大胆で特徴的なデザインで知られる手塚貴晴と手塚由比の建築。二人が建物を作るときに心がけている流儀が「たくさんの要望に応えるより、たったひとつの“お気に入り”を作る」ということ。たとえば家を作るとき、依頼主は間取りや収納について、たくさんの要望を手塚たちに伝える。しかし、その要望をすべて叶(かな)えることは難しいことも多く、さらに二人は全ての要望に添うだけだと場合によっては平均的でつまらない建築になってしまうと考えている。そこで、すべての要望を満たして満足させるよりも、どこかひとつ、その建物を気に入ってもらう取り柄を作るようにしている。人が大切にするのは、自分だけの、個性のある、世界にひとつの建築。そんな信念があるからこそ、二人は斬新なデザインの建物を世に送り出し続けることができる。