大手化粧品メーカーの営業部で働く年収1000万越えの鏑木都(SUMIRE)は、とあるギャラリーで巨大な赤い絵と鮮烈な出会いを果たす。その力強い筆跡に突き動かされた都は、社会の波に逆らわずなんとなく身を任せていた自分を奮い立たせ、働きながら幼いころからの夢であった美大を目指すべく、美術予備校の門戸を叩くことに。都はそこで、天才的な画力の持ち主だが、東京藝大目指して6浪中のダビデ像のように端正な顔立ちの青年・平真太郎(神尾楓珠)と邂逅する。「美術の世界は社会よりよっぽど理不尽だ」と自分たちの領域に踏み入ることを強く拒まれる都であったが、『“好き”、に生きろ』という思いを胸に、自分のキャンバスに最初の絵筆を入れる。
受業終わりの美術予備校で、都(SUMIRE)は突然、真太郎(神尾楓珠)から「明日空いてる?」と声をかけられる。しぶしぶ約束の場所へ行くと、そこに見知らぬ女性・橘小夜子(杏花)の姿が。「紹介します、この人元カノ、この人今カノ」と真太郎。驚愕する都とショックで固まる小夜子をよそに、真太郎はマイペースなまま。都はタイミングよく連絡をくれた先輩の洋二(朝井大智)に助けを求める。そんな中、席を立った真太郎を追いかけた都は、怒って真太郎を問いただしてみるものの、「今カノのフリをしてくれるだけで良いから」と適当にあしらわれる。ついに真太郎は会計も済ませずにとんずらし、小夜子と2人残されてしまった都は気まずいあまり...。
美術予備校の授業中、ハナ (石川瑠華) が突然作品を叩きつけてしまう。才能がないと苦悩するハナを元気付けようとする都 (SUMIRE) だったが、「10年に一度の天才が出れば良い、あとは見向きもされない」―― そんな美術の世界で、自分は天才の踏み台になりたくないと叫ぶハナ。そんなハナに呼応するように、同じ予備校仲間のクリント (高橋侃) や草介 (秋谷郁甫) も本音を語り始める。ギスギスする予備校生たち。そんな翌日、美術予備校でなんと火事が起こり…? 夕焼けの下で語られるそれぞれの思いと、真太郎 (神尾楓珠) と都に起きる思いがけない出来事。 そしてついに現れる全てを繋ぐ “ある人物” とは。