ある中学の文化祭に防犯講習で訪れた内海と弓削は、「ゾンビのデスマスク」と名づけられた展示品を目にする。精巧に作られたこの展示品は、生徒が池から拾い上げたアルミ板を元に作った物だったが、行方不明中の藤川雄一にそっくりだった。後日、その池から藤川の遺体が発見される。まるで遺体から転写して作られたような精巧な顔型の謎を追う湯川と内海は、城ノ内から藤川が放射線被曝を受けていたことを知らされる。 さらに栃木県警から龍仁湖で起きた原因不明の爆破事件の捜査協力を受けた本庁の草薙からも、事件の被害者が放射線被曝を受けていたことを知る。この被害者が藤川と同じ会社に勤務していたことから、事件の背後にかつての恩師・木島征志郎の存在を感じた湯川は木島との全面対決に挑む。
ある中学の文化祭に防犯講習で訪れた内海と弓削は、「ゾンビのデスマスク」と名づけられた展示品を目にする。精巧に作られたこの展示品は、生徒が池から拾い上げたアルミ板を元に作った物だったが、行方不明中の藤川雄一にそっくりだった。後日、その池から藤川の遺体が発見される。まるで遺体から転写して作られたような精巧な顔型の謎を追う湯川と内海は、城ノ内から藤川が放射線被曝を受けていたことを知らされる。 さらに栃木県警から龍仁湖で起きた原因不明の爆破事件の捜査協力を受けた本庁の草薙からも、事件の被害者が放射線被曝を受けていたことを知る。この被害者が藤川と同じ会社に勤務していたことから、事件の背後にかつての恩師・木島征志郎の存在を感じた湯川は木島との全面対決に挑む。
海辺近くの友永家で、離れが突如炎上。焼け跡からそこに住んでいた息子・邦宏の遺体が見つかる。当初は焼死と見られたが、刀のような刃物で刺されていたことが判明する。しかし離れには何者かが侵入した痕跡はなく、捜査に当たった草薙は専門家に意見を聴くため、母校の帝都大学を訪れる。 その帰り際、大学の掲示板に学生時代の友人と同じ名前の助教授(湯川学)の名を見かけた草薙は、湯川の研究室に足を運ぶ。草薙は学生時代に殺人容疑を掛けられ、窮地を湯川に救われた経験があり、再会した湯川に捜査協力を依頼する。草薙から聞かされた事件に全く興味を示さない湯川だったが、「現場近くのビーチには水着姿の女性がいる」と草薙から唆され、助手の栗林を連れて現場に向かうことになる。
ある休日、岸谷はSNSを通じて知った山歩きのイベントに参加する。岸谷の次にペンションに到着した有名企業の研究者、篠田真希は、一通りの挨拶を済ませると「疲れているから」と言って部屋に籠り、夕食時も姿を現さなかった。心配した岸谷と、後から到着したこのイベントの企画者であり、篠田の上司でもある研究者・野木祐子が部屋を訪ねるが、部屋は施錠されており返事は無かった。それからしばらく時が経ってから、篠田がベランダから出て行った痕跡をペンションのオーナーが発見し、翌朝、篠田の遺体が渓流で見つかる。野木は事件が発覚する直前に岸谷たちの前からしばらく姿を消していたことと、野木の次に湯船につかった岸谷の身体に過飽和が現れた事から、野木による犯行ではないかと疑問を抱く。岸谷から話を聞いた湯川は、その科学的な理由と野木の美貌に興味を抱き、事件現場を訪れる。
湯川は栗林とゼミ生の遠野みさきを伴い、学会に出席していた。その帰り、湯川と栗林はみさきに誘われ、彼女の地元の神社にある「天狗のミイラ」を見に行く。しかし神社に着くとミイラのある祠には入ることができず、地元の警官でみさきの幼馴染である合田武彦が現れる。実は神社の神主が「烏天狗がミイラを取り返しにくる」と語り、祠をコンクリートで固めてしまったのだ。しかも神主は2週間前に祠で白骨死体として見つかっていた。みさきは事件を調査してもらうために湯川を神社に連れて来たのだった。するとそこに、一人のずぶ濡れになった若い女性・小島結衣が現れる。彼女はみさきと合田の幼馴染で、神社に着く前、急なにわか雨に降られた湯川に傘を貸した女性だった。
貝塚北署と湯川の元に、「悪魔の手」と名乗る人物から犯行声明文が届く。警察に対しては犯行予告、湯川に対しては宣戦布告を仄めかす内容だった。その文面の通り、不審な事故死が二件相次ぎ、どちらも前日に犯行予告と思しき書き込みがWebサイト上にあった。同時期、週刊誌に湯川が警察に協力しているという内容の記事が掲載されていた。また、「悪魔の手」からマスコミに捜査状況を伝えて欲しいといった内容の文面が届くが、警察は犯人の挑発には乗るわけにはいかず暫く放置していたが、痺れを切らした「悪魔の手」は詳細な事件概要をリークする犯行声明文をマスコミ向けに送りつけた。そのことによって、「悪魔の手」による一連の事件の存在が明るみになってしまう。
刑事課に赴任して5年、内海は湯川との関係を続け捜査に当たっていたが、年齢が30を超えた為将来についてしばしば悩むようになっていた。上司の間宮からはアメリカ研修を勧められ、一層悩みは深まるばかり。そんなある日、車いすに乗った派手な身なりの老婆を見て不審に思った内海は職務質問をするが、その途端老婆が倒れる。その女性・岩見芙美はすでに亡くなっており、車いすを押していた男・上念は彼女の娘・千加子を殺害した罪で指名手配されていた為そのまま逮捕。逮捕のきっかけを作った内海は事件の捜査に当たる為長野県警に派遣され、若手職員・当摩と組んで事件捜査に当たることとなる。しかしこの事件の裏には上念、そして長野県警の闇があった…。
シリーズ前作『禁断の魔術 ガリレオ8』に続く書き下ろし作品。「週刊文春」2018年12月13日号では、この作品の最大の読みどころを「被害者の女性を大切に想っていたはずの人々がどのように犯罪に関わっていくのか」という展開だと指摘した。東野はインタビューで「被害者を愛した善良の人々が力を合わせたら、湯川でさえも手こずるような謎が生まれるのではと考えた」と語っている。
花岡靖子は娘・美里とアパートで二人で暮らしていた。そのアパートへ靖子の元夫、富樫慎二が彼女の居所を突き止め訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩の末、殺してしまう。今後の成り行きを想像し呆然とする母子に救いの手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神だった。彼は自らの論理的思考によって二人に指示を出す。 そして3月11日、旧江戸川で死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定、花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、捜査が進むにつれ、あと1歩といったところでことごとくズレが生ずることに気づく。困り果てた草薙刑事は、友人の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。 すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。彼は当初この事件に傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを知り、独自に解明に乗り出していく。