「ビブリア古書堂」の店主・篠川栞子(剛力彩芽)のもとに、古書の査定のため五浦大輔(AKIRA)がやってくる。大輔が持ち込んだのは、亡くなった祖母の蔵書『夏目漱石全集』で、その『第八巻 それから』に「夏目漱石」と署名があったため、サインが本物なら高く売れるのでは、と期待した母・恵理(松坂慶子)から頼まれたものだった。 本を手にじっと考え込んだ栞子は、やがてサインは偽物だと言った。大輔は礼を言い立ち去ろうとするが、栞子はサインを書いたのは祖母自身としか考えられないと話す。唐突な話に、証拠はあるのかと尋ねた大輔に、栞子は祖母にまつわる驚くべき推論を展開していく。 後日、「ビブリア古書堂」を訪ねた大輔は、恵理に確認した結果、栞子の推論が事実だったと話す。本を見ただけでなぜそこまでわかるのかと興奮気味の大輔に、栞子は困惑し言葉を濁す。
篠川栞子(剛力彩芽)は、小山清の『落穂拾ひ』を盗まれ気落ちする「せどり屋」の志田肇(高橋克実)を五浦大輔(AKIRA)に紹介した。すると、志田はあいさつもせず本を盗まれたときの状況を話し始めた。 志田は古書堂へ来る前、ある寺に用があり自転車で向かった。ところが着いたとたんに腹痛がし、荷物を残したままトイレへと駆けだした。そのとき、音がして振り返ると女子高生らしい少女(水野絵梨奈)と自転車が倒れているのが見えたので、戻って声をかけた。しかし、少女は見向きもせず自分の紙袋の中身を確かめていた。志田は気になったが、自転車を起こしておいてくれと頼むとその場を立ち去った。それでトイレから戻ると、『落穂拾ひ』だけが紛失していた。少女が盗ったのは間違いないと志田は言う。
篠川栞子(剛力彩芽)と五浦大輔(AKIRA)のもとに、ひとりの男(中村獅童)が買い取り希望だとやって来る。手にしていたのは、ヴィノグラードフ・クジミンの『論理学入門』という本だった。買い取り表からはみ出す字で「坂口昌志」と書いた怪しげな風貌の男は、明日また来ると言うと店をあとにした。栞子は、最後のページに貼られた「私本閲読許可証」を見つける。それは刑務所の受刑者が私物として刑務所に持ち込んだ、ということを示すものだった。 そんな折、『ビブリア古書堂』に来ていた藤波明生(鈴木浩介)が、近所の刑務所から受刑者が脱走した、さっきの男がそうなのではと話す。実際、報道された脱走犯の人相は坂口そっくりだったため、心配した志田肇(高橋克実)は栞子に店頭には出ないようにと命じる。
篠川栞子(剛力彩芽)は、客の自宅に出張して本を買い取る「宅買い」に五浦大輔(AKIRA)を連れて行く。訪ねた先は「玉岡」という邸宅で、依頼者の玉岡聡子(森口瑤子)は、3カ月前に他界した父親の蔵書を処分して欲しいという。 蔵書は主に純文学や詩集で、なかには中原中也の『在りし日の歌』の初版本など貴重なものもあった。聡子は栞子に、買い取りとともに、昨日この書斎から盗まれた宮沢賢治の『春と修羅』の初版本を取り戻して欲しいと依頼。父親は『春と修羅』の初版本を2冊持っていたが、状態の良くない方が盗まれたのだという。聡子がその消失に気づいたのは、昨夜、遺産のことでクレームを付けに来た兄・一郎(大河内浩)と姉・小百合(峯村リエ)が帰宅した直後だった。
篠川栞子(剛力彩芽)は、書籍を寄贈するため聖桜女学館を訪ねた。栞子を迎えたのは、図書委員の田辺美鈴(生田絵梨花)だった。書籍は、教員の杉浦(阿南敦子)により選別され数冊が「中学生には不適切」という理由で返却されてしまう。栞子は、文学的評価が高く、性描写や暴力描写があるだけで除外するのはもったいないと言うが、杉浦は最近もアントニイ・バージェスの「時計じかけのオレンジ」を読んで学校を批判する感想文を提出した生徒がいたと話す。 同じ頃、ビブリア古書堂に小菅奈緒(水野絵梨奈)がやってくる。奈緒は、志田肇(高橋克美)に借りた本を返しに来たのだが、志田はどこか沈んだ表情の奈緒を心配する。奈緒は、中学生の妹の結衣(森迫永依)がCDを万引きして捕まり、学校を停学になっていることを明かした。
何者かに石段の上から突き落とされた篠川栞子(剛力彩芽)は、救急車で病院に運ばれた。幸いなことに足首の骨折だけで済み、五浦大輔(AKIRA)は安堵する。一方、篠川文也(ジェシー)から倒れていた栞子を見つけ救急車を呼んだのが藤波明生(鈴木浩介)だと聞くと大輔は顔を曇らせた。 志田肇(高橋克実)、文也、藤波が病室を出ると栞子は大輔に、病院に持ち込んだ金庫から1冊の本を取り出すように頼む。それは、太宰治の『晩年』だった。栞子は、この本を狙う男に突き落とされたのだと明かした。 栞子が祖父の代から引き継いだ『晩年』は、500部ほどしかない初版本の中でも、太宰自身の署名まで入るなどした大変稀少なもので、300万円以上の値が付くという。
篠川栞子(剛力彩芽)は太宰治の『晩年』を抱えたまま、病院の屋上で笠井菊哉(田中圭)と対峙していた。駆けつけた五浦大輔(AKIRA)はふたりの間に割って入ろうとするが、笠井の手には鋭いハサミが握られていた。笠井は、本は傷つけないが人間には容赦しないから『晩年』を渡せと迫る。 笠井は、『晩年』を手に入れるためならどんな犠牲を払っても構わないと鬼気迫る表情で栞子に詰め寄る。栞子は、自分は笠井とは違う、自分には古い本よりも大事なことがあると言い、ライターを取り出すと、この本がすべての元凶だと、火をつけようする。 後日、ビブリア古書堂に買い取り希望の須崎(井浦新)がやってきて、髪が短くて物静かな女性店員はいないかと大輔に尋ねる。
篠川栞子(剛力彩芽)とは親の代から付き合いがあるという、古書店店主の滝野蓮杖(柏原収史)がやってくる。志田肇(高橋克実)は、滝野を栞子の幼なじみ兼相談役だと五浦大輔(AKIRA)に紹介。大輔は、本が読めて栞子の役に立っている滝野をうらやましく思う。一方の滝野は、本が読めないのにビブリア古書堂に入った大輔を冷めた様子で見る。 そんな折、常連客の吉見(大倉孝二)が「いい本が少ない」と言った。それに同調した栞子は大輔に、明日開かれる古書店同士の売買会「古書交換会」に付き合ってほしいと頼む。 翌日、「交換会」にやってきた大輔は、栞子に連れられて会場内を見て歩く。栞子は売り上げを伸ばすため、値段は張るが人気の高い絶版のSF文庫に入札するが、「ヒトリ文庫」店主の井上(佐野史郎)に競り負けてしまう。
篠川栞子(剛力彩芽)と五浦大輔(AKIRA)は、定休日に古書店巡りをすることを決め、ある日、写真集専門の古書店へやってくる。ギャラリーを併設したその店で2人が写真を見ていると、写真は好きか、と高坂晶穂(矢田亜希子)が声をかける。予期せず再会したが、晶穂は、大輔の高校の同級生で元恋人だった。 大輔は気まずいながらも、栞子に晶穂を紹介。カメラマンをやっている晶穂は、野上司(望月章男)という気鋭のカメラマンと一緒に写真展を開いていると説明した。一方の栞子が、祖父の代から古書店を営んでいると話すと、晶穂は「タヌキの絵本」を探してくれと頼む。タイトルや作者は覚えていないが、舞台は外国でタヌキなどさまざまな動物が出てきてみんなで家を建てる話だったという。覚えている限りの内容を話すと、栞子は知っている話のような気がするがそれ以上はわからないと答える。
篠川栞子(剛力彩芽)は、「古書に関する特別な相談がある」と連絡を受け、五浦大輔(AKIRA)とともに、来城慶子(高樹澪)が暮らす洋館にやってくる。車椅子の慶子に代わり栞子と大輔を迎えたのは妹・邦代(松田美由紀)で、案内された書庫は江戸川乱歩の古書コレクションで埋め尽くされていた。 そのコレクションは昨年死去した慶子の夫のものだが、ある条件が解決されれば、売ってもよいと言う。その条件とは、洋館にある巨大な金庫の暗号を解くことだった。 栞子は、大輔、志田肇(高橋克実)、篠川文也(ジェシー)に金庫を開けるために必要なのは、鍵、4桁のダイヤルナンバー、暗証文字の3つだと言った。 その後、栞子は大輔とともに井上太一郎(佐野史郎)が経営する「ヒトリ書房」を訪ねる。
母・智恵子(安田成美)に金庫の鍵を奪われたと確信する篠川栞子(剛力彩芽)は、智恵子よりも早く暗号を解いて暗証文字を入手することを目指す。 その後、栞子と五浦大輔(AKIRA)がビブリア古書堂に戻ると、智恵子がカウンターに座り本を読んでいた。智恵子は栞子に、金庫の中身は何だと思うかと聞く。栞子が、江戸川乱歩の未発表の草稿か何かだろうと答えると、智恵子は「押絵と旅する男」の第一稿だと言った。それは乱歩の代表作のひとつだが、第一稿は乱歩自身の手で破棄されたと言われている。信じられない話だが、智恵子は鹿山明(須永慶)の父親と乱歩の接点を明かした。その意外な事実に志田肇(高橋克実)も驚きを隠せない。 何としても第一稿を読みたい智恵子は、栞子に協力を持ちかける。一緒に暗号を解くなら、第一稿以外の乱歩コレクションは山分けにしてもいいと。