見はこうして生まれた」

    • July 3, 2017
    • NHK

    主人公エリザベスは、家族の影響で、どこか屈折し、強い「成り上がり意識」をもっている。そこから生まれる偏見が、彼女の恋愛の壁になってしまうのだ。 オースティンは巧みな設定で登場人物の気質や性格を見事に浮かび上がらせる。自己肯定感に溢れた姉や妹に対して、主人公エリザベスはどこか屈折し、強い「成り上がり意識」をもっている。これには、母の愛情不足と知性を無駄遣いする父への失望が大きく影響している。こうして形成される性格の基盤と現実のずれから登場人物の行動を分析できるという。登場人物の置かれた状況を浮き彫りにし、作家の鋭い「人間観」に迫っていく。

  • S01E282 ジェイン・オースティン“高慢と偏見” 第2回「認識をゆがめるもの」

    • July 10, 2017
    • NHK

    ダーシー、ウィッカムら男性たちへのエリザベスの対応をみていくと、認識がどうゆがめられていくかを知ることができる。意外なところから生まれる偏見のメカニズムとは? 男性たちへのエリザベスの対応をみていくと、人間の認識がどうゆがめられていくかを知ることができる。幸運のみによって成り上がり尊大になった牧師コリンズ、機知によって地位を獲得したこうかつなウィッカム、生まれながらの風格をもつ大富豪ダーシー。それぞれの存在と言動がエリザベスの「性格の基盤」を刺激し、彼女の中に偏見が形成されていく。反面教師として人間はどうしたら偏見から自由になれるかも知ることができる。

  • S01E283 ジェイン・オースティン“高慢と偏見” 第3回「恋愛のメカニズム」

    • July 17, 2017
    • NHK

    「虚栄心」と「偏見」にはばまれながらも、ひかれあっていく主人公エリザベスとダーシーの心の動きを追っていくと、その巧妙なメカニズムが浮かび上がってくる。 「虚栄心」と「偏見」にはばまれながらも、ひかれあっていく主人公エリザベスとダーシーの心の動きを追っていくと、その巧妙なメカニズムが浮かび上がってくる。人間は「好意」や「すりより」によってひかれるだけではない。そんな「こび」にではなく、ときに、はつらつとした自負心やこびない批判精神に惹かれていくものだ。一筋縄ではいかない恋心の複雑なゆらめき。誰しもが陥る「恋愛のメカニズム」を解き明かしていく。

  • S01E284 ジェイン・オースティン“高慢と偏見” 第4回「“虚栄心”と“誇り”のはざまで」

    • July 24, 2017
    • NHK

    「プライド」には「高慢」というマイナスの意味と「誇り」というプラスの意味が二重に込められている。果たして、エリザベスとダーシーは「偏見」を乗り越えられるのか? 「プライド」には「高慢」というマイナスの意味と「誇り」というプラスの意味が二重に込められている。「プライド」はあるときは「偏見」を生み出し恋愛をはばんでしまうが、「誇り」というプラスの方向に働くとき、人をひきつける魅力やさまざまな障害をはねのける武器ともなる。オースティンは、登場人物の行動を通してこの両義性を描き出そうとしたのであり、そこにこそ人間が「虚栄心」や「偏見」を乗り越えるヒントもあるのだ

  • S01E285 大岡昇平“野火” 第1回「落伍(らくご)者の自由」

    • August 7, 2017
    • NHK

    日本軍の劣勢が確実になる中、肺病のために部隊を追われ、野戦病院からも食糧不足のために入院を拒否される田村一等兵。戦場レイテ島の極限状況の中で彼は何を見たのか? 日本軍の劣勢が確実になる中、肺病のために部隊を追われ、野戦病院からも食糧不足のために入院を拒否される田村一等兵。米軍の砲撃によって陣地は崩壊し、田村は熱帯ジャングルの中をあてどなくさ迷い続ける。絶望的な状況の中、田村は「一種陰性の幸福感が身内に溢れる」のを感じ、いつしか「自身の孤独と絶望を見極めようという暗い好奇心」に駆られていく。彼は、戦場レイテ島の極限状況の中で、一体何を見たのか?

  • S01E286 大岡昇平“野火” 第2回「兵士たちの戦場経済」

    • August 14, 2017
    • NHK

    日常とは全く異なった原理に突き動かされる兵士たち。稀少物資が人と人を結びつける奇妙な戦場経済、絶望の果ての発作的な殺人など、人間の赤裸々な行為の意味を問う。 極限状況に追い込まれた人々は、日常とは全く異なった原理に突き動かされていく。絶対的な孤独の中で結ばれていく擬似家族の絆、「塩」や「たばこ」といった稀少物資が人と人を結びつける奇妙な戦場経済、絶望的の果てに行われる発作的な殺人…などなど。必死に「人間性」に踏みとどまろうとしながらも、転がり落ちるように動物化していく人間たちの姿が赤裸々に描かれていく。極限状況下で展開される人間の行為の意味を問う。

  • S01E287 大岡昇平“野火” 第3回「人間を最後に支えるもの」

    • August 21, 2017
    • NHK

    飢餓のため人肉食への欲望にとりつかれる田村一等兵。彼は極限状況の中で大自然の中に「神」の姿をみる。果たしてそれは狂気の中の幻想か?心の奥底にある良心だったのか? 飢餓のため、人肉食への欲望にとりつかれる田村一等兵。死を目前にした将校から、死後に自分の腕を食べてよいという遺言を聞き、心が揺れ動く。その肉を切り裂こうとした右手を左手が力強く制止した。やがて、田村は大自然の中に「神」の姿を見る。それは狂気の中の「幻想」だったのか? それとも人間の奥底に眠る「良心」だったのか? そして、彼に最後まで人肉食を思いとどまらせたものとは何だったのか?

  • S01E288 大岡昇平“野火” 第4回「異端者が見た神」

    • August 28, 2017
    • NHK

    大岡昇平の問いは現代の私たちを揺さぶる。映画監督の塚本晋也さんとともに、「野火」が与えた後世への影響や現代の私たちがこの作品から何を受け取るべきかを考えていく。 大岡昇平の問いかけは、現代の私たちを揺さぶり続ける。二度に渡って映画化もされ、国際的にも大きなインパクトを与え続けてきた「野火」。その影響は今も脈々と伝わっているのだ。第4回は、映画監督の塚本晋也さんをゲストに招き、映画化の経緯や自分自身の解釈も交えて読み解いてもらうことで、「野火」という作品が与えた後世への影響や現代の私たちがこの作品から何を受け取るべきかを考えていく。

  • S01E289 アーレント“全体主義の起原” 第1回「異分子排除のメカニズム」

    • September 4, 2017
    • NHK

    全体主義はいかにして生まれたか? 第一回はその母胎の一つ「反ユダヤ主義」の歴史を読み解き、国民国家の異分子排除のメカニズムがどのように働いてきたかを探っていく。 文化を共有する共同体を基盤にした「国民国家」は、「共通の敵」を見出し排除することで自らの同質性・求心性を高めていった。敵に選ばれたのは「ユダヤ人」。国家財政を支えてきたユダヤ人は、地位の低下とともに同化。しかし国民国家への不平不満が高まると一身に憎悪を集める。第一回は、全体主義の母胎の一つ「反ユダヤ主義」の歴史を読み解き、国民国家の異分子排除のメカニズムがどのように働いてきたかを探っていく。

  • S01E290 アーレント“全体主義の起原” 第2回「帝国主義が生んだ“人種思想”」

    • September 11, 2017
    • NHK

    植民地を争奪する帝国主義が猛威をふるった19世紀の西欧。全体主義につながる「人種主義」「民族的ナショナリズム」がどのように生まれたかを明らかにしていく。 「帝国主義」が猛威をふるった19世紀。西欧人たちが自分たちとは全く異なる現地人と出会うことで、彼らを未開な野蛮人とみなし差別する「人種主義」が生まれる。一方、植民地争奪戦に乗り遅れたドイツやロシアでは、中欧・東欧の民族的少数者たちの支配を正当化する「民族的ナショナリズム」が生み出される。第三回は、全体主義につながる「人種主義」「民族的ナショナリズム」がどのように生まれたかを明らかにしていく。

  • S01E291 アーレント“全体主義の起原” 第3回「“世界観”が大衆を動員する」

    • September 18, 2017
    • NHK

    大衆社会の不安の中で生まれた「世界観政党」。よるべない大衆に対して、自ら安住できる「世界観」を提示することで一つの運動の中へ組織化。全体主義はこうして生まれる。 第一次世界大戦を期にかつて国民国家を支えた階級社会は崩壊し、どこにも所属しない根無し草のような「大衆」が台頭し始める。そこに登場するのが「世界観政党」だ。この新たな政党は、インフレ、失業といった状況の中で不安をつのらせる大衆に対して、自ら安住できる「世界観」を提示することで、一つの運動の中へ組織化していく。その延長で「ユダヤ人の大量虐殺」のような暴挙がいかにして生み出されていったかを探る。

  • S01E292 アーレント“全体主義の起原” 第4回「悪は“陳腐”である」

    • September 25, 2017
    • NHK

    ユダヤ人移送計画の責任者アイヒマンを裁く裁判を傍聴したアーレントは、彼が、与えられた命令を淡々とこなす陳腐な小役人にすぎないことに驚がくする。悪とは一体何か? アイヒマンは収容所へのユダヤ人移送計画の責任者。その裁判を傍聴し、「悪の権化」と目された彼の姿に接したアーレントは驚がくした。実際の彼は、与えられた命令を淡々とこなす陳腐な小役人だったのだ。自分の行いの是非について全く考慮しない徹底した「無思想性」。その事実は「誰もがアイヒマンになりうる」という可能性をつきつける。第四回は「人間にとって悪とは何か」「悪を避けるには何が必要か」を考える。

  • S01E293 バートランド・ラッセル“幸福論” 第1回「自分を不幸にする原因」

    • November 6, 2017
    • NHK

    ラッセルは「幸福論」を説き起こすにあたり「人々を不幸にする原因」の分析から始める。その最たるものはネガティブな「自己没頭」。そのワナに陥らない秘けつとは? ラッセルは「幸福論」を説き起こすにあたり「人々を不幸にする原因」の分析から始める。その最たるものはネガティブな「自己没頭」。それには、「罪びと」「ナルシスト」「誇大妄想狂」の3つのタイプがある。いずれも自分自身にとらわれすぎることが不幸の原因であり、ラッセルは、自分自身への関心を薄め、外界への興味を増進していくことを薦める。第1回は、ラッセルの人生と、人々を不幸にしてしまう原因を解説する。

  • S01E294 バートランド・ラッセル“幸福論” 第2回「思考をコントロールせよ」

    • November 13, 2017
    • NHK

    不幸を避け幸福を招き寄せるには「思考のコントロール」が最適であると考えるラッセルは、その訓練法を具体的に伝授。一歩ずつの実践の積み重ねが悩みの解消へつながる。 不幸を避け幸福を招き寄せるには「思考のコントロール」が最適であると考えるラッセルは、その訓練法を具体的に伝授する。「悩みを宇宙規模で考える」「無意識へ働きかける」「退屈に耐える」「比較をやめる」……誰もが一歩ずつ踏み出せるちょっとした実践の積み重ねが深刻な悩みの解消へとつながっていくというのだ。第2回は、不幸に傾きがちなベクトルをプラスに転換する「思考のコントロール方法」を学ぶ。

  • S01E295 バートランド・ラッセル“幸福論” 第3回「バランスこそ幸福の条件」

    • November 20, 2017
    • NHK

    人はいつでも一方向に偏りがち。それが幸福になることを妨げているというラッセルは、絶妙なバランスのとり方を提案する。欲望の暴走にブレーキをかけるバランス感覚とは? 人は何かにつけ一方向に偏りがち。それが幸福になることを妨げているというラッセルは、絶妙なバランスのとり方を提案する。たとえば「努力とあきらめ」。避けられない不幸に時間と感情をつぎこんでも意味はない。潔くあきらめ、その力を可能なことに振り向けることで人生はよりよく進むという。趣味も絶好のバランサーになる。第3回は、極端に走りがちな人間の傾向性にブレーキをかける、ラッセル流のバランス感覚を学んでいく。

  • S01E296 バートランド・ラッセル“幸福論” 第4回「他者と関わり、世界とつながれ!」

    • November 27, 2017
    • NHK

    「幸福な人とは客観的な生き方をし自由な愛情と広い興味をもっている人」と結論づけるラッセル。その後の平和活動にもつながる、自我と社会を統合する幸福論とは何か? 「幸福な人とは客観的な生き方をし自由な愛情と広い興味をもっている人」と結論づけるラッセル。客観的な生き方とは、自我と社会が客観的な関心や愛情によって結合されている生き方であり、「自由な愛情と広い興味をもつ」とは、自分の殻に閉じこもるのではなく外に向けて人や物に興味を広げている状態のことだという。第4回は、その後の平和活動にもつながる、自我と社会との統合を理想とした、独自の幸福観を明らかにしていく。

  • S01E297 スタニスワフ・レム“ソラリス” 第1回「未知なるものとのコンタクト」

    • December 4, 2017
    • NHK

    「惑星ソラリス上で不可解な自己運動を繰り返す海は果たして知的生命体なのか?」 その謎に挑んだ登場人物たちは、海がもたらす想像を絶する事態に巻き込まれていく。 「惑星ソラリス上で不可解な自己運動を繰り返す海は果たして知的生命体なのか?」 その謎に挑んだ登場人物たちは、海がもたらす想像を絶する事態に巻き込まれ、あるいは現実逃避、あるいは自殺へと追い込まれていく。主人公クリスは、自らの狂気を疑うが、ぎりぎりの理性の中でそれが現実にほかならないことをつきとめる。第1回は、人間の理性の可能性と限界を見極めようとする認識論的ぐう話として「ソラリス」を読み解く。

  • S01E298 スタニスワフ・レム“ソラリス” 第2回「心の奥底にうごめくもの」

    • December 11, 2017
    • NHK

    死亡した人物が実体をともなって再び出現するという恐るべき状況。彼らが、ソラリスの海が人間の潜在的な記憶を探り不可解な力で実体化したものということがわかっていく。 死亡した人物が実体をともなって再び出現するという恐るべき状況。しかも彼らは、忘れがたいが悲痛さのため心の奥にしまいこんだはずの記憶の中の人物だった。やがて彼らは、ソラリスの海が人間の潜在的な記憶を探り、不可解な力で実体化したものということがわかっていく。ソラリスの海は、何のために、このようなことを行うのか? 第2回は、抑圧された記憶や欲望をえぐり出す精神分析的な物語として「ソラリス」を読み解く。

  • S01E299 スタニスワフ・レム“ソラリス” 第3回「人間とは何か 自己とは何か」

    • December 18, 2017
    • NHK

    ソラリスの海が記憶を実体化したハリーは、クリスとの交流の中で人間らしい自意識を育んでいく。その姿を見つめていくと「人間とは何か」という鋭い問いをつきつけられる。 ソラリスの海が記憶を実体化した偽のハリーは、クリスとの交流の中で、より人間らしい自意識を育んでいく。クリスもそんなハリーを、元の恋人とは別の新たな人格として愛し始める。そして、クリス自身もそんな彼女に影響を受けていく。彼らの交流を見つめていくと、「自己とは何か」「人間とは何か」という鋭い問いをつきつけられる。第3回は、「ソラリス」を通して「人間存在とは何か」という根源的なテーマを考えていく。

  • S01E300 スタニスワフ・レム“ソラリス” 第4回「不完全な神々のたわむれ」

    • December 25, 2017
    • NHK

    最後の最後まで人間の理解を絶したままの絶対的他者「ソラリスの海」。その意味とは? レムの巨大なメッセージを、SF作家・瀬名秀明さんとともに解き明かしていく。 ソラリスの海が引き起こす現象は自分たちへのコンタクトではないのか? しかしどんな試みに対しても海からの応答はなく不可解な自己運動を繰り返すだけ。最後まで人間の理解を絶したままの絶対的他者「ソラリスの海」が暗示するのは、それが私たちにとっての「世界」や「神」のメタファーではないかということだ。第4回は、SF作家・瀬名秀明さんをゲストに招き「ソラリス」にこめられた巨大なメッセージを、解き明かしていく。

  • S01E301 西郷隆盛“南洲翁遺訓” 第1回「揺らぐ時代」

    • January 8, 2018
    • NHK

    西郷隆盛は、世界史的視野から情報革命による変動を鋭く洞察し、国家がどうあるべきかについてのヴィジョンを模索していた。第1回は、西郷の思想の先見性に迫っていく。 西郷が生きた時代は、世界では巨大な情報通信革命が急速に展開していた。鉄道網の敷設、大陸間をつなぐ海底電信ケーブルの設置などなど、現在でいえばインターネット革命に匹敵するような巨大な地殻変動。西郷は世界史的視野からそうした変動を鋭く洞察し、国家がどうあるべきかについてのヴィジョンを模索していたのだ。第1回は、西郷の人となりなども交えながら、彼の思想の先見性に迫っていく。

  • S01E302 西郷隆盛“南洲翁遺訓” 第2回「“敬天愛人”の思想」

    • January 15, 2018
    • NHK

    日本人がよって立つべき原理を「天」という概念に求めた西郷隆盛。価値観が混沌とする中で、大きな決断を下す際の基準点として、西郷を支えたのが「敬天愛人」だった。 維新が成った結果、人々の欲望が解放され、経済的利害のみが人々を動かす行動基準になろうとしていた時代、西郷は、改めて日本人がよって立つべき原理を「天」という概念に求め、旧秩序の崩壊で価値基準が混沌とする中、国家の命運をかけた大きな決断を下す際の基準点をぶれることなく持ち続けた。第2回は、奄美流罪時代の西郷の苦闘の意味も交えながら、西郷を支えた「敬天愛人」の思想の淵源に迫っていく。

  • S01E303 西郷隆盛“南洲翁遺訓” 第3回「“文明”とは何か」

    • January 22, 2018
    • NHK

    西郷の思想は偏狭な国粋主義と一線を画す。西欧に学ぶべきところは学ぶが、途上国に対する非道さや経済的な打算による威信の軽視を鋭く批判するという姿勢に貫かれていた。 私利私欲に走り、そろばん勘定だけを政策決定の基準になりがちだった藩閥政治に対して、西郷は鋭い論陣を展開。西欧列強と対峙しうる国家のアイデンティティとは何かを追求し続ける。だがその姿勢は偏狭な国粋主義と一線を画す。彼の思想は、西欧に学ぶべきところは学ぶが、途上国に対する非道さや経済的な打算による威信の軽視を鋭く批判するという文明史的視点に貫かれていた。第3回は、西郷が思い描いた文明のあり方に迫る。

  • S01E304 西郷隆盛“南洲翁遺訓” 第4回「時代を映す“古典”」

    • January 29, 2018
    • NHK

    時代の転換期ごとに読み返され、福沢諭吉、内村鑑三、三島由紀夫らにも大きな影響を与え続けた西郷隆盛の思想。第4回は、彼の思想が現代に投げかける意味を明らかにする。 西郷を悲劇の死に追いやった「西南戦争」。不平士族たちの思いを背負った西郷が負けとわかって挑んだ戦いと記されることも多いが、官僚独裁が進み排除の論理が横行する新政府に対して行った大きな「抵抗運動」だったとも考えられるという。時代の転換期ごとに読み返され、福沢諭吉、内村鑑三、三島由紀夫らにも大きな影響を与え続けた西郷の思想。第4回は、彼の思想が、現代の私たちに何を投げかけているかを明らかにする。

  • S01E305 ユゴー“ノートル=ダム・ド・パリ” 第1回「天才ユゴーの驚くべき“神話的小説”」

    • February 5, 2018
    • NHK

    現代の漫画やアニメに出てきてもおかしくないような輪郭の際立った魅力にあふれる登場人物たち。第1回は、このキャラクター設定にスポットを当て物語の魅力に迫っていく。 元祖ストーカー男、クロード・フロロ司教補佐。醜い容貌の内に無垢(むく)なる魂をもつ鐘つき男、カジモド。少女性と妖艶さをあわせ持つ異邦の女、エスメラルダ。そして圧倒的な民衆エネルギーを放つ「奇跡御殿」の人たち。いずれも漫画やアニメに出てきてもおかしくないような、輪郭の際立った魅力にあふれている。第1回は、このキャラクターたちにスポットを当て、神話的な魅力を放つ物語の秘密に迫っていく。

  • S01E306 ユゴー“ノートル=ダム・ド・パリ” 第2回「根源的な葛藤を描く」

    • February 12, 2018
    • NHK

    「ノートル=ダム・ド・パリ」は、時代を超えて人間を貫く「根源的な葛藤」を描いている。だからこそ、誰が読んでも作品の中に自分自身の姿や運命をみてしまうのだ。 「ノートル=ダム・ド・パリ」は、時代を超えて人間を貫く「根源的な葛藤」を描いている。教義によって恋愛を禁じられた神父の許されざる愛。強固な中世の秩序とそこからどうしてもはみ出してしまう人間の欲望。嫉妬が生み出す愛と憎しみの混在。どんな時代でも人間が直面してしまう葛藤が物語を駆動しているおかげで、誰が読んでも、自分自身の姿や運命をみてしまうのだ。第2回は、人間の中の「根源的な葛藤」を読み解く。

  • S01E307 ユゴー“ノートル=ダム・ド・パリ” 第3回「モテない男の純愛は報われない」

    • February 19, 2018
    • NHK

    クロードの愛、カジモドの愛は、現代でいえば「フーテンの寅さん」の愛。彼らの愛は、純粋であればあるほど空回りし決して報われることはない。「愛のかたち」を探る。 クロードの愛、カジモドの愛は、現代でいえば「フーテンの寅さん」の愛。彼らの愛は、純粋であればあるほど空回りし、決して報われることはない。そして、報われない愛は、あるいは狂気へ、あるいは絶望の底へ、人間を暴走させていく。愛は人を不幸にするだけなのか? それとも? 第3回は、「ノートル=ダム・ド・パリ」を「報われない愛の物語」として読み解き、私たち現代人にも通じる「愛のかたち」を探っていく。

  • S01E308 ユゴー“ノートル=ダム・ド・パリ” 第4回「炸(さく)裂する映画的想像力」

    • February 26, 2018
    • NHK

    パリをふかんするようなパノラマ映像から一気に一個人へズームインしていくような視点の切り替え、生命力がみなぎるような群集シーン。ユゴーの映画的想像力の秘密に迫る。 パリをふかんするようなパノラマ映像から一気に一個人へズームインしていく視点の切り替え、生命力がみなぎるような群集シーン。現代でいえば映画でしかなしえないような描写をたたみかけていくユゴー。圧倒的な想像力で、光と闇、崇高なものとグロテスクなものを対置してユゴーが描き出そうとしたものは人間が背負った「宿命」だった。第4回は彼の圧倒的な想像力の秘密を探るとともに、人間にとっての「宿命」の意味に迫っていく

  • S01E309 松本清張スペシャル 第1回「人間と社会の暗部を見つめて」

    • March 5, 2018
    • NHK

    福岡県香椎浜で起こった情死事件の解明を描く「点と線」。複雑な社会機構が生み出す構造的な犯罪に巻き込まれた個人の悲劇を見事に描き出す清張の筆力の秘密とは? 福岡県香椎浜で起こった情死事件の解明を描く「点と線」。新しい旅の主役、豪華列車「あさかぜ」や社会の最新情勢をいち早く先取りして描きながらも、その背景に、相次ぐ疑獄事件や政界・財界・官界の癒着などの社会的事件が透けてみえるような絶妙な仕掛け。巨悪は逃げ延び、犠牲になるのは中間管理職……複雑な社会機構が生み出す構造的な犯罪に巻き込まれた個人の悲劇を見事に描き出す清張の筆力は一体どこから生まれたのか。

  • S01E310 松本清張スペシャル 第2回「生き続ける歴史の古層」

    • March 12, 2018
    • NHK

    過去を消し去るために殺人を犯した人物を描く「砂の器」。音楽家としての栄光をつかんだ和賀英良に背負わされた十字架は、幼少期に受けたいわれなき差別や偏見だった。 過去を消し去るために殺人という手段をとらざるをえなかった人物とその心理を描く「砂の器」。音楽家としての栄光をつかんだ主人公・和賀英良に背負わされた十字架は、幼少期に苦しめられた、いわれなき差別や偏見だった。近代化を成し遂げたにもかかわらず、依然として日本に残る迷妄きわまる差別構造が人を犯罪に追いやる原因となる。第二回は、近代化・高度経済成長を経てもなお、日本に根強く残る歴史の古層を暴き出す。

  • S01E311 松本清張スペシャル 第3回「歴史の裏側を暴き出す」

    • March 19, 2018
    • NHK

    昭和の時代の変わり目を新資料を元に複合的に叙述していくノンフィクション作品「昭和史再発掘」。「二・二六事件」がどんな事件だったかを清張の視点から読み解く。 昭和の時代の変わり目を新資料を元に複合的に叙述していくノンフィクション作品「昭和史再発掘」。とりわけ「二・二六事件」を読み解くことが、昭和史の謎を解明する大きな鍵を握っているという。それは単なるテロ事件ではなく、貧富の格差の拡大、対外関係の行き詰まりといった危機的状況を、昭和維新と呼ばれる革命によって乗り越え天皇と国民を改めて一体化させようという大規模なクーデター計画だった。その裏側に迫る。

  • S01E312 松本清張スペシャル 第4回「国家の深層に潜むもの」

    • March 26, 2018
    • NHK

    昭和八年を舞台に特高の刑事が宮中に入り込んだ新興宗教「月辰会」の陰謀を追うミステリー「神々の乱心」。彼らの陰謀とは「三種の神器」のねつ造だった。国家の深層に迫る 昭和八年を舞台に特高の刑事が宮中に入り込んだ新興宗教「月辰会」の陰謀を追うミステリー「神々の乱心」。彼らの陰謀とは「三種の神器」のねつ造。日本国の頂点に君臨することを証明する物的証拠をねつ造し、陸軍や宮中の一部の人々に本物と信じ込ませることで、天皇家の正当性を根底から覆そうとする。清張は、取材に基づいた多くの事実をつきあわせながら、日本という国家の深層に潜むものを見極めようとする。その洞察に迫る。

  • S01E313 法華経 第1回「全てのいのちは平等である」

    • April 2, 2018
    • NHK

    法華経には、権威主義化した一部「部派仏教」と差別的側面を残す「大乗仏教」の対立を止揚し乗り越えようという新しい平等思想がこめられている。その思想の神髄に迫る。 法華経が編さんされた当時は出家修行者が自らの悟りを目指す一部の「部派仏教」と広く民衆を救済しようという「大乗仏教」が厳しく対立していた時代。法華経にはそうした対立を止揚し乗り越えようという新しい思想がこめられている。一部の部派仏教が決して成仏できないとした在家信者や女性も、大乗仏教が決して悟りを得ることができないと断じた出家修行者も全て平等に仏になれるという平等思想を打ち出した法華経の神髄とは?

  • S01E314 法華経 第2回「真の自己に目覚めよ」

    • April 9, 2018
    • NHK

    偶像を信仰するのではなく、釈迦が説いた「法」や「経典」の方をこそ重視せよと説く法華経。成仏とは、決して特別なことではなく「真の自己に目覚めること」だという。 法華経成立当時は釈迦が神格化され、釈迦の骨をおさめた塔「ストゥーパ」を拝む信仰が隆盛を極めていた。しかし法華経では釈迦はあくまで覚(さと)りを得たひとりの人間なのだから、偶像を信仰するのではなく釈迦が説いた「法」や「経典」の方をこそ重視せよと説く。そして成仏とは決して特別なことではなく「真の自己に目覚めること」だと説く。さまざまなたとえをもって語られる「真の自己に目覚めること」の大事さを解き明かす

  • S01E315 法華経 第3回「“永遠のブッダ”が示すもの」

    • April 16, 2018
    • NHK

    釈迦が四十数年前にブッダガヤで成仏したのではなく気の遠くなるようなはるかな過去にすでに成仏していたという驚がくすべき事実が明らかに。そこに込められた深い意味とは これまでの常識的な価値観をゆさぶる神話的表現の数々。その上で明かされるのは、釈迦が四十数年前にブッダガヤで成仏したのではなく気の遠くなるようなはるかな過去にすでに成仏していたという驚がくすべき事実だった。そこに込められているのは、さまざまな形で説かれてきた無数の仏たちを一つに統合し、釈迦という存在の中に位置づけようという意図。第3回は法華経に説かれた「永遠のブッダ」が示す奥深い意味を明らかにする。

  • S01E316 法華経 第4回「“人間の尊厳”への讃(さん)歌」

    • April 23, 2018
    • NHK

    どんな暴力や迫害にあおうともひたすら他者に内在する仏性を尊重し礼拝し続ける常不軽菩薩。作家の安部龍太郎さんとともに法華経後半を読み解き理想の生き方に迫っていく。 どんな暴力や迫害にあおうとも、ひたすら他者に内在する仏性を尊重し礼拝し続ける常不軽菩薩。経文などを全く読めずともやがて悟りを得ていくという姿には、法華経の修行の根幹が凝縮している。すべての人間に秘められた可能性を信じ尊ぶ行為こそが、自らの可能性を開いていく鍵を握っているのだ。第四回は、歴史小説「等伯」を書いた直木賞作家の安部龍太郎さんとともに法華経を読み解き、理想の人間の生き方に迫っていく。

  • S01E317 神谷美恵子“生きがいについて” 第1回「生きがいとは何か」

    • May 7, 2018
    • NHK

    神谷美恵子がとりわけこだわったのは、「生きがい」が決して言語化できない何かであり、考える対象ではなく「感じられる何か」であるということ。生きがいの本質とは? 神谷美恵子がとりわけこだわったのは、「生きがい」が決して言語化できない何かであり、考える対象ではなく「感じられる何か」であるということ。神谷が生きがいをとらえようとするさまざまな言葉から浮かびがあるのは、生きがいが、他者のものとは安易に比較できない「固有のもの」であるということだった。第1回は、神谷美恵子が探求し続けた「生きがい」の多面的な意味を、さまざまなエピソードを通して明らかにしていく。

  • S01E318 神谷美恵子“生きがいについて” 第2回「無名なものたちに照らされて」

    • May 14, 2018
    • NHK

    国立のハンセン病療養施設「長島愛生園」に精神科医として調査に入った神谷美恵子。患者たちと向き合う中で照らし出されるように「生きがいの深い意味」を知らされていく。 国立のハンセン病療養施設「長島愛生園」に精神科医として調査に入った神谷美恵子。神谷は、これまで使ってきた学術的方法を放棄しハンセン病患者たちのただ中に入っていこうとした。その結果、患者たちから照らし出されるように「生きがいの深い意味」を知らされていく。第2回は、本当の意味で人間に寄り添っていくとはどういうことか、また、無名な人たちに照らし出される「生きがいの深い意味」を明らかにしていく。

  • S01E319 神谷美恵子“生きがいについて” 第3回「生きがいを奪い去るもの」

    • May 21, 2018
    • NHK

    ハンセン病患者たちが教えてくれるのは、暗闇の中にいる人間こそがむしろ「光」を強く感じるという事実。試練に向き合ったときにはじめて気づかされる「生の深み」を学ぶ。 私たちは、「生きがいを奪い去るもの」を決して避けては通れない。そんな時、私たちはどうしたよいのか? ハンセン病患者たちが教えてくれるのは、暗闇の中にいる人間こそがむしろ「光」を強く感じるという事実だ。わが身に降りかかってくる困難を避けるのではなく、その意味を掘っていくことこそ「生きがい」を深めていく営為なのである。第3回は、試練に向き合ったときにはじめて気づかされる「生の深み」を学んでいく。

  • S01E320 神谷美恵子“生きがいについて” 第4回「人間の根底を支えるもの」

    • May 28, 2018
    • NHK

    神谷は、困難に直面している人々と対話する中で、彼らが自分を超えたより大きなものに生かされていると感じていることに気づく。人間の根底を支えるものとは何かを考える。 「生きがい」の問題を考えぬいていくとき、ひとはいつしか「宗教的なもの」に近づいていく。神谷は、困難に直面している人々と対話する中で、彼らが自分を超えたより大きなものに生かされていると感じており、自己をあるがままに大きな力にゆだねることで困難に立ち向かう力を得ていることに気づく。第4回は、神谷美恵子独自の「宗教観」を読み解くことで、「人間の根底を支えるものとは何か」を考えていく。

  • S01E321 アルベール・カミュ“ペスト” 第1回「不条理の哲学」

    • June 4, 2018
    • NHK

    オラン市に突如発生したペスト。多くの人たちが現実逃避を繰り返す中で、敢然と災厄に立ち向かってく人々が現れる。極限状況におかれた人間たちの可能性とは? オラン市に突如発生したペスト。後手に回り続ける行政の対応、人々の相互不信、愛する人との過酷な別離…精神も肉体も牢(ろう)獄に閉じ込められたような状況の中で、それに照らし出されるように人間の尊厳が浮かび上がる。多くの人たちが現実逃避を繰り返す中で、敢然と災厄に立ち向かっていく人々が現れるのだ。第1回は、やがて多くの人々を動かしていく医師リウーたちの姿を通して極限状況におかれた人間たちの可能性を考える

  • S01E322 アルベール・カミュ“ペスト” 第2回「神なき世界で生きる」

    • June 11, 2018
    • NHK

    保健隊を結成して全力でペストとの絶望的な闘いを続ける医師リウーやタルーたち。彼らを支えたのは決して大げさなものではなく自分の職務を果たすことへの責任感だった。 神父パヌルーは「ペストは神の審判のしるし」と訴え人々に回心を迫る。その一方で、保健隊を結成しあらん限りの力をふりしぼってペストとの絶望的な闘いを続ける医師リウーやその友人タルーたち。彼らを支えたのは、決して大げさなものではなく、人と人をつなぐ連帯の感情であり、自分の職務を果たすことへの責任感だった。第2回は、人々を絶望な状況に立ち向かわせる「希望の源」は何なのかに迫っていく。

  • S01E323 アルベール・カミュ“ペスト” 第3回「それぞれの闘い」

    • June 18, 2018
    • NHK

    罪なき子どもの死に直面した神父パヌルーの心は大きく動揺。神を信じないという医師リウーは彼に対し「罪なき子どもが死ぬような世界を自分は愛せない」と宣言する。 罪なき子どもの死に直面した神父パヌルーの心は大きく動揺。神を信じないという医師リウーは彼に対し「罪なき子どもが死ぬような世界を自分は愛せない。私はそれと闘い続ける」と宣言。それを受け、パヌルーはリウーたちと信条を超えて助け合うことを確認する。第3回は、それぞれの闘いを通して、人は「神」という存在なしに倫理を貫き人間の尊厳を守り続けることができるのか…というカミュの根源的な問いについて考える。

  • S01E324 アルベール・カミュ“ペスト” 第4回「われ反抗す、ゆえにわれら在り」

    • June 25, 2018
    • NHK

    最後までリウーを打ちのめし続ける「不条理」。それでもなおリウーは後世のためにこれら全ての記録を自ら記し残していこうと決意する。カミュ思想の根幹「反抗」とは何か? ペストが沈静化する中ついに友人タルーが発病。全てを静かに受け容(い)れて死んでいく。妻の訃報も届く。最後までリウーを打ちのめし続ける「不条理」。それでもなおリウーは後世のためにこれら全ての記録を自ら記し残していこうと決意する。第4回は、思想家の内田樹さんを交えて、彼の思想の根幹にあるキーワード「反抗」の深い意味を明らかにし、私たちを打ちのめし続ける「不条理」とどう向き合えばよいのかを探っていく。

  • S01E325 河合隼雄スペシャル 第1回「こころの問題に寄りそう」

    • July 2, 2018
    • NHK

    「心の問題」を解決に導くには相手を客観的に「観察」するのではなく主体的に関わり心に起きている現象をともに「経験」する必要があるという河合隼雄の臨床心理学に迫る。 「心の問題」を解決に導くには、相手を客観的に「観察」するのではなくその問題に主体的に関わりその人の心に起きている現象をともに「経験」する必要があるという河合隼雄。それは、「なぜ」という問いを共に辿り、その人を揺り動かしている情動がおさめ心のバランスを取り戻していく過程を共に歩んでいく長い道のりだという。第1回は、「ユング心理学入門」の前半を読み解き、心の問題とどう寄りそえばいいのかを考える。

  • S01E326 河合隼雄スペシャル 第2回「人間の根源とイメージ」

    • July 9, 2018
    • NHK

    河合隼雄はユングが提唱した心の最も深い層にあるとされる「普遍的無意識」に注目。それは人類に共通する基層。そこには「元型」と呼ばれる基本的な型のようなものがある。 河合隼雄は、ユングが提唱した心の最も深い層にあるとされる「普遍的無意識」に注目。それは人類に共通する基層。そこには「元型」と呼ばれる基本的な型のようなものがあり、それによって「影」「アニマ」「太母」といったイメージが、今の自分の心の状態を映し出すように生まれてくる。そこに表現された不均衡こそが「心の病」をもたらすのだ。夢の中に現れるこれらイメージをどのようにうまく統合し自己実現していくかを考える。

  • S01E327 河合隼雄スペシャル 第3回「昔話と神話の深層」

    • July 16, 2018
    • NHK

    「浦島太郎」「古事記」など日本人に古くから親しまれてきた昔話や神話の中に、西欧の自我意識とは異なる日本独特の意識が現われていることを解明した河合隼雄の思想とは? 「浦島太郎」「うぐいすの里」など日本人に古くから親しまれてきた昔話の中に、西欧近代の自我意識とは異なる日本人独特の意識が現われていることを解明した「昔話と日本人の心」。世界の神話との比較の中で「古事記」「日本書紀」を読み解き「中空構造」という現代の私たちも逃れない深層構造があることを明らかにした「神話と日本人の心」。第3回は、昔話や神話からみえてくる、日本人の心の深層構造や生きる知恵を学んでいく。

  • S01E328 河合隼雄スペシャル 第4回「“私”とは何か」

    • July 23, 2018
    • NHK

    仏教を研究することで、日本における「私」のあり方を明らかにしていった河合隼雄。西欧の自我とは異なり、日本での「私」は、自他が浸透し合った流動的な存在だという。 仏教を研究することで、日本における「私」のあり方を明らかにしていった河合隼雄。西欧とは異なり、日本での「私」は、自他が浸透し合った流動的な存在なのである。それは、心の治療を行う上でも新しい地平を開く新たな視点だった。第4回は「私とは何か?」という人間にとって最も根源的な問いに仏教と臨床心理学の双方から新たな光を当てるとともに、「人間は他者とどう関わっていけばよいのか」を学んでいく。

  • S01E329 nan

    • August 6, 2018
    • NHK

    永遠のベストセラー「星の王子さま」。何気なく読みすごすと素敵(すてき)なファンタジーで終わってしまうが、言葉を丁寧に読み解くと哲学的なテーマが浮かび上がってくる 永遠のベストセラー「星の王子さま」。何気なく読みすごすと素敵なファンタジーで終わってしまうが、言葉の一つひとつを丁寧に読み解くと、「生き方」「友情」「愛」「死」といった哲学的なテーマが鮮やかに浮かび上がってくる。小説読みの達人ヤマザキさんに、文学から生き方を学ぶことの大切さを教えてもらう。

  • S01E330 nan

    • August 13, 2018
    • NHK

    ローレンツは、動物行動学で動物たちが何を意図して日々暮らしているかを解き明かす。作家の瀬名秀明さんに、動物たちの声に耳をすますとっておきの方法を教えてもらう。 「ソロモンの指環」とは神話に出てくる動物の言葉を理解する力を与えてくれる魔法の指環。ローレンツは、動物行動学をこの指環にたとえて動物たちが何を意図して日々暮らしているかを解き明かす。プレゼント攻勢で相手の気を引こうとするコクマルガラスの恋愛事情、急所を差し出すことで敵の攻撃衝動を抑制するオオカミの本能など。瀬名さんに「ソロモンの指環」を通して、動物たちの声に耳をすますとっておきの方法を教えてもらう

  • S01E331 nan

    • August 20, 2018
    • NHK

    太宰治の代表作「走れメロス」。物語の真の主人公は「王様」だというのは若松英輔さん。人殺しをものともしなかった王様だけが物語を通して心を大きく変えていくのだ。 教科書にも載っている名作文学「走れメロス」。友情をテーマにしたちょっとクサい物語と思うなかれ。実は、この物語の真の主人公は「王様」だというのが批評家・若松英輔さん。人殺しをものともしなかった王様だけが物語を通して心を大きく変えていくのだ。若松さんにならって、登場人物たちを自分の内面にある「働き」ととらえると、文学の面白さがまるで変わってくるという。「走れメロス」の知られざる魅力に迫る。

  • S01E332 nan

    • August 27, 2018
    • NHK

    珠玉の和歌を編んだベスト・アルバムともいえる「百人一首」。現代の視点からとらえてみると、歌の一つひとつが、私たちの感情を映し出してくれる「鏡」になる。 珠玉の和歌を編んだベスト・アルバムともいえる「百人一首」。私たちとは関係ない古い歌と思うなかれ。これらの歌を現代の視点からとらえてみると、あら不思議。歌の一つひとつが、私たちの感情を映し出してくれる「鏡」になる。古典に精通した木之下裕一さんならではの、「古典と友達になる方法」を伝授してもらう。

  • S01E333 ウンベルト・エーコ“薔薇の名前” 第1回「修道士は名探偵?」

    • September 3, 2018
    • NHK

    北イタリアの修道院に派遣される修道士ウィリアムと見習いアドソ。そのモデルは、シャーロック・ホームズだった? 記号を駆使する人間の可能性と限界に迫っていく。 北イタリアの修道院に派遣される修道士ウィリアムと見習いアドソ。到着早々彼らは謎の連続殺人事件に遭遇し修道院長に事件解決を依頼される。鮮やかな推理をみせるウィリアムとその解説者アドソの設定は、ホームズとワトソンをモデルにしている。中世秩序がほころび近代がれい明を迎える中で「知」を武器に言語や記号の解明に挑む人間の姿が鮮やかに描かれる。第1回は、記号を解読する能力を駆使する人間の可能性と限界を見極める

  • S01E334 ウンベルト・エーコ“薔薇の名前” 第2回「知の迷宮への旅」

    • September 10, 2018
    • NHK

    修道院に設置された図書館は、さまざまな仕掛けや暗号で守られた迷宮だった。人類の知の宝庫ともいうべき膨大な蔵書の中を巡りながらウィリアムは図書館の謎に挑戦していく 修道院に設置された図書館は、さまざまな仕掛けや暗号で守られた迷宮だった。人類の知の宝庫ともいうべき膨大な蔵書の中を巡りながら、ウィリアムは多様な解釈を試み、図書館の謎に挑戦していく。この知の迷宮への旅は、私たち人間と世界との関係を象徴的に示している。第2回は、ウィリアムが挑んだ謎解きの過程や図書館に込められた象徴的な意味を通して、人間にとって「知」とは何か、「解釈」とは何かを探っていく。

  • S01E335 ウンベルト・エーコ“薔薇の名前” 第3回「“異端”はつくられる」

    • September 17, 2018
    • NHK

    異端派たちを強引に犯人に仕立て上げる異端審問官ギー。これは当時のイタリアの政治状況を隠喩的に表現したものだ。エーコによる「知と権力の結託」への告発を読み解く 異端派たちを強引に犯人に仕立て上げる異端審問官ギー。その勢いをかって皇帝側を会議で断罪。教皇側と皇帝側の調停は決裂する。実はこの描写は、当時イタリアの政治状況を隠喩的に表現したものだ。要人誘拐事件を政府側の一方的解釈で捻(ね)じ曲げ結局要人が殺害されてしまう「モーロ事件」。この小説はエーコによる不正の告発と読める。第3回は、権力と言語の関係や異端を排除する記号システムの恐ろしさを明らかにしていく。

  • S01E336 ウンベルト・エーコ“薔薇の名前” 第4回「謎は解かれるのか」

    • September 24, 2018
    • NHK

    ウィリアムはついに図書館の奥へ入るための暗号を解く。秘密の場所へ辿りついた彼らを待っていたのは老僧のホルヘ。果たして彼は犯人なのか? 知の落とし穴を読み解く。 ウィリアムはついに図書館の奥へ入るための暗号を解く。秘密の場所へ辿りついた彼らを待っていたのは、老僧のホルヘ。「笑い」の重要性を説くアリストテレス「詩学」第二部こそ事件の鍵だった。「笑い」はキリスト教を滅ぼす脅威となると考えたホルヘは果たして事件の犯人なのか? 第4回は、人類学者の中沢新一さんをゲストに招き、人間の知へのおごりへの警告や、言語に翻弄され続ける人間の宿命を読み解いていく。

  • S01E337 モンゴメリ“赤毛のアン” 第1回「想像力の翼を広げて」

    • October 1, 2018
    • NHK

    赤毛の少女アン・シャーリー。彼女の手にかかれば何の変哲もない風景もたちまち宝物に変わってしまう。最初はあ然としていた周囲の人間もいつしか感化され成長していく。 赤毛の少女アン・シャーリー。彼女の手にかかれば、何の変哲もない風景もたちまち宝物に変わってしまう。「歓喜のの白路」「輝く湖水」などなど。見慣れたものや場所に、想像力で素敵な名前を与えることで、そこは感動の場となる。最初はあ然としていた周囲の人間もいつしか感化され、成長していくのだ。第1回は、想像力の翼を広げて世界を新鮮なものに変えていくアンの姿を通して、人間にとっての想像力の大切さを考える。

  • S01E338 モンゴメリ“赤毛のアン” 第2回「異なる価値を認め合う」

    • October 8, 2018
    • NHK

    アンのコンプレックス「赤毛」。しかしやがてすらりとしたアンの肢体を引き立てる赤褐色になっていく。異なる個性をどのように育み、尊重していけばよいのかを考えていく。 アンの大きなコンプレックス「赤毛」。しかしやがてすらりとしたアンの肢体を引き立てる赤褐色になっていく。長所と短所は裏腹なのだ。登場人物たちは誰もがどこかしら欠点をもっている。作者はそんな欠点に対して優しい。それぞれの違いを認め合い尊敬しあう生き方を最終的に描いていくのだ。第2回は、欠点に向き合って生きる人々の姿を通して、異なる個性というものをどのように育み、尊重していけばよいのかを考えていく。

  • S01E339 モンゴメリ“赤毛のアン” 第3回「“ひたむきさ”が運命を変える」

    • October 15, 2018
    • NHK

    もちまえの「ひたむきさ」で周囲の心を変えていくアン。「偶然の出会い」を自らのものとして、運命を切り開いていくアンの「行動力」と「ひたむきさ」の秘密とは? ひょんなことからミス・バリーを激怒させるアンたち。アンはもちまえの「ひたむきさ」で心からの謝罪を行い、逆に深い信頼を勝ちとる。アンは、いかなるときもこの「行動力」と「ひたむきさ」で「偶然の出会い」や「幸運」を自らのものとして運命を切り開いていく。第3回は、アンの「ひたむきな行動」を通して、偶然の出会いのかけがえなさや、それに気づき活かしていくことで人生を切り開いていく、豊かな知恵を学んでいく。

  • S01E340 モンゴメリ“赤毛のアン” 第4回「宝物は足元にある!」

    • October 22, 2018
    • NHK

    たび重なる不幸に対してアンがくだした決断は、大学に進学するという夢をあきらめること。茂木さんは、それを、与えられた使命を受けとめる「肯定的なあきらめ」だという。 たび重なる不幸に対してアンがくだした決断は、大学に進学するという夢をあきらめること。地元で教師になることで目が不自由になったマリラを支え、グリーンゲーブルスを守っていくという決断だった。それはあきらめでありながら限りない清々しさに満ちている。茂木さんは、それを、与えられた使命を受けとめる「肯定的なあきらめ」だという。第4回は、アンの姿を通して、足元に潜んでいる宝物に気づく方法について考える。

  • S01E341 スピノザ“エチカ” 第1回「善悪」

    • December 3, 2018
    • NHK

    善悪の区別は組み合わせ次第だとらえる「エチカ」。その視点から考えると、その人の活動能力を増大させるものが善であり、減少させるものが悪だとみることができる。 「エチカ」の大きなテーマは、生きていく上で善と悪の区別をどうするかという問題だ。たとえば音楽は、人によって善くも悪くも働くことがある。すべては組み合わせ次第であり、そのもの自体に善悪はない。その視点から善悪を再定義すると、その人の活動能力を増大させるものが善であり、減少させるものが悪だととらえることができる。第1回は、スピノザが再定義した善と悪の見方から、私たちの行為の意味を捉えなおしてみる。

  • S01E342 スピノザ“エチカ” 第2回「本質」

    • December 10, 2018
    • NHK

    古来ものごとの本質は「形」とされてきた。しかし、スピノザは本質を「力」とみることでこれまでとは違った見方を提示する。それぞれの特性にあった力ののばし方とは? 古来ものごとの本質は「形」とされてきた。しかし、スピノザは、本質を「力」とみることでこれまでとは違った見方を提示する。人間もそうした視点でとらえてみると、決められた本質を目指すのではなく、それぞれの特性にあった「力」ののばし方を考えるべきだという発想に変わっていく。第2回は、あらかじめ固定された「形」ではなく、それぞれの環境で独自にのばしうる「力」として本質をとらえるスピノザの人間観に迫る。

  • S01E343 スピノザ“エチカ” 第3回「自由」

    • December 17, 2018
    • NHK

    人間が自由になるとは、何の制約もなくなることではなくその条件にうまく沿って生きることで活動能力を増大させることだと考えるスピノザは自由意志を否定。その真意とは? 人間が自由になるとは、何の制約もなくなることではなくその条件にうまく沿って生きることで活動能力を増大させることだと考えるスピノザは、「自由意志」をも否定する。私たちが一つの行為を選ぶとき、実際には非常に複雑な要因がからまっているにもかかわらず、自由意志が唯一無二の原因で選んでいると単純化してとらえてしまっているという。第3回は、「自由」や「意志」の本来の意味を、スピノザの視点から照らし出す。

  • S01E344 スピノザ“エチカ” 第4回「真理」

    • December 24, 2018
    • NHK

    私たちは真理であるかどうかをどう判定すればよいのか。スピノザが提示するのは、数値やデータではなく「体験」としての認識。近代が切り捨てたもう一つの知のあり方とは? 私たちは、真理であるかどうかをどう判定すればよいのか。スピノザが提示するのは、数値やデータではなく、「体験」としての認識。他者と共有できなくても、体験自体が明々白々と真実性を語るような知のあり方が、科学の一方で、確かにありうるという。第4回は、近代が切り捨ててきた「体験」という知のあり方をスピノザにならって提示し、あらゆるものが数値化、マニュアル化する現代、もう一つの思考のあり方の可能性を考える。

  • S01E345 M・ミッチェル“風と共に去りぬ” 第1回「一筋縄ではいかない物語」

    • January 7, 2019
    • NHK

    第一回は、作家ミッチェルの人となりや執筆背景も探りながら、見事な文体やスカーレットの心の変化を通して、「一筋縄ではいかない物語」の謎を読み解いていく。 大農園主の長女スカーレット・オハラは、愛するアシュリの婚約を知り告白するも心を覆せない。当てつけに彼の婚約者メラニーの兄チャールズの求婚を受け入れる。一部始終を見つめスカーレットに惹かれていくレット・バトラー。ところが南北戦争の勃発は彼ら全員の運命を翻弄していく。チャールズの病死、アトランタへの移住、そして怪しい男バトラーとの再会。スカーレットの恋心も状況の変化によってさまざまに変化していく。

  • S01E346 M・ミッチェル“風と共に去りぬ” 第2回「アメリカの光と影」

    • January 14, 2019
    • NHK

    第2回は、南北戦争でもたらされた絶望的状況の描写を通して、現代アメリカが抱え込んだ根深い問題や私たちの社会が必然的に抱え込んでしまう闇の部分を照らし出していく。 ついに北軍がアトランタへ侵攻。産気づいた親友メラニーの看護で逃げ遅れたスカーレットだったが、バトラーに救出される。途中戦線に参加するためにバトラーとは別れることになるが、なんとか故郷タラへと帰還する。だが彼女を迎えたのは戦争によって荒廃した我が家と家族の姿だった。絶望的な貧困の中で起死回生を誓うスカーレット。しかし北軍の過酷な課税措置は彼女から家や土地を奪い去ろうとしていた。アメリカの光と影とは?

  • S01E347 M・ミッチェル“風と共に去りぬ” 第3回「運命に立ち向かう女」

    • January 21, 2019
    • NHK

    第3回は、作者ミッチェル自身の人生とも重ね合わせながら、その文体にも注目し、運命に立ち向かうスカーレットの力強い生き方の「明」と「暗」を浮き彫りにしていく。 不幸に陥らないためには手段を選ばないと誓ったスカーレットは、妹から資産家の婚約者フランクを略奪。また事業を起こし金の亡者と化す。順風満帆だった彼女だが、秘密結社KKKと黒人たちとの抗争に巻き込まれ命の危険に晒(さら)される。やがてその事件は自分たち家族を悲劇に陥れていく。どん底の中で手段を選ばずに生き抜こうとするスカーレットの生き方は今も賛否が分かれる。ミッチェルはなぜこうした人物像を描いたのか。

  • S01E348 M・ミッチェル“風と共に去りぬ” 第4回「すれ違う愛」

    • January 28, 2019
    • NHK

    第4回は、運命に翻弄されるスカーレットとバトラーを通して、「本当の心に気づけない悲劇」「絶望の中でも人間を生かしていく力」といった現代に通じるテーマを考える。 黒人たちに返り討ちにあい、夫フランクを失うスカーレット。失意にある彼女を救ったのはバトラーだった。数々の因縁を超えて結ばれる二人。しかしアシュリへの思いが捨てきれないスカーレットにバトラーはいらだつ。親友メラニーの遺言によってもう一度深い愛に気づくスカーレット。しかし、時期はすでに遅くバトラーは家を出て行ってしまった。このエンディングは必然だったのか。そして彼女に最後に残されたものとは?

  • S01E349 オルテガ“大衆の反逆” 第1回「大衆の時代」

    • February 4, 2019
    • NHK

    大衆は「みんなと同じ」だと感じることに苦痛を覚えないどころかそれを快楽として生きている存在だと分析するオルテガ。その結果異なる他者を排除してしまう大衆社会とは? 大衆は「みんなと同じ」だと感じることに苦痛を覚えないどころかそれを快楽として生きている存在だと分析するオルテガ。彼らは急激な産業化や大量消費社会の波に洗われ、自らのコミュニティや足場となる場所を見失い、根無し草のように浮遊を続ける。他者の動向のみに細心の注意を払わずにはいられない大衆は、世界の複雑さや困難さに耐えられず、やがて自分とは異なる他者を排除し始めるという。大衆社会の本質を考察する。

  • S01E350 オルテガ“大衆の反逆” 第2回「リベラルであること」

    • February 11, 2019
    • NHK

    オルテガは、大衆化に抗して自由主義(リベラリズム)を擁護する。その本質は野放図に自由だけを追求するものではない。そこには「異なる他者への寛容」が含意されている。 オルテガは、大衆化に抗して、歴史的な所産である自由主義(リベラリズム)を擁護する。その本質は、野放図に自由だけを追求するものではない。そこには「異なる他者への寛容」が含意されている。多数派が少数派を認め、その声に注意深く耳を傾けること。「敵とともに共存する決意」にこそリベラリズムの本質があり、その意志こそが歴史を背負った人間の美しさだというのだ。オルテガの思想から大衆社会への処方箋を読み解く。

  • S01E351 オルテガ“大衆の反逆” 第3回「死者の民主主義」

    • February 18, 2019
    • NHK

    過去や伝統から切り離された民主主義は人々の欲望を暴走させる危険があると警告するオルテガ。社会が先人たちの長い年月をかけた営為の上にあることに気づくべきだという。 過去や伝統から切り離された民主主義は人々の欲望のみを暴走させる危険があると警告するオルテガは、現在の社会や秩序が、先人たちの長い年月をかけた営為の上に成り立っていることに気づくべきだという。数知れぬ無名の死者たちが時に命を懸けて獲得し守ってきた諸権利。死者たちの試行錯誤と経験知こそが、今を生きる国民を支え縛っているのだ。第3回は「死者の民主主義」という視点から民主主義の問題点や限界を究明する。

  • S01E352 オルテガ“大衆の反逆” 第4回「“保守”とは何か」

    • February 25, 2019
    • NHK

    人間は不完全で過ちや誤びゅうを免れることはできない。人間の不完全性を強調し個人の理性を超えた伝統や良識の中に座標軸を求めるオルテガの「保守思想」の内実に迫る。 オルテガは現代人が人間の理性を過信しすぎているという。しかし、どんなに優れた人でもエゴイズムや嫉妬からは自由になることはできない。人間は知的にも倫理的にも不完全で過ちや誤びゅうを免れることはできないのだ。こうした人間の不完全性を強調し個人の理性を超えた伝統や良識の中に座標軸を求めるのが「保守思想」だがオルテガはその源流につながる。長い時間をかけて培われてきた経験知に学ぶ保守思想の本質を明らかにする

  • S01E353 夏目漱石スペシャル 第1回「“三四郎”と歩行のゆくえ」

    • March 4, 2019
    • NHK

    「三四郎」で描かれる体験は、誕生したばかりの近代小説、それを書き始めた漱石、それと出会った当時の読者、産声をあげた近代国家・明治日本のとまどいを象徴している。 「三四郎」で描かれる体験は、まだ誕生したばかりの近代小説、それを書き始めた漱石、それと出会った当時の読者、そして、産声をあげたばかりの近代国家・明治日本のとまどいを象徴している。この作品は、そんな三四郎をつい応援してしまう「応援小説」であり、「小説」「読者」「国家」の成長を追体験する絶好の素材でもある。第1回は、「三四郎」という小説から、産声をあげたばかりの日本の「近代」を読み解く。

  • S01E354 夏目漱石スペシャル 第2回「“夢十夜”と不安な眼」

    • March 11, 2019
    • NHK

    漱石は、今まで築き上げていった文体をいったん手放すように「夢十夜」を書き連ねていく。そこには期せずにして漱石の無意識や言語化できないものが浮かび上がってくる。 漱石は、今まで築き上げていった文体をいったん手放すように夢を素材とした小説を書き連ねていく。そこには、期せずにして、日本文化と西欧文化の間で引き裂かれた漱石の葛藤が浮かび上がってくる。とともに、この作品は、人生でどうしても言語化できない「不可解なもの」「答えのでないもの」への向き合い方を教えてくれる。第2回は、「夢十夜」を通して、答えのでないものを描こうとする小説表現の奥深い可能性に迫っていく。

  • S01E355 夏目漱石スペシャル 第3回「“道草”とお腹の具合」

    • March 18, 2019
    • NHK

    主人公・健三が直面するのは「金銭をめぐる親族たちへの愛着と嫌悪」。それは生涯漱石自身を悩ませ続けた苦悩だった。第3回は「道草」から困難な人生との向き合い方を学ぶ 作家本人の写し鏡ともいえる主人公・健三が直面するのは「金銭をめぐる親族たちへの愛着と嫌悪」。それは生涯漱石自身を悩ませ続けた苦悩だった。漱石は終生悩まされた「胃弱の不快感」と重ね合わせながらそのしがらみを描いていく。どうしようもなく自身をしばり続けた束縛と漱石はどう向き合ったのか。第3回は、「道草」から困難な人生との向き合い方を学ぶ。

  • S01E356 夏目漱石スペシャル 第4回「“明暗”の“奥”にあるもの」

    • March 25, 2019
    • NHK

    未完で終わった「明暗」は、日常の中に底知れぬ「奥」が存在することをさまざまな形で突きつける小説だ。登場人物同士が腹を探りあい騙しあい、対決していく作品でもある 未完で終わった「明暗」は、日常の中に底知れぬ「奥」が存在することをさまざまな形で突きつける小説だ。登場人物同士が腹を探りあい騙(だま)しあい、対決していくこの作品は、やがて読者をもこの騙しあいに巻き込んでいく。人間の意志や努力ではいかんともしがたい、日常の「奥」に横たわる「暗い不思議な力」。それは、ままならぬ人生の中で、漱石が晩年に行き当たった深い諦念を象徴する言葉でもあった。漱石晩年の境地とは?

  • S01E357 マルクス・アウレリウス“自省録” 第1回「自分の内を見よ」

    • April 1, 2019
    • NHK

    ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは、富や名声など自分の外部にあるものにのみに心を動かされると人間は運命に翻弄され心の動揺を招くので「自分の内を見よ」と説く。 ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは、富や名声など自分の外部にあるものにのみに心を動かされると、人間は運命に翻弄され心の動揺を招くという。そうではなく「自分の内を見よ。内にこそ善の泉がある」と説く。外側にではなく内側にこそ価値があり、それを高めていくことこそが真の幸福であるという。そして真の幸福をつかんだときに、人間は全くぶれることがなくなる。第1回は、「自省録」を通して「幸福」の深い意味に迫る。

  • S01E358 マルクス・アウレリウス“自省録” 第2回「他者と共生する」

    • April 8, 2019
    • NHK

    マルクス帝は、どんな裏切りにあってもひとたび許しを乞われば寛容に受け容(い)れた。「自省録」での思索から、憎しみや対立を超え、寛容に生きる方法を学んでいく。 マルクス・アウレリウスは、どんな裏切りにあってもひとたび許しを乞われば寛容に受け容れた。これは多様な民族を抱えるローマ帝国を統治する知恵でもあったが、何よりも自分が学んだストア哲学の「すべての人間は普遍的理性(ロゴス)を分けもつ限りみな等しい同胞である」というコスモポリタニズム(世界市民主義)がベースにあった。第2回は、憎しみや対立を超え、寛容に生きる方法を学んでいく。

  • S01E359 マルクス・アウレリウス“自省録” 第3回「困難と向き合う」

    • April 15, 2019
    • NHK

    マルクス・アウレリウスは困難な出来事や変化は与えられた運命として愛せと説く。その上で自分の意志で動かせることにのみ誠実に取り組み自分の役割を果たすべきだという。 マルクス・アウレリウスは、自らに起こることを自分の権限内のものと権限外のものに峻(しゅん)別。自分の権限外にある困難な出来事や変化は与えられた運命として愛せと説く。その上で、自分の意志で動かせることにのみ誠実に取り組み自分の役割を果たすべきだという。第3回は、「自省録」を通して、自らにふりかかった困難や運命とどう向き合うかを考える。

  • S01E360 マルクス・アウレリウス“自省録” 第4回「“今、ここ”を生きる」

    • April 22, 2019
    • NHK

    マルクス帝は「死」も万物の変化の一つの現象であり、我々が死ぬ時には我々にはもう感覚がないのだから、死に対する恐れの感情も死を忌避する感情ももつ必要はないと説く。 マルクス・アウレリウスは、「死」も万物の変化の一つの現象であり、我々が死ぬ時には我々にはもう感覚がないのだから、死に対する恐れの感情も死を忌避する感情ももつ必要はないと説く。その自覚の上で「一日一日をあたかもその日が最期の日であるかのように」誠実に生き抜くことをすすめるのだ。第4回は、「死」という概念についての「自省録」での哲学的な思索を通して、「死とは何か」を深く問い直していく。

  • S01E361 平家物語 第1回「光と闇の物語」

    • May 6, 2019
    • NHK

  • S01E362 平家物語 第2回「驕(おご)れる者久しからず」

    • May 13, 2019
    • NHK

  • S01E363 平家物語 第3回「衰亡の方程式」

    • May 20, 2019
    • NHK

  • S01E364 平家物語 第4回「死者が語るもの」

    • May 27, 2019
    • NHK

    平家一門は最後の決戦上、壇ノ浦へと追い詰められていく。そこで一人ひとりの最期が克明に描かれる。「平家物語」は、彼らの魂を鎮めようとする物語であるのだ。 平家一門は最後の決戦上、壇ノ浦へと追い詰められる。そこでは一人ひとりの最期が克明に描かれる。優柔不断と親子の情愛により生け捕りにされた宗盛父子、全てを俯瞰(ふかん)し洞察していたが何もできず「見るべき程の事は見つ」といって自害する知盛。それぞれの最期は平家一門の中に必要だったが生かすことができなかった大事なものを浮き彫りにする。また「平家物語」は彼らの魂を鎮めようとする物語だということも見えてくる

  • S01E365 シュピリ“アルプスの少女ハイジ” 第1回「山の上に住む幸せ」

    • June 3, 2019
    • NHK

    心に深い闇を抱え山小屋にひきこもるおじいさんの元にあずけられることになったハイジ。最初は心を閉ざしていたが、ハイジの天真爛漫さに触れ少しずつ心をほどいていく。 心の中に深い闇を抱え、アルムの山小屋にひきこもるおじいさんの元にあずけられることになったハイジ。最初は心を閉ざしていたおじいさんだったが、ハイジの天真爛漫(らんまん)さに触れ少しずつ心をほどいていく。ハイジ自身も大自然の中で、瑞々(みずみず)しい感受性を育んでいく。その成長物語には、子どもがもつ豊かな可能性やそれを育む大自然の豊かさを訴えるシュピリの深い思想性がうかがえる。

  • S01E366 シュピリ“アルプスの少女ハイジ” 第2回「試練が人にもたらすもの」

    • June 10, 2019
    • NHK

    フランクフルトでハイジを待っていたのは足が不自由な娘クララ。過酷な環境は彼女の豊かな心をがんじがらめにし追い詰める。その一方で文化や信仰の素晴しさも学んでいく。 デーテによりフランクフルトに連れ去られてしまうハイジ。ハイジを待っていたのは足が不自由なお金持ちの娘クララ。病弱な彼女のよき友人となるよう申しつけられるハイジが、厳しい執事や都市の過酷な環境は、豊かな心をもったハイジをがんじがらめにし、追い詰めていく。その一方でハイジはクララのおばあさんに文化の素晴らしさを教えてもらう。ハイジは、都市文明から、厳しい抑圧と新たな豊かさという二つの影響を被るのだ。

  • S01E367 シュピリ“アルプスの少女ハイジ” 第3回「小さな伝道者」

    • June 17, 2019
    • NHK

    試練を乗り越えたハイジは、自分が大自然から学んだことと、文明から学んだことを見事に自分の中に融和させ、心の闇をかかえたおじいさんや失意の医師らを再生させていく。 医師の助言により山へ帰れることになるハイジ。厳しい試練を乗り越えたハイジは、自分が大自然から学んだこと、そして文明から学んだことを見事に自分の中に融和させ、心の闇をかかえたおじいさんや、喪失感を抱えて山を訪れた医師クラッセン、ペーターのおばあさんらを再生へと導いていく。第3回は、試練を乗り越えたハイジの境地を読み解き、文明と自然が実は対立せず、手を携えあえることを学んでいく。

  • S01E368 シュピリ“アルプスの少女ハイジ” 第4回「再生していく人びと」

    • June 24, 2019
    • NHK

    アルムの山を訪れることになるクララ。大自然とハイジに導かれるように彼女は再び歩く力を取り戻す。家族を失ったクラッセン医師も移住を決意、再生への一歩を踏み出す。 アルムの山を訪れることになるクララ。大自然とハイジに導かれるように彼女は再び歩く力を取り戻していく。だが、その一方でハイジの友人ペーターの嫉妬心や暴力性も描かれていく。そしてクライマックス、老いや死を迎えねばならないおじいさんに対して、クラッセン医師は、自分もハイジの養父になり一緒に育てていこうと呼びかける。第4回は「人が再生していくには何が必要か?」を考える。

  • S01E369 小松左京スペシャル 第1回「原点は“戦争”にあり」

    • July 1, 2019
    • NHK

    1945年8月15日以降も本土決戦に突き進むという、ありえたかもしれない日本の未来を描く「地には平和を」は現代の豊かさが欺まんではないかという疑問をつきつける。 1945年8月15日以降も本土決戦に突き進むという、ありえたかもしれない日本の未来を描く「地には平和を」は現代人が得た豊かさが隠蔽や欺瞞(まん)の上に成り立っているのではないかという疑問をつきつける。その原点は小松左京の「戦争体験」にあった。第1回は、「地には平和を」を読み解き、「戦争とは何か」「今の日本は本当の豊かさを得ることができたのか」という現代人に突き付けられた問いを考えていく。

  • S01E370 小松左京スペシャル 第2回「滅びとアイデンティティ」

    • July 8, 2019
    • NHK

    未曽有の災害に対して日本人たちがどう立ち向かうかを描いた「日本沈没」。地球物理学者・田所は数年内に日本列島の大部分が海面下に沈むという恐るべき予測を導き出す。 未曽有の災害に対して日本人たちがどう立ち向かうかを描いた「日本沈没」。地球物理学者・田所は数年内に日本列島の大部分が海面下に沈むという恐るべき予測を導き出す。政府は祖国を失った日本人が選択すべき行動計画「D2計画」を策定。パニックに直面しながら日本人たちはついにその日を迎える。この物語には、災害とそこからの復活を日本人のアイデンティティの基礎として見つめなおそうという小松の構想が埋め込まれている。

  • S01E371 小松左京スペシャル 第3回「深層意識と宇宙をつなぐ」

    • July 15, 2019
    • NHK

    精神病院に収容中の念動力を操る美少女マリア・K。精神分析医の伊藤はマリアの深層心理を探り、ついにその底に別の宇宙につながる「超空間の穴」を見つけるのだった。 精神病院に収容中の美少女マリア・K。鋭い牙、頭部に生えた角など不可解な症状をもつ彼女は念動力で寝台を空中に浮かすなどの騒動を起こす。精神分析医の伊藤は、サイコダイビングによってマリアの深層心理を探り、ついにその底に別の宇宙につながる「超空間の穴」を見つけるのだった。深層意識と外宇宙をつなぐ奇抜な小説「ゴルディアスの結び目」は小松左京がインナースペースに豊かな可能性を見つけようとする作品でもある。

  • S01E372 小松左京スペシャル 第4回「宇宙にとって知性とは何か」

    • July 22, 2019
    • NHK

    地球から5.8光年の距離に突如出現した長さ2光年、直径1.2光年という驚異的なスケールの筒状物体「SS」。その謎を解明すべく人類は「人工実存(AE)」を開発。 地球から5.8光年の距離に突如出現した長さ2光年、直径1.2光年という驚異的なスケールの筒状物体「SS」。その謎を解明すべく、科学者・遠藤はAIを超えた「人工実存(AE)」を開発。遠藤の分身たるAEが探査に向かう。そこで、同じくSSの謎にひかれた数多くの異星生命体と遭遇しともに謎に挑んでいく。第4回は「虚無回廊」を読み解き、「宇宙にとって人間存在にどんな意味があるのか」という根源的な問題を考える。

  • S01E373 ロジェ・カイヨワ“戦争論” 第1回「近代的戦争の誕生」

    • August 5, 2019
    • NHK

    近代的戦争の起源は「貴族の戦争」から「国民の戦争」へと本質を変えた「ナポレオン戦争」だった。「国民戦争」は制約を越えて、人的、物的に国家財政の枠まで広げられる。 近代的戦争の起源は「貴族の戦争」から「国民の戦争」へと本質を変えた「ナポレオン戦争」にあった。それは騎士階級や傭(よう)兵ではなく自由のために自ら戦争に参加する「国民」に支えられた戦争。これにより従来王家の財政に制約されていた戦争手段の調達は人的、物的に国家財政の枠まで広げられる。その結果、原理的には国家の破綻に至るまで遂行することが可能になる。第一回は、近代的な戦争の本質に迫っていく。

  • S01E374 ロジェ・カイヨワ“戦争論” 第2回「戦争の新たな次元“全体戦争”」

    • August 12, 2019
    • NHK

    第一次大戦以降、産業は挙げて軍需工場や兵たん基地と化し日常の私的な活動は国家によって制約されるようになった。この事態をカイヨワは「全体戦争」と呼び警鐘を鳴らす。 第一次世界大戦以降、産業は挙げて軍需工場や兵たん基地と化し、日常の私的な活動は国家によって制約され、情報管理とイデオロギー統制によって人間の内面すらも体制に組み込まれ、戦線は空間となって社会全体に浸透するようになった。この事態をカイヨワは「全体戦争」と呼んだ。第2回は、カイヨワが提示した「全体戦争」という概念を読み解くことで、なぜ国民生活の全体が戦争に巻き込まれるようになったかを明らかにする。

  • S01E375 ロジェ・カイヨワ“戦争論” 第3回「内的体験としての戦争」

    • August 19, 2019
    • NHK

    カイヨワは「戦争に惹(ひ)きつけられてしまう人間本性」にメスを入れる。戦争を積極的に引き受けることで新たな人間の価値を見出そうという思想すら現れることを警告する カイヨワは人類学的な視点から「戦争にひきつけられてしまう人間本性」にメスを入れる。兵士の一人ひとりが一個の砲弾や機械部品と同じように消費される戦争を積極的に引き受けることで、新たな人間の価値を見出そうとする人々が現れる。その際に生じる「恍惚(こうこつ)」や「陶酔」は、人間が古来ひかれ続けてきた「聖なるものの顕現」としての「祭り」と酷似する。第3回は戦争にひかれ本性とどう向き合い統御していくか考える

  • S01E376 ロジェ・カイヨワ“戦争論” 第4回「戦争への傾きとストッパー」

    • August 26, 2019
    • NHK

    コンピュータ、人工衛星、核兵器の登場によって戦争が人間の知的能力をはるかに超える事態を迎えた現代。カイヨワの洞察を元に人類が戦争を避けるには何が必要かを考える。 コンピュータ、人工衛星、核兵器の登場によって戦争が人間の知的能力をはるかに超える事態を迎えた現代。戦争が歯止めがきかない自走システムと化す中、カイヨワは無力感に打ちひしがれながらもそのわずかな可能性を「教育」に託す。私たちは彼の洞察を引き継ぎ、人間の本能、思考の枠組みを冷徹に見極め、政治や権力に利用されない方法を模索しなければならない。第4回は、人類が戦争を避けるには何が必要かを考察する。

  • S01E377 大江健三郎“燃えあがる緑の木” 第1回「“四国の森”と神話の力」

    • September 2, 2019
    • NHK

    「燃えあがる緑の木」は、四国の森で展開する、一人の「救い主」の誕生と「教会」創生の物語。第1回は、小説に込められた「神話の力」や「辺境の意味」を読み解いていく。 「燃えあがる緑の木」は、一人の「救い主」の誕生と「教会」創生の物語である。舞台は大江の故郷でもある「四国の谷の森」。主人公・隆は、さまざまな挫折を経て「魂のことをしたい」と願うようになり谷へ向かう。そこで古くからの伝承を語り継ぐ「オーバー」という長老に出会い、かつてこの村のリーダーだった「ギー兄さん」の後継者に指名される。第1回は、小説に込められた「神話の力」や「辺境の意味」を読み解いていく。

  • S01E378 大江健三郎“燃えあがる緑の木” 第2回「世界文学の水脈とつながる」

    • September 9, 2019
    • NHK

    四国の森に「燃えあがる緑の木」教会がついに設立。集った人たちの力で世界文学や宗教書の引用からなる「新たな福音書」や新しい形の「祈り」が生み出されていく。 四国の森に「燃えあがる緑の木」教会がついに設立。ギー兄さんに寄り添い支え続ける両性具有のサッチャン、父親である「総領事」、地元の有力者・亀井さんなど、多くの人たちが集い始める。彼らの協力を得ながら、古今の文学や宗教書の引用からなる「新たな福音書」や新しい形の「祈り」が生み出されていく。そのプロセスには、大江が続けてきた世界文学との対話の成果が縦横に生かされていた。大江がそこに込めた思想とは?

  • S01E379 大江健三郎“燃えあがる緑の木” 第3回「信仰なき“祈り”は可能か?」

    • September 16, 2019
    • NHK

    弱さを露呈したギー兄さんに失望したサッチャンは彼の元を去ることを決意。行き場のなくなった彼女は自らを傷つけるかのごとく性的な放蕩(とう)を繰り返す。その意味とは ギー兄さんは教会のヴィジョンを示すべき説教の場で突然うずくまるように倒れこんでしまう。失望したサッチャンはギー兄さんの元を去ることを決意。行き場のなくなった彼女は自らを傷つけるかのごとく性的な放とうを繰り返す。大江の描く「救い主」や「教会」は既存の宗教に比べて圧倒的にぜい弱で時にその脆(もろ)さを露呈してしまう。果たしてその意味は?第3回は既存の宗教によらない「祈り」や「魂の救済」は可能かを考える

  • S01E380 大江健三郎“燃えあがる緑の木” 第4回「一滴の水が地面にしみとおるように」

    • September 23, 2019
    • NHK

    教会では組織防衛を強化しようとするグループと村出身者の間で対立が激化。そんな教会に対してギー兄さんは決別を宣言、原点に戻るべく巡礼へ。そこに悲劇が待っていた。 教会では組織防衛を強化しようとするグループと村出身の教会員の間で対立が激化。そんな教会に対してギー兄さんは決別を宣言、原点に戻るべく巡礼へと旅立つ。だがその途上で再び迫害を受け命を落とす。「根拠地か巡礼か」「組織か個か」という二極に引き裂かれながらもその矛盾を引き受け特定の宗教によらない「祈り」を求めるギー兄さんの姿は大江本人の営みとも重なる。第4回は「人間にとって魂の救済とは何か」を深く考える。

  • S01E381 西田幾多郎“善の研究” 第1回「生きることの“問い”」

    • October 7, 2019
    • NHK

    認識する主体/認識される対象という西洋哲学の二元論を乗り越えるために「愛」という独自の概念を用いて「知」のあり方を根本から問い直す西田幾多郎の哲学の根本に迫る。 認識する主体/認識される対象という二元論によって構築されてきた西洋哲学。それを乗り超えるために格闘してきた西田幾多郎は、「愛」という独自の概念で、「知」のあり方を根本から問い直す。冷たく対象を突き放すのではなく、あえて対象に飛び込み没入していくことで対象の本質をつかみとる作用を「愛」と呼び、「知」の中にその作用を取り戻そうというのだ。第1回は「知」の新たな形を追求した西田幾多郎の奥深い思索に迫る。

  • S01E382 西田幾多郎“善の研究” 第2回「“善”とは何か」

    • October 14, 2019
    • NHK

    西田幾多郎が東洋思想から練り上げていった独自の哲学では、善は人間の中に「可能性」として伏在しており、いかにしてそれを開花させていくかが重要であるという。 西田幾多郎が東洋思想から練り上げていった独自の哲学では善は人間の中に「可能性」として伏在しており、いかにしてそれを開花させていくかが重要であるという。そのためには、主体/客体という敷居を超えて「他者のことを我がこととしてとらえる」視座が必要であり、真にその境地に立てたときに「人格」が実現される。それこそが善なのである。第2回は、西田がこの著作の根本に据えた「善とは何か」という問いに迫っていく。

  • S01E383 西田幾多郎“善の研究” 第3回「“純粋経験”と“実在”」

    • October 21, 2019
    • NHK

    音楽を聴くという体験は単なる物質過程ではない。主体も客体も分離される以前のあるがままの「純粋経験」が何にも先立って存在する。そこにたち現れる「実在」とは何か? 音楽を聴くという体験は音源から伝わる空気の振動を感覚器官がとらえるという物質過程ではなく、主体も客体も分離される以前のあるがままの経験が何にも先立って存在する。これを「純粋経験」という。この立場から世界を見つめると、私たちが「実在」とみなしてきたものは、単なる抽象的な物体ではなく、世界の根底でうごめている「一なるもの」の「働き」としてとらえ直されるという。第3回は西田幾多郎の根本概念に迫る。

  • S01E384 西田幾多郎“善の研究” 第4回「“生”と“死”を超えて」

    • October 28, 2019
    • NHK

    西田が晩年にたどり着いたのが「絶対矛盾的自己同一」という概念だ。主観と客観、一と多といった一見対立する者同士が実は相補的であり根源においては同一であるという。 西田が晩年にたどり着いたのが「絶対矛盾的自己同一」という概念だ。主観と客観、一と多といった一見対立する者同士が実は相補的であり根源においては同一であるというこの考え方は、自らの子供と死別するという実体験を通して獲得したものだという。生と死は一見矛盾しながらもその対立を超えて一つにつながっているものだというのだ。第4回は西田哲学の中で最も難解とされる「絶対矛盾的自己同一」という概念を解きほぐす。

  • S01E385 ドストエフスキー“カラマーゾフの兄弟” 第1回「過剰なる家族」

    • December 2, 2019
    • NHK

    地主フョードル・カラマーゾフの三人の息子、熱血漢の長男ドミートリー、無神論者の次男イワン、修道僧の末弟アリョーシャ。作品の基本設定からみえる作者の世界観とは? 田舎地主フョードル・カラマーゾフの三人の息子、熱血漢の長男ドミートリー、無神論者の次男イワン、修道僧の末弟アリョーシャ。財産相続問題を話し合うため三兄弟が集結したがゾシマ長老の仲裁にもかかわらず決裂。問題をややこしくしているのは父とドミートリーがグルーシェニカという妖艶な女性を取り合っていたことだった。果たしてこの問題の行方は?第1回は作者がこの物語に仕掛けた人間観や世界観を浮き彫りにしていく。

  • S01E386 ドストエフスキー“カラマーゾフの兄弟” 第2回「神は存在するのか」

    • December 9, 2019
    • NHK

    次男イワンは絶対的な悪が存在する以上「神が創ったこの世界は認めない」と末弟アリョーシャに議論を投げかける。信仰上の激しい揺らぎを経験するアリョーシャの運命は? 次男イワンは、絶対的な悪が存在する以上「神が創ったこの世界は認めない」と末弟アリョーシャに議論を投げかけ「人間は所詮自由の重荷に耐えられずパンを授けてくれる相手にひれ伏すだけだ」と告げる。さらに尊敬する師ゾシマ長老の死にも直面したアリョーシャは信仰上の激しい揺らぎにさらされる。第2回は、「神は存在するのか」「存在しなかったとしたら全ては許されるのか」という根源的な問いに迫る。

  • S01E387 ドストエフスキー“カラマーゾフの兄弟” 第3回「“魂の救い”はあるのか」

    • December 16, 2019
    • NHK

    ゾシマ長老が死に絶望するアリョーシャだが、夢の中で再会し歓喜に満たされて大地と口づけをする。ドミートリーは、葛藤を乗り越えグルーシェニカと互いに愛を確かめ合う。 ゾシマ長老が死に絶望するアリョーシャだが、夢の中で再会し歓喜に満たされて何かに打たれたように大地と口づけをする。一方、狂おしいまでに金と欲望に翻弄され続けていたドミートリーだが、彼の情熱にほだされたグルーシェニカとついに互いの愛を確かめ合うのだった。彼らの姿には、善悪の矛盾に引き裂かれつつも、決して失われることのない生命の輝きがある。第3回は、引き裂かれた魂に救いがありうるのかを考える。

  • S01E388 ドストエフスキー“カラマーゾフの兄弟” 第4回「父殺しの深層」

    • December 23, 2019
    • NHK

    いったい父親を殺しのは誰か? 真っ先に疑われたのが日頃から「父殺し」を公言していた長男ドミートリー。弁明むなしく彼はシベリアへ流刑。だが真犯人はほかにいたのだ。 いったい父親を殺しのは誰か?真っ先に疑われたのが日頃から「父殺し」を公言していた長男ドミートリー。裁判での弁明もむなしく彼はシベリア流刑。しかし、実際に彼を殺したのは使用人のスメルジャコフだった。しかも彼はイワンの「神も不死もなければ全ては許される」という無神論にそそのかされて実行しただけだと言いイワンも共犯だという。第4回は、人類に普遍的な欲望だとされる「父殺し」の欲望とは何かを深く探っていく。

  • S01E389 呉兢“貞観政要” (1)「優れたリーダーの条件」

    • January 6, 2020
    • NHK

    「世界最高のリーダー論」の一つといわれる「貞観政要」。意外にも「何もしないのが理想のリーダーだ」と記されている。その真意とは? 理想のリーダー像を読み解く。 「世界最高のリーダー論」の一つといわれる「貞観政要」。リーダーの器はどう論じられているのか? 意外にも「何もしないのが理想のリーダーだ」と記されている。真のリーダーは、プライドや見栄などで自らの器をいっぱいにするのではなく、むしろそれらを上手に捨て器を空にすることで、部下の諫言に耳を傾け、新しい価値観を吸収し、自らを律することができるのだという。第1回は、理想のリーダーのあり方を考えていく。

  • S01E390 呉兢“貞観政要” (2)「判断の座標軸を持て」

    • January 13, 2020
    • NHK

    「判断をする上でいかにきちんとした基準をもてるか?」は、リーダーの最も大切な条件の一つである。太宗・李世民は、巧みなたとえを駆使して判断の座標軸を示していく。 「判断をする上でいかにきちんとした基準をもてるか?」 これはリーダーの最も大切な条件の一つである。李世民は、「三つの鏡」のたとえを使って巧みにその判断基準を説いていく。自らの姿を映す銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡を大切にせよという。また短期的な利害ではなく、長期的にふかんしてみる「時間軸」思考も大切だと説く。第二回は、人が生きていく上で、また組織運営の中で、どのような座標軸をもつことが大切かを考えていく

  • S01E391 呉兢“貞観政要” (3)「チームの力を鍛える」

    • January 20, 2020
    • NHK

    「チーム力をいかに鍛えるか?」 組織を軌道にのせ発展させていくための最も大事なポイントだ。中でも大切なのは、「部下にまかせて待つこと」だと太宗・李世民はいう。 「チーム力をいかに鍛えるか?」 組織を軌道にのせ発展させていくための最も大事なポイントの一つである。チームの力を最大限に引き出すために何よりも大切なのは、「部下にまかせて待つこと」、そして「信用すること」。全てを自分でかかえこまず、部下を信用してまかせること。そのときはじめて、部下やチームは最大限の力を発揮するという。第3回は、家族、会社等々のチーム力を鍛えていくために何が必要かを考えていく。

  • S01E392 呉兢“貞観政要” (4)「組織をどう持続させるか」

    • January 27, 2020
    • NHK

    「創業」と「守成」ではどちらが大切かという李世民の問いに重臣たちの意見が真っ二つ。双方の意見を評価しつつ彼は「今、安定期であるが故に守成こそ大切だ」と強調する。 「創業」と「守成」ではどちらが大切かという李世民の問いに、重臣たちの意見が真っ二つに分かれる。双方の意見を評価しながらも、李世民は「今まさに安定期であるがゆえに守成こそおろそかにしないようにしよう」と呼びかける。難易度は同じだが人が陥りがちなのは「守成」の問題。そこで李世民やその重臣たちは「後継者選びの大切さ」「敵対勢力への寛容」など、組織が長期に持続するための要諦を具体的に説いていく。

  • S01E393 ヴァーツラフ・ハヴェル“力なき者たちの力” (1)「“嘘(うそ)の生”からなる全体主義」

    • February 3, 2020
    • NHK

    独裁と消費社会が結びつくことで生まれた「ポスト全体主義」。それは「倫理的な高潔さと引き換えに物質的な安定を犠牲にしたくない」という欲望につけこむ体制だった。 巧妙な官僚支配体制、監視社会等二十世紀の暗部の集積地となったプラハ。独裁と消費社会が結びつくことで生まれた「ポスト全体主義」という現象だ。それは強圧的な独裁ではなく「精神的・倫理的な高潔さと引き換えに、物質的な安定を犠牲にしたくない」という人々の欲望につけこむ形で監視システムと個人の生を複雑に縛るルールをいきわたらせる社会体制だ。第1回は、現代にも通じる「ポスト全体主義」とは何かに迫る。

  • S01E394 ヴァーツラフ・ハヴェル“力なき者たちの力” (2)「“真実の生”を求めて」

    • February 10, 2020
    • NHK

    「ポスト全体主義」に対抗するためには、「人間らしく暮せるか否か」という基本に立ち返り、人間の「いま、ここ」を起点として「真実の生」を求め続ける必要があるという。 「ポスト全体主義」に対抗するには「人間らしく暮せるか否か」という基本に立ち返り、人間の「いま、ここ」を起点として政治運動を再構築する必要があるという。「真実の生」を求めたハヴェルたちのこうした運動は、21世紀のさまざまな問題を先取りしており、そこで生み出された知恵や思想には現代の問題を解決する大きなヒントも溢(あふ)れている。第2回は、一人ひとりの人間が社会を変えていくには何が必要かを考える。

  • S01E395 ヴァーツラフ・ハヴェル“力なき者たちの力” (3)「並行文化の可能性」

    • February 17, 2020
    • NHK

    ポスト全体主義下のチェコでは、地下出版、自主講座等公的領域とは独立した活動の場が次々と拡大、体制を揺さぶり始める。「並行文化」と呼ばれる市民の活動の可能性とは? あるロックバンドが結婚式で演奏しただけで、治安を乱した罪で逮捕。これを契機に「他者の自由のために立ち上がらなければ自分たちも自由を断念することになる」という機運が人々の間に芽生えていった。同時に、地下出版、アングラ・ミュージック、自主講座など公的な領域とは独立した活動の場が次々と拡大、体制を揺さぶり始める。第3回は、ハヴェルが「並行文化」と呼ぶ市民たちの活動に注目し、その可能性を深く考察する。

  • S01E396 ヴァーツラフ・ハヴェル“力なき者たちの力” (4)「言葉の力」

    • February 24, 2020
    • NHK

    言葉は、ある時は真実を覆い隠し人々を「見せかけの世界」に埋没させる恐ろしさを持つが、一方で、動かしがたい強固な現実をずらし、人々を真実の生へと解放する力をもつ。 劇作家でもあったハヴェルは、生涯「言葉の問題」を追究し続けた。イデオロギーとして働く言葉は真実を覆い隠し、人々を「見せかけの世界」に埋没させる恐ろしさを持つ。その一方で、言葉は、動かしがたい強固な現実をずらしていくことで、人々を「真実の生」へと解放しゆく、市民たちの武器ともなりうる。第4回は、この著作と合わせて、戯曲や「視覚詩」なども読み解き、言葉のもつ「闇」と「可能性」を浮き彫りにしていく。

  • S01E397 アーサー・C・クラークスペシャル (1)「太陽系最後の日」

    • March 2, 2020
    • NHK

    太陽は七時間後に新星爆発し地球壊滅は避けられない運命だった。異星文明の銀河調査船が人類を救うべく行動を開始するが何も見つからない。人類はすでに滅び去ったのか? 太陽は七時間後に新星爆発し地球壊滅は避けられない運命だった。異星文明の銀河調査船が人類を救うべく行動を開始するが地球上にはすでに生命の気配すらない。人類はすでに滅び去ったのか? 救出をあきらめたとき異星人たちは驚くべき光景を目の当たりにした。第一回は、「人間にとって知的探求心とは何か?」「それがなぜ大切なのか?」を考え、人間の中にある限りない可能性に光を当てる。

  • S01E398 アーサー・C・クラークスペシャル (2)「幼年期の終わり」

    • March 9, 2020
    • NHK

    地球上空に突如飛来したオーバーロードと呼ばれる異星人たちは、高度な科学力で人類を統治し平和をもたらす。彼らは実は人類を新しい段階へ進化させるための産婆役だった。 地球上空に突如飛来したオーバーロードと呼ばれる異星人たちは、高度な技術と管理能力で、人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらす。彼らは実は、オーバーマインドという更なる上位者の命を受け、人類を全く想像もできない新たなステージへ進ませるための産婆役だった。人類という存在を超える進化とは何か? それは人類にとって本当に必要なのか?第2回は、人類にとって進化や進歩とは何かという普遍的な問題を考える。

  • S01E399 アーサー・C・クラークスペシャル (3)「都市と星」

    • March 16, 2020
    • NHK

    人類の誕生や死までを完璧にコントロールする理想的な人工都市「ダイアスパー」。しかし、それは人間の知的好奇心や冒険心といったものまでむしばむディストピアだった。 人類の誕生や死までを完璧にコントロールする人工都市「ダイアスパー」。それは銀河帝国崩壊によって地球に帰還した人類が創りあげたユートピア。人間の感情すら完全に管理され安全と平和が保たれているかにみえたこの都市は、しかし、人間の知的好奇心や冒険心といったものまでむしばんだ。ユートピアの極限が実はディストピアだったのだ。この「ダイアスパー」に風穴を開けようと立ち上がった主人公アルヴィンの運命は?

  • S01E400 アーサー・C・クラークスペシャル (4)「楽園の泉」

    • March 23, 2020
    • NHK

    地上3万6000kmという壮大な「宇宙エレベーター」建設に挑む天才技術者・モーガン。しかし彼の前に大きな壁が立ちはだかる。果たして彼の希望や努力はかなうのか? 地上3万6000kmという壮大な「宇宙エレベーター」建設に挑む天才技術者・モーガン。しかし彼の前に大きな壁が立ちはだかる。安全に「宇宙エレベーター」を建設できる候補地は地上でただ一つ、聖なる山スリカンダ。しかしそこには深い歴史と文化を秘めた寺院があった。宗教者たちの理解を得て建設は可能なのか? そして技術的なハードルや自然環境がもたらす厳しい条件はクリアできるのか? 技術者たちの夢や努力に迫る。

  • S01E401 コッローディ“ピノッキオの冒険” (1)「統一国家とあやつり人形」

    • April 6, 2020
    • NHK

    一本の丸太がジェッペットさんによってあやつり人形に。ピノッキオと名付けられかわいがられるも、束縛は嫌だとばかりに逃げ出してしまう。果たしてピノッキオの運命は? 一本の丸太がジェッペットさんによってあやつり人形に。ピノッキオと名付けられかわいがられるも、束縛は嫌だとばかりに逃げ出してしまう。破天荒なピノッキオの姿には賢(さかし)らに秩序への服従を強要してくる新国家に対する作者の反発も込められていた。第1回は、作者の人となりも交え、子どもたちの生命力を象徴するようなピノッキオの破天荒さ、服従を強要するものへの根深い反発などを通し人間社会にある光と闇を見つめる

  • S01E402 コッローディ“ピノッキオの冒険” (2)「嘘(うそ)からの成長」

    • April 13, 2020
    • NHK

    強盗に化けた猫ときつねに追われとうとうつるし首になるピノッキオ。児童文学の結末とも思えない結末に子どもたちから「続けてほしい」との嘆願書が。ピノッキオはどうなる 強盗に化けた猫ときつねに追われとうとうつるし首になるピノッキオ。児童文学の結末とも思えない結末に子どもたちから「物語を続けてほしい」との嘆願書が。そこで作者は強引なやり方で物語を続行。青い髪の仙女に命を助けられたピノッキオは、ウソをつくと鼻が伸びてしまうという事実に直面。だがそれは決して戒めではなかった。第2回は、ピノッキオの試練を通して人間の成長にとって「嘘」や「死」が何をもたらすのかを考える。

  • S01E403 コッローディ“ピノッキオの冒険” (3)「子どもめぐる労働と不条理」

    • April 20, 2020
    • NHK

    「働きバチの村」で飢えるピノッキオは、お金や食べ物を恵んでほしいと頼み込むが、人々は「対価が欲しければ働け」と冷たくつきはなす。その時、怠け者のピノッキオは? 「働きバチの村」で飢えるピノッキオは、お金や食べ物を恵んでほしいと頼み込むが、人々は「対価が欲しければ働け」と冷たくつきはなす。牧歌的だったイタリアが、産業文明の急速な流入で翻弄されている様子や子どもを労働の道具としてしかみない当時の大人たちの価値観がうかがえる。第3回は、本当の教育のあり方や子どもたちの窮状にどう手を差し伸べるかといった、現代に通じる作者のメッセージを読み解く。

  • S01E404 コッローディ“ピノッキオの冒険” (4)「“帰郷”という冒険」

    • April 27, 2020
    • NHK

    巨大ザメにあえなく飲まれてしまうピノッキオだが、そこで愛するジェッペットさんと再会。脱出に成功後、自らを犠牲にして皆を助けようと奮闘。その結果、ピノッキオは? 冒険の果てに、巨大ザメにあえなく飲まれてしまうピノッキオだが、そこで愛するジェッペットさんと再会する。脱出に成功後、自らを犠牲にしてジェッペットさんや仙女を助けようと奮闘。その結果、ピノッキオは? 一見、教訓話にみえる結末だが、いたずらや悪行の限りを尽くしたピノッキオの人生を温かく肯定的に見つめる視点も示される。第4回は、光も闇も含めて人間を肯定する作者の深い人間観に迫っていく。

  • S01E405 平家物語 (1)「光と闇の物語」

    • May 4, 2020
    • NHK

  • S01E406 平家物語 (2)「驕(おご)れる者久しからず」

    • May 11, 2020
    • NHK

  • S01E407 平家物語 (3)「衰亡の方程式」

    • May 18, 2020
    • NHK

  • S01E408 平家物語 (4)「死者が語るもの」

    • May 25, 2020
    • NHK

    平家一門は最後の決戦上、壇ノ浦へと追い詰められていく。そこで一人ひとりの最期が克明に描かれる。「平家物語」は、彼らの魂を鎮めようとする物語であるのだ。 平家一門は最後の決戦上、壇ノ浦へと追い詰められる。そこでは一人ひとりの最期が克明に描かれる。優柔不断と親子の情愛により生捕にされた宗盛父子、全てを俯瞰(ふかん)し洞察していたが何もできず「見るべき程の事は見つ」といって自害する知盛。それぞれの最期は、平家一門の中に必要だったが生かすことができなかった大事なものを浮き彫りにする。また「平家物語」は、彼らの魂を鎮めようとする物語だということも見えてくる

  • S01E409 カント“純粋理性批判” (1)「近代哲学の二大難問」

    • June 1, 2020
    • NHK

    近代人たちは「科学は客観的な根拠をもっているのか」「科学で世界の全てが説明できるとしたら自由に居場所はあるのか」という難問に直面した。カントはどう解決したのか? 近代科学が勃興し始めた18世紀ヨーロッパ。近代人たちは二つの大きな難問に直面した。「科学は本当に客観的な根拠をもっているのか」、そして「科学で世界の全てが説明できるとすると人間の価値や道徳などの居場所はあるのか」。カントは、認識主体によって構成される世界を「現象界」とし、人間が決して経験できない世界そのものを「物自体」と呼んで認識能力が扱える範囲外に位置付けることで、難問を解決しようとするのだ。

  • S01E410 カント“純粋理性批判” (2)「科学の知は、なぜ共有できるのか」

    • June 8, 2020
    • NHK

    「時間」「空間」という形式で受容された直観を「悟性」によって「カテゴリー」に当てはめて統一することで初めて万人が共有できる「知」が成り立つというカント認識論。 私たちは「時間」「空間」という眼鏡をかけて世界を認識しており、その規格が共通だからこそ科学や数学が客観性をもつというカント。更にもう一つの共通規格である「悟性」が、感覚的素材を量、質、関係、様態といった「カテゴリー」に当てはめて統一することで初めて万人が共有できる「知」が成り立つという。第2回は、認識能力の限界を見極めるカントの洞察を通して、「人間が何を知りえて、何を知りえないか」を明らかにする。

  • S01E411 カント“純粋理性批判” (3)「宇宙は無限か、有限か」

    • June 15, 2020
    • NHK

    「宇宙は無限か有限か」。宇宙に始まりがあるとすると、その前には時間が存在せずいかなる出来事も生じないことに。逆もまたしかり。この矛盾をカントはどう解消したのか? 「宇宙は無限か有限か」。宇宙に時間的な始まりがあるとすると、その前には時間が存在しないことになり、いかなる出来事も生じず宇宙は誕生しないことになる。逆もまたしかり。対立するどちらの論も成り立つ矛盾をアンチノミーと呼び、この検証を通じてカントは理性の限界を鮮やかに浮かび上がらせる。第3回は、理性が自ら陥ってしまう誤びゅうの解明を通して、理性や科学的思考への過信に警告を鳴らす。

  • S01E412 カント“純粋理性批判” (4)「自由と道徳を基礎づける」

    • June 22, 2020
    • NHK

    「神」「魂の不死」を前提とせねば道徳や倫理は全く無価値なものになる。カントはそれらを「認識の対象」ではなく実践的な主体に対して「要請された観念」だと位置づける。 「神の存在」「魂の不死」を前提としなければ道徳や倫理は全く無価値なものになると考えたカントは、それらを「認識の対象」ではなく、実践的な主体に対して「要請された観念」だと位置づける。科学によって居場所を失いつつあった価値や自由といった人間的な領域を基礎づけようとしたのだ。第4回は、道徳の復権を目指したカントの思索を通して、知識や科学だけでは解決できない「人間的価値や自由の世界」を深く見つめ直す。

  • S01E413 吉本隆明“共同幻想論” (1)「焼け跡から生まれた思想」

    • July 6, 2020
    • NHK

    吉本を決定的に変えたのは戦争体験だった。昨日まで信じていたものがすべてひっくり返る混沌の中で、吉本が生みだした概念が「関係の絶対性」。そのねらいとは何か? 吉本を決定的に変えたのは戦争体験だった。昨日まで信じていたものがすべてひっくり返る混沌の中で、吉本が生みだした概念が「関係の絶対性」。一人でどれだけつきつめて考えぬき辿(たど)り着いた「正しさ」も間違う可能性がある。他者との関係性の中からしか「正しさ」は導き出せないのに人はそのことを忘却している。この概念を出発点に吉本は国家を共同幻想ととらえる視座を獲得していく。この概念のねらいを読み解いていく。

  • S01E414 吉本隆明“共同幻想論” (2)「“対幻想”とはなにか」

    • July 13, 2020
    • NHK

    人間の関係性には、論理以前に必ず好悪の感情がまとわりつく。吉本はこれをエロス的な関係と呼び、そこから生まれる「対幻想」が、国家形成のベースにあることを解明する。 人間には、他者と関係する場合に必ず「性」として関係する根源的な在り方がある。好いたり好かれたり嫉妬したりされたり。それは男女の関係に限らない。あの上司が嫌いだ、この研究者とはそりが合わない等々人間の関係性には、論理以前に必ず好悪の感情がまとわりつく。吉本はこれをエロス的な関係と呼び、そこから生まれる「対幻想」が、国家のような「共同幻想」が形成されるベースにあるという。吉本の対幻想論を解き明かす。

  • S01E415 吉本隆明“共同幻想論” (3)「国家形成の物語」

    • July 20, 2020
    • NHK

    古事記を分析すると国家形成は「罪の自覚」「倫理の発生」「法の形成」という過程を経ることがわかる。そこから人間がなぜ国家という束縛から自由になれないかを解明する。 古事記を分析すると国家形成は「罪の自覚」「倫理の発生」「法の形成」といったプロセスを経ることがわかる。例えばスサノオの神話には「対幻想」と「共同幻想」に引き裂かれる人間の在り様が象徴的に表現され、人間社会が「血」や「性」でつながる氏族集団から「法」を基盤とする国家へと変貌するプロセスがたどれる。第三回は、国家成立プロセスを解き明かし人間がなぜ国家という束縛から容易に自由になれないかを明らかにする。

  • S01E416 吉本隆明“共同幻想論” (4)「“個人幻想”とはなにか」

    • July 27, 2020
    • NHK

    吉本は国家をどう相対化し個人が自立できるかを問う。その際の鍵が「沈黙の有意味性」。庶民たちが日常に根をはりながら沈黙をもって問い始める「違和感」に注目するのだ。 吉本は国家をどう相対化し個人が自立できるかを問う。その際の鍵概念が「沈黙の有意味性」。吉本にとって沈黙とは国家を沈黙をもって凝視するということが含意される。声高に国家を批判することでは何も変わらない。庶民たちが日常に根をはりながら沈黙をもって問い始める「違和感」や「亀裂」。そうした日々の生活感に寄り添いながら思考を紡いでいくことにこそ人が自立して思考する拠点があるとする吉本思想の核心に迫る。

  • S01E417 ミヒャエル・エンデ“モモ” (1)「モモは心の中にいる!」

    • August 3, 2020
    • NHK

    みすぼらしいほどちっぽけな存在「モモ」。だけど彼女に話を聞いてもらうと、どんなに打ちひしがれている人もたちまち元気を取り戻す。その秘密「聴く力」とはなにか? みすぼらしいほどちっぽけな存在「モモ」。だけど彼女に話を聞いてもらうと、どんなに打ちひしがれている人もたちまち元気を取り戻す。その秘密は「聴く力」。一流のカウンセラーにも通じるこの力は、いいかえれば「自分を空っぽにすることで他者を迎え入れ、よい方向に導いていく力」。誰の心の中にもこんな「モモ」が住んでいるのだ。第1回は、モモがもっている「聴く力」を通して、私たちがより豊かに生きるヒントを探る。

  • S01E418 ミヒャエル・エンデ“モモ” (2)「時間を奪う“灰色の男たち”」

    • August 10, 2020
    • NHK

    灰色の男たちの巧妙な詐術によって街の人々は自分が過ごしていた豊かな時間を無駄なものだと思い込む。豊かな時間を奪われ荒んでいく人々の運命は?時間の本質を問いかける 灰色の男たちの巧妙な詐術によって街の人々は自分が過ごしていた豊かな時間を無駄なものだと思い込み、「時間貯蓄銀行」に預け始める。その結果、豊かな時間を失った人々の心はますますすさみ、子どもたちは自由な時間を奪われ管理されていった。「灰色の男たち」は効率主義的、物質主義的な世界観を象徴だともいわれる。第2回は、「灰色の男たち」が奪った「時間」を見つめることで、私たちにとって「時間とは何か?」を考える。

  • S01E419 ミヒャエル・エンデ“モモ” (3)「時間とは“いのち”である」

    • August 17, 2020
    • NHK

    「時間の国」で時間を司るマイスター・ホラに出会うモモ。彼が見せてくれたのは間が生まれる瞬間の光景。そしてモモは「時間はいのちそのものである」という真理に気づく。 「時間の国」で時間を司るマイスター・ホラに出会うモモ。彼が見せてくれたのは、時間が生まれる瞬間の光景。そこでモモは「時間はいのちそのものである」という真理に気づかされる。そして、この世には自分というちっぽけな存在を超えた根源的な働きがあることにも。第3回は、エンデの根源的な哲学が表現されている章を読み解き、「時間とは何か?」「いのちとは何か?」「死とは何か?」という本質的な問いについて考える。

  • S01E420 ミヒャエル・エンデ“モモ” (4)「“受動”から“能動”へ」

    • August 24, 2020
    • NHK

    「時間の国」から帰還したモモは、時間を奪われた友だちを助けるため行動を開始する。そしてモモがたった一人で挑んだ戦いがやがて世界を元通りにする。その秘密に迫る。 「時間の国」から帰還したモモは、時間を奪われた友だちを助けるため行動を開始する。そしてモモがたった一人で挑んだ戦いがやがて世界を元通りにする。何の力もないちっぽけな女の子がどうしてそんな勇気を得ることができたのだろうか? その理由は「直観」や「深層意識」に支えられた「受動から能動への転換」があった。第4回は、モモの「受動から能動への転換」に秘められた、人間が世界を変えていく可能性を読み解く。

  • S01E421 デフォー“ペストの記憶” (1)「パンデミックにどう向き合うか?」

    • September 7, 2020
    • NHK

    デフォーはペストを単に肉体的な病気として見るのではなく、その精神的な影響にも注目していた。人間はどうしたらパンデミックを前に心の安定をはかれるのかを問いかける。 デフォーは、『ペストの記憶』の中で、疫病が流行しているとき、どのような心構えが必要かについて入念に記している。デフォーはペストを単に肉体的な病気として見るのではなく、その精神的な影響にも注目していたのだ。その認識は、作品の各所で描かれ、この著作の文学的な価値を高めている。第1回は、パンデミックを前に、人はどのように精神の健康を保つことができるのだろうかを作品を読み解きながら考える。

  • S01E422 デフォー“ペストの記憶” (2)「生命か、生計か?究極の選択」

    • September 14, 2020
    • NHK

    主人公H.F.はペストを逃れるために疎開すべきか商売のためにロンドンに残るべきか悩む。疫病のまん延を防ぐことと経済活動を維持することとの矛盾は、解決できるのか? 『ペストの記憶』の冒頭で、語り手のH.F.はペストを逃れるために田舎に疎開すべきか商売のためにロンドンに残るべきか悩む。他にも疫病のまん延を防ぐことと、経済活動を維持することとの矛盾は、本書の至るところに見てとれる。それらの描写は、まさに新型コロナウィルス禍の中で世界中の人々が直面している問題と重なる。第2回は、パンデミックのさなかで、人間はどうやったら、生命の安全と経済を両立できるのかを考える。

  • S01E423 デフォー“ペストの記憶” (3)「管理社会VS市民の自由」

    • September 21, 2020
    • NHK

    パンデミックに対して、行政府の政策はどこまで有効で、どのような問題をはらんでいるのか? ロンドン行政府の成功や失敗を検証することで、政治のあり方を深く考える。 『ペストの記憶』で、主人公は、ロンドンの行政府がいかに手際よくペストに対処したかをほめる一方、感染者を出した家屋の封じこめや、ロンドンからの逃亡者への厳しい措置が生んだ悲劇も記されている。その上で、行政が市民の身体を管理する、という近代的な政治のあり方について鋭く問いかける。第3回は、パンデミックに対して、行政府の政策はどこまで有効で、どのような問題をはらんでいるのかを考える。

  • S01E424 デフォー“ペストの記憶” (4)「記録すること、記憶すること」

    • September 28, 2020
    • NHK

    後世の人々の記憶に残るように事件を記録する方法を考え抜いたデフォー。パンデミックなどの大災害についていかに記録し記憶すべきなのかを、彼の筆致から考える。 『ペストの記憶』は、実際にあったペスト流行についてリアルに再現した記録文学であるが、同時にフィクションとしての魅力も備えている。デフォーは、どうしてこのような形で記録したのか。そこには、後世の人々の記憶に残るように事件を記録する方法を考え抜いたデフォーの思いが込められている。第4回は、パンデミックなどの大災害についていかに記録し記憶すべきなのかを、作品の全体を通した作者の筆致から考える。

  • S01E425 谷崎潤一郎スペシャル (1)「エロティシズムを凝視する~“痴人の愛”を中心に~」

    • October 5, 2020
    • NHK

    人間の業ともいうべきエロティシズムを描き切った作品「痴人の愛」。カフェーの女給だった15歳のナオミを育て、自分の妻にしようと思った真面目な男の悲喜劇とは? 人間の業ともいうべきエロティシズムを描き切った作品「痴人の愛」。カフェーの女給だった15歳のナオミを育て、いずれは自分の妻にしようと思った真面目な男が次第に少女にとりつかれ破滅するまでを描く物語だ。この作品を執筆することで谷崎は、愛への妄執や性的倒錯に翻弄される人間の悲喜劇に真っ向から向き合った。第一回は、谷崎潤一郎の人となりも掘り下げながら、作品から「エロティシズムという業」を読み解いていく。

  • S01E426 谷崎潤一郎スペシャル (2)「“母なるもの”を探す旅~“吉野葛”~」

    • October 12, 2020
    • NHK

    吉野への取材旅行の中で、主人公やその友人・津村が、伝説・歴史・伝統芸能を通してかいまみることになる「母なるもの」への限りなき憧憬を描く「吉野葛」を読み解く。 吉野への取材旅行の道行きの中で、主人公やその友人・津村が、伝説・歴史・伝統芸能を通してかいまみることになる「母なるもの」への限りなき憧憬を描く「吉野葛」。そこには谷崎が幼い頃から追い求めていた母の存在が立ち現れてくる。果たして人間にとって「母なるもの」とは何か? 第2回は、「吉野葛」を読み解くことで、人間を深いところで縛り続ける「母なるもの」がどんなものなのかに迫っていく。

  • S01E427 谷崎潤一郎スペシャル (3)「闇が生み出す物語~“春琴抄”~」

    • October 19, 2020
    • NHK

    美貌の師匠・春琴に仕える佐助は、春琴が何者かに煮え湯を浴びせられてその美貌が台無しにされたことを知ると、自らの目を突いて春琴と同様の盲者になる。その意図とは? 美貌の師匠・春琴に仕える佐助は、春琴が何者かに煮え湯を浴びせられてその美貌が台無しにされたことを知ると、自らの目を突いて春琴と同様の盲者になる。そこには、音や触覚による、めくるめく世界があった。物質的な光を断ち闇の世界に入った佐助の姿には、現実社会に幻滅して、文学の世界の中に理想の美を実現しようとする谷崎の姿が重なる。第3回は、闇によって、全く新しい世界を現出させる、文学の豊かな可能性に迫る。

  • S01E428 谷崎潤一郎スペシャル (4)「光と影が織りなす美~“陰翳礼讃”~」

    • October 26, 2020
    • NHK

    日本独自の建築や調度品に現れる「陰翳の美」に迫った「陰翳礼讃」。西欧化がもたらした人工光により失われようとしていた究極の美を救い出そうとする谷崎の美意識とは? 日本独自の建築や調度品に現れる「陰翳の美」に迫った「陰翳礼讃」。ぎらぎらした直射日光ではなく、ひさしや障子にろ過された微妙な間接光によって、もうろうとよどむように現れる暗がり。そこにこそ「幽玄の美」があると考えた谷崎は古典芸能にも同様の美が現れているという。それは西欧化がもたらした人工光により失われようとしていた。第4回は、谷崎が追い求めた究極の美ともいうべき「陰翳の美」とは何かに迫っていく。

  • S01E429 伊勢物語 (1)「“みやび”を体現する男」

    • November 2, 2020
    • NHK

    平安初期を代表する歌人・在原業平。貴種でありながら権力の階段からこぼれ落ちた彼は、そのエネルギーの全てを女性への愛と歌に注ぎ込んだ。業平の人間的魅力に迫る。 平安初期を代表する歌人・在原業平。貴種でありながら権力の階段からこぼれ落ちた彼は、そのエネルギーの全てを女性への愛と歌に注ぎ込んだ。その物語と歌の核には、業平の人間的な魅力があふれている。女性の心に見事に寄り添っていく華麗なふるまい、男女の情をつなぎ合わせていく絶妙な和歌には、現代人も学ぶことができる「みやび」がある。第1回は、一見軟弱でやさ男にみえる業平に秘められた、人間的な魅力に迫っていく。

  • S01E430 伊勢物語 (2)「愛の教科書、恋の指南書」

    • November 9, 2020
    • NHK

    藤原高子、伊勢斎王ら高貴な女性たちと浮名を流した希代のプレイボーイ業平。彼はなぜ女性たちをとりこにできたのか? 彼の恋愛の逸話を「愛の教科書」として読み解く。 藤原高子、伊勢斎王ら高貴な女性たちと浮名を流した希代のプレイボーイ業平。彼はなぜ女性たちをとりこにできたのか? 業平の和歌を読み解くと、その秘密がわかる。そこには一人ひとりの女性の話をよく聞き、その女性の境遇に合わせて一番幸せになる方法を考えぬく業平の姿が浮かび上がる。自分の恋情を押しつけているだけではないのだ。第二回は業平が繰り広げた数々の恋愛の逸話を「愛の教科書」「恋の指南書」として読み解く。

  • S01E431 伊勢物語 (3)「男の友情と生き方」

    • November 16, 2020
    • NHK

    紀有常、源融、惟喬親王。彼らは、なぜか出世争いからはこぼれ落ちた業平と深い友情を交わす。優れた人への謙虚さ、真心といった業平の美質が彼らをひきつけたのだ。 紀有常、源融、惟喬親王。彼らは、なぜか出世争いからはこぼれ落ちた業平と深い友情を交わす。優れた人への謙虚さ、真心といった業平の美質が彼らをひきつけたのだ。挫折や人間関係のこじれ、世間から取り残される寂しさ……数々の憂いを抱えた男たちは、業平の情の細やかさや共感力によって、癒やされ励まされていく。第3回は、業平が男たちと交わした交友を通して、友情のあり方、上司との心の通わせ方などを考えていく。

  • S01E432 伊勢物語 (4)「歌は人生そのもの」

    • November 23, 2020
    • NHK

    業平がよんだ晩年の和歌には、老いや死を淡々と受けとめる軽やかさがある。その裏には、業平流の「かなわぬもの」への対応があった。業平のしなやかな生き方に学ぶ。 業平がよんだ晩年の和歌には、老いや死を淡々と受けとめる軽やかさがある。その裏には、業平流の「かなわぬもの」への対応、運命の受けとめ方があった。彼は人々の情を受けとめる持ち前の包容力と、豊かな和歌の力によって、数々の難局を乗り越えていく。そのしなやかな生き方からは、生きづらい現代を生きるヒントを学べる。第4回は、歌そのものに凝縮された業平の生き方に、苦しい現実を生き抜く知恵を学んでいく。

  • S01E433 ブルデュー“ディスタンクシオン” (1)「私という社会」

    • December 7, 2020
    • NHK

    ブルデューが階級社会分析のために編み出した概念がハビトゥス。それは身体に刻まれた行動・知覚・評価の図式。これによって趣味と階級がどうつながっているかを解明する ブルデューが階級社会を分析するために編み出した概念がハビトゥス。それは身体に刻まれた行動・知覚・評価の図式。幼少期から、言葉遣い、身のこなし、趣味趣向といった形で植え付けられたハビトゥスは、所属階級の性向が刻印されており、その後の人生の選択に大きな影響を及ぼす。人生のスタート段階から格差の芽が生まれているという。第1回は私たちの趣味が、学歴や出身階層によっていかに規定されているかを明らかにする。

  • S01E434 ブルデュー“ディスタンクシオン” (2)「趣味という闘争」

    • December 14, 2020
    • NHK

    人々は他者よりも少しでも優位に立とうという「卓越化」を目指して無意識に闘争し合っている。自分たちの好き嫌いや趣味を互いに押し付けあっているのだ。その仕組みとは? 人々は他者よりも少しでも優位に立とうという「卓越化」を目指して無意識に闘争し合っている。自分たちの好き嫌いや趣味を互いに押し付けあっているといってもよい。この闘争をブルデューは「象徴闘争」と名付け、闘争の場を「界」と呼んでそのメカニズムを徹底的に分析していく。第2回は、「界」のメカニズムを解き明かすことで、私たちが「趣味」を通して何を行っているかを明らかにする。

  • S01E435 ブルデュー“ディスタンクシオン” (3)「文化資本と階層」

    • December 21, 2020
    • NHK

    私たちは身振りや言葉遣い、趣味、教養といった体に刻まれていく文化能力をも相続する。そのように相続されたもののうち経済的利益に転換できるものを「文化資本」と呼ぶ。 私たちは身振りや言葉遣い、趣味、教養といった体に刻み込まれていく文化能力をも相続していく。そのように相続されたもののうち経済的利益に転換できるものを「文化資本」と呼ぶ。文化資本は経済資本ほどはっきりとは目に見えないが、蓄積することで学歴や社会的地位、経済資本へと変換可能になり、大きな利益を生む。第3回は、文化が社会の隅々まで力を及ぼし、格差を生み出す要因になっていることを明らかにする。

  • S01E436 ブルデュー“ディスタンクシオン” (4)「人生の社会学」

    • December 28, 2020
    • NHK

    社会構造は、支配層にも中間層や下層階級の人びとにも内面化され「自然なものだ」という見方を植えつける。社会にがんじがらめに規定されている人間には自由はないのか? 社会構造は支配層にも中間層や下層階級の人びとにも内面化され、「これは自然なものだ」という見方を植えつけていく。それでは、社会にがんじがらめに規定されている人間には自由はないのか? ブルデューは、自由とは何でも好き勝手にできるということではなく、生得のものや社会の構造に縛られているという事実を厳しく知りぬくことで得られるという。第4回は、本当の自由とは何なのかを考える。

  • S01E437 マルクス“資本論” (1)「“商品”に振り回される私たち」

    • January 4, 2021
    • NHK

    元々水や土地といった公共財は無償であり潤沢に存在していた。資本主義黎明期これらはもっとお金が稼げる「商品」として農民から強制的に引きはがされる。何が起こったのか 元々水や土地といった公共財は無償であり潤沢に存在していた。ところが資本主義黎(れい)明期、これら公共財は、もっとお金が稼げる「商品」として農民から強制的に引きはがされる。結果、農民たちは賃労働をせざるを得ない賃金労働者へと変貌。「商品」に頼らないで生きていくことはもはや不可能に。多くの人は借金、貧困、失業の脅威にさらされる。第1回は、私たちがいかに「商品」というものに翻弄されているかを明らかにする

  • S01E438 マルクス“資本論” (2)「なぜ過労死はなくならないのか」

    • January 11, 2021
    • NHK

    無限に進む価値増殖の運動「資本主義」。それがやがて労働者を過労死にまで追いやってしまう仕組みを明らかにし、この暴走にブレーキをかけるためには何が必要かを考える。 労働者が受け取る賃金と、それを超えて生み出される商品の価値との差額「剰余価値」。資本の価値増殖運動に巻き込まれた資本家たちは、少しでも多くの剰余価値を得るために労働者の労働時間を常に延ばしていく。労働者も自らこの論理を内面化し、価値増殖運動の歯車になってしまう。第2回は、資本主義がやがて労働者を過労死にまで追いやってしまう仕組みを明らかにし、この暴走にブレーキをかけるためには何が必要かを考える。

  • S01E439 マルクス“資本論” (3)「イノベーションが“クソどうでもいい仕事”を生む!?」

    • January 18, 2021
    • NHK

    人々の暮らしを楽にするはずの「イノベーション」。しかし現実は「ブルシット・ジョブ(クソどうもいい仕事)」が増え続ける。労働者の負担が減らないのはなぜなのか? 人々の暮らしを楽にするはずの「イノベーション」。しかし現実は「ブルシット・ジョブ(クソどうもいい仕事)」といわれる労働だけが増え続け、逆に労働者の負担は減るどころかますます増えるばかり。資本主義下、企業間の競争が激化する中でのイノベーションは、本来豊かな労働を「構想」と「実行」に分離、創造的な「構想」のみを資本家が奪い単純労働のみを労働者に押し付けるといった過酷な状況が構造的に生じてしまう。

  • S01E440 マルクス“資本論” (4)「“コモン”の再生」

    • January 25, 2021
    • NHK

    マルクスが最終的に思い描いたコミュニズム。それは、水、土地、エネルギーなど私たちにとっての共有財産である「コモン」を市民の手に取り戻すことを目指したものだった。 晩年のノートや手紙を精読すると、マルクスが最終的に思い描いたコミュニズムは、水、土地、エネルギー、住居など私たちにとっての共有財産である「コモン」を取り戻すことを目指したものだということがわかる。第四回は、生産力至上主義として批判されてきたマルクスが、気候変動や環境問題といった喫緊の問題を乗り越えるビジョンをもっていたことを明らかにし、現代社会を生きる我々が何をなすべきかを具体的に考える。

  • S01E441 ファノン“黒い皮膚・白い仮面” (1)「言語をめぐる葛藤」

    • February 1, 2021
    • NHK

    人種差別の原因を考究する「黒い皮膚・白い仮面」。作者ファノン自身がどのように差別構造と直面し、そこから抜け出ようとしたのかを通じて、差別の問題を深く考える。 人種差別の原因を考究する「黒い皮膚・白い仮面」。この著作成立にはファノン自身の出自が深く関係している。マルティニーク島で生まれた彼は、フランス本国で圧倒的な差別構造に直面する。精神科医の資格をとりながら、この差別構造を心理学から明らかにしようと決意。自身の半生に対しても分析のメスをいれていく。第1回は、差別の構造に巻き込まれがらも、どのようにそこから抜け出していくかを彼の人生を通じて考える。

  • S01E442 ファノン“黒い皮膚・白い仮面” (2)「内面化される差別構造」

    • February 8, 2021
    • NHK

    過剰な白人への劣等感から生じる自発的隷従。このゆがみから解放されなければ差別の構造はなくならない。文学を通して、差別構造がなぜ内面化されるのかを明らかにする。 文学作品に描かれる典型的な黒人女性は、白人の男と結婚することで血統を白くしようとする。これを「乳白化の願望」と呼び、ゆがんだ心理的防衛機制であるとファノンは分析する。同様なことが黒人男性にも生じる。これらは過剰な白人への劣等感から生じる自発的隷従であり、このゆがみから解放されなければ差別の構造はなくならない。第2回は、文学作品の分析を通して、差別の構造がなぜ内面化されてしまうのかを明らかにする。

  • S01E443 ファノン“黒い皮膚・白い仮面” (3)「“呪われたるもの”の叫び」

    • February 15, 2021
    • NHK

    「黒い皮膚への差別をいかに乗り越えるか」の答えを模索し続けるファノン。たどり着いたのは、自らの中にある黒人性、黒人文化を再評価する運動「ネグリチュード」だった。 「黒い皮膚への偏見や差別をいかに乗り越えていくか」の答えを模索し続けるファノン。たどり着いたのは、自らの中にある黒人性、黒人文化を再評価し、その尊厳性を強調することで白人に対する黒人の優位を示そうという運動だ。が、彼は共鳴しながらも疑念も抱く。第3回は、差別を乗り越えるために自らのルーツやアイデンティティーを掘り起こすことの有効性と限界を、ファノンが共鳴した「ネグリチュード」を通して読み解く。

  • S01E444 ファノン“黒い皮膚・白い仮面” (4)「疎外からの解放を求めて」

    • February 22, 2021
    • NHK

    人種差別は黒人だけの問題ではなく「いかにしてわれわれは非人間の状態から抜け出して真の意味での人間になりうるのか」が問われているというファノンの思想の根本に迫る。 ファノンは人種差別の問題を突きつめていく中で「人間を閉じ込めるものから人間を解き放つこと」という普遍的な問題に到達。人種差別は黒人だけの問題ではなく「いかにしてわれわれは非人間の状態から抜け出して真の意味での人間になりうるのか」が問われているという。それは立場を超えて連帯を生んでいる「ブラック・ライブズ・マター」とも相通じる思想だといえる。第4回は、「人間の解放」という普遍的な問題を考える。

  • S01E445 100分de災害を考える (1)「寺田寅彦“天災と日本人”」

    • March 1, 2021
    • NHK

    災害に向き合うためには、日本人が古来からもっている自然観をもう一度見つめ、人間と自然との「つながり」を根底から考え直す必要があると説く寺田寅彦の思想に迫る。 科学者であり随筆家でもある寺田寅彦の災害観のエッセンスがつまった随筆集が「天災と日本人」だ。文明が進歩すればするほど災害による被害は甚大になるという寺田。災害に向き合うためには、日本人が古来からもっている自然観をもう一度見つめることで、人間と自然との「つながり」を根底から考え直す必要があるという。第一回は、災害という予測不可能な危機にどう向き合い、どう冷静に対処するかを考える。

  • S01E446 100分de災害を考える (2)「柳田国男“先祖の話”」

    • March 8, 2021
    • NHK

    柳田国男が日本古来の死生観を掘り起こし執筆したのが「先祖の話」。死者はあの世で暮らすのではなく死後もこの世に残り生者たちとの新しい関係の中で「生き続ける」という 東京大空襲という甚大な犠牲者を出した戦禍の最中で「死者」について深く思索したのが民俗学者の柳田国男だ。日本古来の死生観を掘り起こしながら執筆したのが「先祖の話」。死者はあの世で暮らすのではなく死後もこの世に残り生者たちとの新しい関係の中で「生き続ける」という古来の死生観は近代人の私たちにも大きな示唆を与えてくれるという。第二回は、私たちが災害で失った死者たちと、どう向き合っていけばよいかを考える。

  • S01E447 100分de災害を考える (3)「セネカ“生の短さについて”」

    • March 15, 2021
    • NHK

    平時において多くの人たちは「時」の真価を知らないまま生きている。困難の最中にあってこそ私たちは真の「時」とのつながりを取り戻すべきだというセネカの時間論に迫る。 哲学者セネカによれば、死はしばしば前触れなく訪れその足音が聞こえるようになった時初めて自分の人生が限られたものであることに気づくという。平時において多くの人たちは「時」の真価を知らないまま生きている。困難の最中にあってこそ私たちは、真の「時」とのつながりを取り戻すべきだというのだ。第三回は、セネカの思考を通して、「生」のはかなさを見つめ、決して計量できない質的な時間を取り戻すことの大切さを考える。

  • S01E448 100分de災害を考える (4)「池田晶子“14歳からの哲学”」

    • March 22, 2021
    • NHK

    哲学者・池田晶子にとって真の意味で「考える」とは自己の中に眠れる「真理」を見いだすことだった。震災以降、「考える」という営みが何をもたらしてくれるのかを深く問う 「震災からの復興」に思いを巡らすとき、私たちは「考える力」という足元を見つめ直さざるを得ない。哲学者・池田晶子にとって、真の意味で「考える」とは自己の中に眠れる「真理」を見いだすことにほかならなかった。それは「自己」とのつながりを取り戻すことでもある。第四回は、私たちが震災以降、どう未来を思い描けばよいのか、そのとき真に「考える」という営みが何をもたらしてくれるのかを深く問いかける。

  • S01E449 渋沢栄一“論語と算盤” (1)「高い志が行動原理を培う」

    • April 5, 2021
    • NHK

    一見首尾一貫しない渋沢栄一の人生には実は確かな行動原理があった。「論語と算盤」の思想を読み解き、柔軟でしなやかな行動原理を生み出す「高い志」の大切さを学ぶ。 倒幕に向かったと思えば一橋慶喜の元で仕える。大蔵省に入ったかと思えば突然辞めて民間経済人として活動。一見首尾一貫しない渋沢栄一には実は確かな行動原理があった。「倒幕」や「攘夷」は渋沢にとって目的ではなく「強くて繁栄した日本を作る」という高い志のための手段にすぎなかった。新たな方針が有効だと気づけば柔軟にそちらに切り替えることができたのだ。柔軟でしなやかな行動原理を生み出す「高い志」の大切さを学ぶ。

  • S01E450 渋沢栄一“論語と算盤” (2)「“信用”で経済をまわせ」

    • April 12, 2021
    • NHK

    「論語と算盤」には、金融機関や株式会社が「信用」を媒介にして回っている西欧から学んだ教訓がある。第二回は資本主義の暴走のブレーキとなるものは何なのかを考える。 渋沢は海外で「日本人は約束を守らない」という言葉を聞いて衝撃を受ける。明治に入り近代化の波を受けた日本人の商業道徳は著しく荒廃。そこで「実業と道徳の一致の必要性」を全国で説いて回ることになる。この集大成が「論語と算盤」なのだ。そこには、金融機関や株式会社が「信用」を媒介にして回っている西欧から学んだ教訓がある。第二回は、拝金主義に陥りがちな資本主義の暴走のブレーキとなるものは何なのかを考える。

  • S01E451 渋沢栄一“論語と算盤” (3)「“合本主義”というヴィジョン」

    • April 19, 2021
    • NHK

    渋沢が明治日本に導入しようとしたのは「合本主義」というシステム。「公益」という目的を明確に打ち立てた上で、人材と資本を集めて事業を推進するという理念だ。 渋沢が明治日本に導入しようとしたのは「合本主義」というシステム。これを渋沢は「封建領主体制」で体験したものを裏返すことで構想した。国家や行政が主導する、人、物、金を社会に循環させ社会を繁栄させるための基盤整備などを通して、「公益」という目的を明確に打ち立てた上で、人材と資本を集めて事業を推進するという理念が「合本主義」なのである。第三回は、渋沢が構想した「合本主義」とは何かに迫る。

  • S01E452 渋沢栄一“論語と算盤” (4)「対極にあるものを両立させる」

    • April 26, 2021
    • NHK

    「論語」を大胆に読み替えることで経済と道徳の矛盾を乗り越えようとする渋沢。「私利」と「公益」といった対極的な価値観を両立させる知恵を「論語と算盤」から読み解く。 渋沢は「論語」を大胆に読みかえていく。一見「私利よりも公益をとるべし」と読める孔子の教えを、「孔子は、必要であれば利をとってもよいと述べている」と解釈。だが私利だけが行き過ぎると社会は破壊される。もう一方に「信用」や「公益」といった価値を示してくれる「論語」的な理念を据え、「経済合理性」のみの価値観の弱点を取り除く。第四回は、「論語と算盤」から対極的な価値観を両立させる知恵を読み解いていく。

  • S01E453 三島由紀夫“金閣寺” (1)「美と劣等感のはざまで」

    • May 3, 2021
    • NHK

    幼い頃からきつ音で言語表現に困難をもつ主人公・溝口は父親から「金閣寺ほど美しいものは地上にはない」といわれて育つ。「金閣寺」とは一体何を意味するのかを読み解く。 幼い頃からきつ音で言語表現に困難をもつ主人公・溝口は父親から「金閣寺ほど美しいものは地上にはない」といわれて育つ。美しい風景を眺めては「心象の金閣」の美を膨らませ続けた溝口だったが、父の死の直前、本物の金閣寺を見せられて激しく幻滅。だが溝口は現実の金閣と対話を続ける中で再び美を見いだし戦火によって「滅びゆくもの」として深い一体感を感じるのだった。第1回は、美と劣等感の間で引き裂かれる人間の性に迫る

  • S01E454 三島由紀夫“金閣寺” (2)「引き裂かれた魂」

    • May 10, 2021
    • NHK

    足に障害のある柏木と友人になる溝口。「認識」によるニヒリズムこそが人間を解放すると説く柏木に共感を抱く溝口だが女性と関係をもとうとするたびに金閣が眼前に現れる。 大学で足に障害のある柏木と友人になる溝口。障害を利用して女性たちの関心を集めては関係をもつという悪魔的な柏木に影響を受ける。「認識」によるニヒリズムこそが人間を解放すると説く柏木に対して共感を抱く溝口だが女性と関係をもとうとするたびに金閣が眼前に現れ、その行為を阻まれる。第3回は、ニヒリズムと絶対的な美との間で引き裂かれる溝口を通して、人間は虚無感をこえて生きていくことができるのかを問いかける。

  • S01E455 三島由紀夫“金閣寺” (3)「悪はいかに可能か」

    • May 17, 2021
    • NHK

    住職を挑発すように嫌がらせを続けるが黙殺される溝口。それは戦後を生きる三島そのものだ。朝鮮戦争勃発の知らせに世界の破滅を予感した溝口はついに金閣寺放火を決意する 溝口は住職とその愛人の芸妓を街頭で目撃し、彼女の写真を住職が読む新聞にそっとしのばせる。それは住職を試す行為でもあったが、住職の振る舞いは全く変わらず黙殺される。その後生まれて初めて女性との行為によって快感に達するが、全く虚無感は去らない。朝鮮戦争勃発の知らせに世界の破滅を予感した溝口はついに金閣寺放火を決意するのだった。第3回は、三島が直面した戦後社会の矛盾や困難を作品を通して浮き彫りにする。

  • S01E456 三島由紀夫“金閣寺” (4)「永遠を滅ぼすもの」

    • May 24, 2021
    • NHK

    ラストシーンを通して、三島が戦後社会に対して何をなそうとしていたのかや最終的に自決を選んだ理由に迫っていき、私たちにとっての「戦後」の意味をもう一度深く考える。 禅海和尚との出会いをきっかけに、ついに放火に踏み切る溝口だったが、一緒に滅びることを金閣寺に拒絶され燃えさかる金閣寺を山上から見つめながら「生きよう」と決意するのだった。果たして「永遠を滅ぼす」と語った溝口の境地とはいかなるものだったのか? 第4回は、三島が戦後社会に対して何をなそうとしていたのかや、最終的に自決を選んだ理由などに迫っていき、私たちにとっての「戦後」の意味をもう一度深く考える。

  • S01E457 レイ・ブラッドベリ“華氏451度” (1)「本が燃やされるディストピア」

    • May 31, 2021
    • NHK

    本を燃やす「ファイアマン」という仕事に従事するガイ・モンターグ。近未来、本は有害な情報を市民にもたらすものとされ所有が禁止されるという恐怖の社会が到来していた。 本を燃やす「ファイアマン」という仕事に従事するガイ・モンターグ。この時代、本は有害な情報を市民にもたらすものとされ所有が禁止。本が発見されると直ちにファイアマンが出動し全ての本を焼却、所有者も逮捕される。代わりに人々の思考を支配しているのは、参加型のテレビスクリーンとラジオ。彼の妻も中毒患者のようにその快楽に溺れている。第一回は、究極のディストピアを通して、全体主義的社会のおそろしさに迫っていく。

  • S01E458 レイ・ブラッドベリ“華氏451度” (2)「本の中には何がある?」

    • June 7, 2021
    • NHK

    本とともに焼死することを選んだ老女の姿をみて動揺したモンターグはひそかに本を盗み出し隠れて読み始める。人間にとって「知」や「思考」がいかに大切なものかを考察する 任務遂行の際、本とともに焼死することを選んだ老女の姿をみて動揺したモンターグは、ひそかに本を盗み出し隠れて読み始める。本を読み続けることの豊かさやその大切さを命をもって守り抜く人々の姿は、私たちが効率化の果てに失いがちな「思考すること」の大切さを教えてくれる。第二回は、「知」や「思考する力」を決して手放さない人たちの姿を通して、人間にとって「知」や「思考」がいかにかけがえのないものかを考察する。

  • S01E459 レイ・ブラッドベリ“華氏451度” (3)「自発的に隷従するひとびと」

    • June 14, 2021
    • NHK

    「人々が自発的に本を読むことやめ権力がそこにつけこんだ」とモンターグに告げるフェイバー。支配を自ら招いた人間たちの愚かさを鋭く告発する作者のねらいとは何か? 欠勤中のモンターグを訪ねた隊長ベイティーは「考えて苦しむくらいなら本など読まない方がまし。私たちは幸福な生活を守っているのだ」とはっぱをかける。その後モンターグは、抵抗運動を支援するフェイバー教授と出会い「人々が自発的に本を読むことやめ権力がそこにつけこんだ」という事実を知らされ衝撃を受ける。第三回は、支配を自ら招いた人間たちの愚かさを鋭く告発するブラッドベリの現代社会批判に迫っていく。

  • S01E460 レイ・ブラッドベリ“華氏451度” (4)「“記憶”と“記録”が人間を支える」

    • June 21, 2021
    • NHK

    モンターグは密告によって自宅の本の焼却にむかうことに。追い詰められた彼は最後の瞬間、隊長ベイティーに火炎放射器を向ける。逃亡の果てに彼がたどり着いた場所とは? モンターグは密告によって自宅の本の焼却にむかうことに。追い詰められる彼は最後の瞬間、隊長ベイティーに火炎放射器を向けるのだった。ついに逃亡犯と化す彼が最後にたどり着いた場所とは? そこで描かれるのは人類にとっての最後の希望「記憶」のかけがえなさだ。第四回は、「記録すること」と「記憶すること」が人間にとっていかに大切か、そして、それをないがしろにする社会がいかに貧しいのかをあらためて深く考える。

  • S01E461 ボーヴォワール“老い” (1)「老いは不意打ちである」

    • June 28, 2021
    • NHK

    「老い」が書かれた70年代、消費社会が極まり生産性のない「老人」が疎外されているのに全く語られることはなかった。だからこそ「老い」をとらえ直す必要があるという。 ボーヴォワールは「第二の性」で女は社会的、歴史的に作られた存在だと論じ女性が社会のなかで搾取されていると説いた。同じ手法で「老い」に着手し老人もまた社会から疎外された存在であると説く。「老い」が書かれた1970年代、消費社会が極まり生産性のない「老人」が疎外されているのに、全く語られることはなかった。だからこそ「老い」をとらえ直す必要があるという。第一回は、人類にとって「老い」とは何かを考える。

  • S01E462 ボーヴォワール“老い” (2)「老いに直面した人びと」

    • July 5, 2021
    • NHK

    作家、科学者、政治家、芸術家など著名な職業人たちの姿を通して「老い」の実相を暴くとともに、ひるむことなく「老い」をさらけ出して生きていくことの大切さを考える。 老いによって創造性や判断力を失った作家、科学者、政治家らが過去の業績にこだわり柔軟さを失っていく姿を容赦なく描き出すボーヴォワール。その一方で、90歳近くになっても敢然と平和運動に取り組む哲学者ラッセル、衰えをなんのてらいもなく聴衆にさらすゲーテら肯定的な老いの姿を描くことも忘れない。第二回は、著名な職業人たちの老いの姿を通して、ひるむことなく「老い」をさらけ出して生きていくことの大切さを考える。

  • S01E463 ボーヴォワール“老い” (3)「老いと性」

    • July 12, 2021
    • NHK

    「老人は純潔であるべき」という道徳に対しボーヴォワールは異議申し立てを行う。老人の性の多角的な分析を通して老人に対するステレオタイプの決めつけを否定するのだ。 男性から見て性的な存在である女性は長らく、自らの性を語ることが許されてこなかった。同じく老人も性から解脱した人間としてとらえられてきた。「老人は純潔であるべき」という道徳に対しボーヴォワールは異議申し立てを行う。階級、ジェンダー、生物学的な見地から多角的に分析し、老人に対するステレオタイプの決めつけを否定するのだ。第三回は、老人のポジティブな性との向き合い方を考える。

  • S01E464 ボーヴォワール“老い” (4)「役に立たなきゃ生きてちゃいかんか!」

    • July 19, 2021
    • NHK

    「老いは文明が引き受けるべき課題だ」というボーヴォワールの視点から、老いてもなお尊厳のある生き方ができる社会とはどんな社会なのかを深く考える。 各国の社会保障制度や年金制度、高齢者施設の在り方などを徹底的に調査したボーヴォワールは現行の制度では人間の尊厳は踏みにじられていると批判する。更に数少ない理想的な対策の事例を通して人間が尊厳をもって老い死ぬことができるためには何が必要かを徹底的に考えぬくのだ。第四回は、「老いは文明が引き受けるべき課題だ」という視点から、老いてもなお尊厳のある生き方ができる社会とはどんな社会なのかを深く考える。

  • S01E465 アレクシエーヴィチ“戦争は女の顔をしていない” (1)「証言文学という“かたち”」

    • August 9, 2021
    • NHK

    500人を超える元女性兵士たちの記録は「多声性」を獲得。証言同士が浄化し合い響き合うことで、魂の奥底から照らし出されるような新しい文学の「かたち」が生まれた。 「私は大きな物語を一人の人間の大きさで考えようとしている」と語る著者は一人ひとりの苦悩に徹底して寄り添う。沈黙、いいよどみ、証言の忌避、男性たちの介入や検閲…記録を妨げるものは多々あった。彼女はそのプロセスをもありのままに記録し500人を超えるその記録はやがて「多声性」を獲得。証言同士が浄化し合い響き合うことで、魂の奥底から照らし出されるような新しい文学の「かたち」が生まれた。その魅力に迫る。

  • S01E466 アレクシエーヴィチ“戦争は女の顔をしていない” (2)「ジェンダーと戦争」

    • August 16, 2021
    • NHK

    女から兵士への変身は女性を捨てることを意味したが決して全てを捨て去ることはできなかった。戦場でも女性でありたいという希求、それは戦争の非人間性を逆照射していく。 過酷な戦場の中でもハイヒールを履いたりおさげ髪にする喜びを忘れない。経血を川で洗い流すために危険をおかす…女たちの語りは男と違い生々しい「身体性」を帯びる。女子から兵士への変身は女性を捨てることを意味したが、決して全てを捨て去ることはできなかった。戦場でも女性でありたいという希求、それは戦争の非人間性を逆照射していく。第二回は、「ジェンダー」という視点から戦争の過酷さや悲惨さを浮かび上がらせる。

  • S01E467 アレクシエーヴィチ“戦争は女の顔をしていない” (3)「時代に翻弄された人々」

    • August 23, 2021
    • NHK

    旧ソ連では「兄弟姉妹よ」との掛け声のもと女性たちの愛国心も鼓舞。だが彼女たちを待っていたのは戦後の厳しい差別だった。人間が国家や制度の犠牲になっていく構造とは? 旧ソ連では数多くの若い女性が自ら志願して戦争に行った。その背景にはスターリンによる愛国主義の高まりがあった。男女同権の理念を高らかに歌い上げた旧ソ連では「兄弟姉妹よ!」との掛け声のもと女性たちの愛国心も鼓舞された。だが彼女たちを待っていたのは戦後の厳しい差別だった。男と同じく銃を持って戦ったのに英雄視されたのは男だけ。そればかりか帰還した女性兵士は「戦地のあばずれ、戦争の雌犬め」と蔑視される。

  • S01E468 アレクシエーヴィチ“戦争は女の顔をしていない” (4)「“感情の歴史”を描く」

    • August 30, 2021
    • NHK

    「感情の歴史」を描きたいと語るアレクシェーヴィチ。彼女によって戦争は生身の身体、鮮烈な五感、豊かな感情の震えの記録として描き直される。戦争を記録する意味とは? アレクシエーヴィチはしばしば「感情の歴史」を描きたいと語る。憎悪と慈愛の共存、平時では考えられないような感情のうねり、戦争終結後も人々を苛(さいな)むトラウマ…。英雄談や大文字の歴史としてしか語られてこなった戦争は、彼女の透徹した「耳」と「手」によって、生身の身体、鮮烈な五感、豊かな感情の震えの記録として描き直される。それは、これまで決して描かれたことのない、人間の顔をしたリアルな歴史だった。

  • S01E469 ル・ボン“群衆心理” (1)「群衆心理のメカニズム」

    • September 6, 2021
    • NHK

    人は群衆の中にいるとき「暗示」を受けやすくなり、その「暗示」が次々に「感染」し、やがて「衝動」の奴隷になっていく。これが「群衆心理」のメカニズムだ。 ル・ボンは「衝動的」「暗示を受けやすい」「誇張的で単純」「偏狭で横暴」「徳性」という群衆がもつ5つの特徴を分析。人は群衆の中にいるとき「暗示」を受けやすくなり、その「暗示」が次々に「感染」し、やがて「衝動」の奴隷になっていく。これがSNS時代にも通じる群衆心理のメカニズムだ。第一回は、ル・ボンによる「群衆心理」の分析を通して、それがもたらすさまざまな弊害や問題点を浮き彫りにしていく。

  • S01E470 ル・ボン“群衆心理” (2)「“単純化”が社会を覆う」

    • September 13, 2021
    • NHK

    群衆の中で席捲し始めるのは「イメージ」とそれを喚起する「標語」。たとえ誤びゅうであっても鮮やかで魅力的なら群衆はそれを信じるようになる。単純化が社会を覆うのだ。 近代化によって人々の思考能力はかえって批判精神を失っていく。代わって群衆の中で席捲し始めるのは「イメージ」とそれを喚起する「標語」。たとえ誤謬(びゅう)であっても鮮やかで魅力的なら群衆はそれを信じるようになる。群衆心理によって社会全体が「単純化」「わかりやすさ」のみに覆われ、瞬く間に一色に染め上げられていくのだ。第二回はル・ボンの洞察を通して「単純化」が社会を覆っていくことの怖ろしさに警鐘を鳴らす

  • S01E471 ル・ボン“群衆心理” (3)「操られる群衆心理」

    • September 20, 2021
    • NHK

    政治指導者やメディアは「断言」「反復」「感染」という手法を使って、群衆に「紋切り型のイメージ」「粗雑な陰謀論」を流布。私たちが操られないためには何が必要か? 政治指導者やメディアは、「断言」「反復」「感染」という手法を使って、群衆に「紋切り型のイメージ」「粗雑な陰謀論」を流布するというるル・ボン。極度に単純化されたイメージに暗示を受けた群衆は、あるいは暴徒と化し、あるいは無実の民を断頭台へと送り込むところまで暴走を始める。第三回は、「群衆心理」を操るものへのル・ボンの警告を通して、為政者やメディアに扇動されないためにはどうしたらよいかを考える。

  • S01E472 ル・ボン“群衆心理” (4)「群衆心理の暴走は止められるか」

    • September 27, 2021
    • NHK

    群衆心理の暴走にブレーキをかけることはできないのか。ル・ボンは人間の資質を定める「教育」にその可能性を求めた。果たして群衆に、批判精神を育てることは可能か? 群衆心理の暴走にブレーキをかけることはできないのか。ル・ボンは人間の資質を定める「教育」にその可能性を求めた。彼は、詰め込み教育をやめて批判精神を育てよと説く。ル・ボンの議論を受けて、武田砂鉄さんは、「わからなさ」を引き受け問い続ける力こそが、現代人に求められているという。第四回は、ル・ボンが群衆心理の暴走に対して描いた処方箋を読み解き、「思考し問い続けること」の大切さについて深く考える。

  • S01E473 ヘミングウェイ・スペシャル (1)「大いなる自然との対峙~“老人と海”(1)」

    • October 4, 2021
    • NHK

    巨大なカジキと老人の壮絶な死闘。人間社会とは一切隔絶した大海原の中での老人サンチアゴの闘いを通して、私たち文明人が見失ってしまった大自然との向き合い方を学ぶ。 不漁にもくじけず一人小船を操って沖へ出る老人サンチアゴ。圧倒的な孤独の中で彼は大いなる自然と向き合い続ける。そこに、大海原の主ともいえる巨大なカジキが現れる。知力と体力の限りを尽くしたカジキとの死闘を支えたのは、常に心の中にあった、友人マノーリン少年の存在だった。第一回は、人間社会とは一切隔絶した大海原の中での老人サンチャゴの闘いを通して、私たち文明人が見失ってしまった大自然との向き合い方を学ぶ。

  • S01E474 ヘミングウェイ・スペシャル (2)「死闘から持ち帰った不屈の魂~“老人と海”(2)」

    • October 11, 2021
    • NHK

    死闘の末にカジキを仕留めた老人の前に大きな壁が立ちはだかる。血の匂いを嗅ぎつけたサメたちがカジキを狙って殺到してきたのだ。危機の中、果たして老人はどう闘うのか? 死闘の末にカジキを仕留めた老人の前に大きな壁が立ちはだかる。血の匂いを嗅ぎつけたサメたちがカジキを狙って殺到してきたのだ。死力を尽くしてサメたちと闘い続ける老人だったがやがて力尽きカジキは白骨と化す。それでも老人はその骨を引きずり少年の待つ港へと帰還するのだった。第二回は、老人がその闘いを通して少年に伝えたかった真意を読み解き、ヘミングウェイが未来の私たちに託したかったメッセージを明らかにしていく

  • S01E475 ヘミングウェイ・スペシャル (3)「交錯する“生”と“死”~“敗れざる者”~」

    • October 18, 2021
    • NHK

    二軍戦ともいえる夜間の試合に復活かける闘牛士マヌエル。無様な姿をさらしながらも渾身の剣で牛を倒す。闘いを終えたひん死の彼が運び込まれた診察室でとった行為とは? 闘牛士マヌエルは興行師の元を訪ね再び闘牛の舞台へ立ちたいと申し入れる。だがあてがわれたのは二軍戦ともいうべき「夜間の部」。仲間もマヌエルの情熱に押し切られ、これを最後に引退するとの約束と引き換えに共に舞台に立つ。苦戦の中、何度も牛に跳ね上げられ宙を舞い続けるマヌエル。無様な姿をさらしながらもこん身の力を込めた剣で終止符を打つ。生と死が交錯する闘いを終えたマヌエルが運び込まれた診察室でとった行為とは