江戸吉原で生まれた甘露梅。梅の実をしそで包んで砂糖漬けにしたちいさな菓子だ。梅の実がなると、ひとつひとつ種を取り、しその葉を巻く。それを砂糖とともに半年から一年半も漬け込んで、2年後のお年始に上客だけに配ったという。吉原の女たちが総出で仕込み、吉原名物として知られるようになると、日本各地の梅の名所でも作られるように。求肥で包んだあんをしそで巻いた甘露梅は、今も小田原名物としてその名残をとどめる。