津波で死んだ家族の保険金もつぎ込んで会社を再建した。だからつぶす訳にいかない。 復興支援策で借りた億単位の借金。まもなく返済猶予が切れる。でも経営はなかなか上向かない…。今、崖っぷちに立たされている被災地沿岸の社長たち。 岩手県釜石の浜辺にある旅館「宝来館」の女将、岩崎昭子さん(62)もそんな一人だ。自身も津波をかぶり九死に一生を得た。かろうじて残った建物で、国から3億円の補助金を借り再建を果たした。震災直後は復興支援で訪れるボランティア客でなんとか旅館を軌道に乗せたが8年たった今、客足が遠のき始めている。さらに猶予されていた補助金の返済が始まろうとしている。正念場の冬場をどう乗り切るのか。方針をめぐり従業員から反発を受けても、女将は地域の宿にこだわる。 他にも、不漁のため仕入れる魚の値段が10倍も跳ね上がり作れば作るほど赤字に陥る水産加工会社の打開策を追う。震災から時が経つほど復興需要に依存していられない被災地の現実が横たわる。苦闘しながら活路を求めてもがく社長たちの奮闘記。