時は戦国時代。宣教師ヴァリニャーノは、日本での布教を進めるため、ある秘策を思いつく。日本の少年たちをヴァチカンに連れて行きローマ法王に謁見させ、聖書に記された「東方三賢人=MAGI」の言い伝えを現実化する。ヴァリニャーノは四人の少年を連れて、天下人織田信長に会いに出発する。
四人の少年を連れてヴァリニャーノは信長に会いにいく。日本の王が送り出した使節であるというお墨付きを得ようとしたのだ。まだキリスト教を信じていないと言うマンショに「旅に出よ、海の向こう、見知らぬ国へ行って参れ」と命ずる信長。信長から託された金屏風と共に、少年たちは遙かローマへの長い航海へと出発する。
少年たちは海を渡り、嵐を乗り越え、インドのゴアに着いた。そこにイエズス会本部から思いもかけない便りが届く。少年使節を率いてきた巡察師ヴァリニャーノに対し、インドに留まるよう命令するものだった。少年たちは不安を抱えながら、ゴアから同行するドラードとともに再びローマを目指して旅立っていった。
インド洋を渡り、喜望峰を抜け、ついに少年たちはポルトガルのリスボン港に降り立った。初めて目にするヨーロッパの威容に目を見張る少年たち。世界中に領土を持ち、太陽の沈まぬ王国といわれたスペイン王フェリペ二世に謁見するためスペインへ向かう。夜の街道に沿って、いく筋もの炎が立ち登っている。火あぶりの刑に処された異端者だった。
フェリペ二世の謁見後、ひとり呼び出されたマンショは、世界の王の意外な素顔を目の当たりにする。少年たちはスペインを後にし、地中海を渡ってイタリア半島を目指す。砲弾の音とともに船が大きく揺れる。スペイン王フェリペ二世との謁見を果たした少年たちに、宗教改革で分断されたキリスト教社会の歪みが、容赦なく襲いかかる。
イタリア半島のリヴォルノ港へ降り立つと、高熱で倒れたジュリアンが病院へと運ばれていく。残された三人は、花の都フィレンツェへと馬車を進める。途中沿道から「MAGI!」と叫ぶ歓迎の声に包まれる。聖書に登場する東方三賢人の再来として、少年使節は熱狂的に迎えられた。
メディチ家のトスカーナ大公に謁見する少年たち。絶世の美女として名高いビアンカ公妃に舞踏会に招かれ、初めてのダンスを踊る。興奮冷めやらぬ花の都を後にし、ついにローマを目指す少年たち。しかしローマへあと1日というところで、ヴァチカンからの使者に馬車を止められ、近くの木賃宿での待機を命じられる。
少年たちが閉じ込められた木賃宿を取り囲むように「MAGI!」と叫ぶ民衆が大勢集まってくる。ヴァチカンを目前にしての足止めに苛立ちを隠せない少年たち。そのころ日本では謀反で命を落とした信長に代わって、物乞いから天下を取った秀吉が君臨していた。大阪城に宣教師を呼びつけた秀吉が激しく詰め寄る。日本でのキリスト教布教に暗雲が垂れ込める。
ついにヴァチカンからの使いがやってきて、ローマ法王への謁見がかなう少年たち。東方三賢人の再来として「MAGI!」と叫ぶ民衆の大歓声に包まれながら、少年たちは艶やかな和装に身を包み、法王の待つ謁見の間へと進んでいく。
ローマ法王への謁見を果たした少年たちは、ふたたび船に乗り帰路についた。インドのゴアでは、彼らを送り出した巡察師ヴァリニャーノに再会する。しかし、少年たちを待つ日本では、バテレン追放令を出した秀吉により、キリスト教徒への弾圧が激しさを増していた。
第一話に関するもうひとつの物語
第二話に関するもうひとつの物語
第三話に関するもうひとつの物語
第四話に関するもうひとつの物語
第五話に関するもうひとつの物語
第六話に関するもうひとつの物語
第七話に関するもうひとつの物語
第八話に関するもうひとつの物語
第九話に関するもうひとつの物語